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人魚無双~幼女になって転移した先で推しの幸せのために私は生きる~  作者: 景華
第3章 そして少女は彼と出会う

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私と彼の1週間ー2日目ー共闘、そして先生シックー


「し、シリル君、他に騎士が見当たらないんですが!!」


「……騎士たちは他の森で戦っているんだろう。ここだけではないんだ、【闇墜ち魔物(ダークスター)】が現れるのは……」


 と言うことはこっちは二人!?

 私が来なければシリル君一人で相手をすることになっていたってこと!?

 騎士団ってそんなに人不足なの!?


 私は素早く聖魔法で、【ベアラビ】の狂気に満ちた瞳めがけて光の球を投げつけた──!!


 【ベアラビ】の、文字通り目の前ではじけ出た閃光に、奴は野太い声を上げながら両手で目を覆いふらふらと上半身を揺らしている。

 ヒメちゃん必殺・目眩しはどうだっ!!



 【ベアラビ】が混乱している間に、私は自分の身体に風魔法を纏わせる。


「シリル君は左から!! 私は右からかかります!! ベアラビの弱点は頚部(けいぶ)根本から肩に向けて指三本目の場所です!!」

 声をあげると私は地を蹴り、軽くなった体を宙へと投げ出した。


「はぁ!? 一体何を!!」

「私を信じて!!」


 シリル君なら──。

 先生なら……きっとやってくれる!!


 そう信じて私は、宙を舞ったまま素早く炎魔法を剣に付与すると、魔法剣となったそれを勢いよく振り上げた。


「チッ……!! 後で説明してもらうぞ!!」


 そう言ってシリル君も、風魔法を身体に纏わせ【ベアラビ】の左側で宙に飛び上がると、氷魔法を付与した剣を大きく振り上げて頚部めがけて振り下ろした──!!



「てやぁぁぁぁぁぁ!!」

「はぁぁぁぁぁぁっ!!」



 ザッ──!!


 肉を断つ感触と音がダイレクトに伝わって、さらに力を込めると、少し深いところでカリンッ──と小さな音とともに何かが弾けた。


 瞬間、先ほどまで牙を剥いていた【ベアラビ】は、大きく地鳴りのような声を上げると後方へと倒れ込んだのだった。


「やった……のか?」

「はい。おそらくもう大丈夫ですよ」

 自信を含んだ返答に、訝しげな顔で私をみるシリル君。


 仕方がない。

 知っているんだもの。


『説明しろ』

 そんな雰囲気で私をジトっと見続けるシリル君に苦笑いをこぼす。


「なんで頚部を?」

「ここに核があるんですよ。急所ってやつですね」


 これはこの時代ではまだ極秘に調査されていて、公にはされていない。

 けれど確か、魔王封印の前の年に発表されたって本に書いてあったから、そろそろのはず。


 伊達に魔王──アレンのいる図書館に入り浸って勉強三昧していたわけではない。


 研究報告書の著者はシルヴァ・クロスフォード。

 先生のお父様だ。

 この報告書を書いた一年後に、彼は魔王との戦いで命を落とすのよね。


 著者が亡くなって研究がなかなか進まず、未だにどこに核があるのかも知られていない魔物も多い。


「君はなぜそんなことを?」


 あ、まずった。


「えっと……それは……」

 苦し紛れに私は右手の人差し指を一本立て口元へと持っていき、ウインクしながらこう言った。



「秘密を持った私も魅力的でしょ?」



「……」

「……」



 ……すべった。



「えー……っと……」

「……はぁ……。まぁいい。聞かないでおいてやる」

 小さくため息をついてから、シリル君がそう言った。


「いいんですか?!」

「聞いてほしいのか?」

「あ、いえ」

「じゃぁいい。行くぞ」


 そう言って来た方の道を進み始めるシリル君。


 やっぱり先生なだけあって、シリル君は優しい。



 ────先生。


 今頃どうしてるだろう?

 まだ怒ってるかな?

 ちゃんと食べてるかな?




 神崎ヒメ。


 二日目にして既にホームシックならぬ、先生シックです。



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― 新着の感想 ―
[一言] 十年前の世界は現代とはだいぶ事情が異なるんですね……。 そして現代の平和は過去の犠牲があってこそ、というのもなんだかやりきれない話です。 続きを楽しみにしてます!
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