私と彼の1週間ー1日目ーファーストキスと変態認定ー
「誰だそれは。私はシリル・クロスフォード。──この学園の一年生だ」
「へ……?えぇぇぇぇぇぇぇ────!?」
私の美声が聖域に木霊する。
森の住人達、ごめんなさい。
でも仕方ないのよ。
これが驚かずにいられるかってのよ。
グローリアス学園の一年生?
シリル・クロスフォード?
確かに先生と同じ髪と目の色だし声も同じ……。
同姓同名の別人物……ってわけではなさそう……。
と言うことは本当に?
ここはまさか──過去の世界?
うわぁ〜〜〜〜!!
15歳版クロスフォード先生カッコ可愛い!!
まだ幼さも残っていながらも、この眉間の皺!!
私の愛しのクロスフォード先生に間違いない!!
私が感動に打ち震えていると、15歳版クロスフォード先生が不快そうに顔を歪め再び私の目の前に手のひらを向けた。
「君は何だ? どうして空から降ってきた? なぜグローリアス学園の制服を着ている? 私の知る限りでは君のような女性はこの学園にはいなかったはずだ。正直に話せ。さもなくば──」
あ、これデジャヴュ。
出会った頃の尖りに尖った警戒心バリバリの野良猫先生バージョンだわ。
余すことなく注がれる久しぶりの絶対零度の視線が妙に心地良い。
て、そんなこと考えてる場合じゃない!!
「ま、待ってください!! とりあえず落ち着いて!! フォース学園長!! あの人に会えばきっと──!!」
私が咄嗟に交渉の切り札に出したのは、ここに送り込んだ張本人──フォース学園長の名だった。
「フォース? 君はフォース学園長の知り合いか?」
それでもなお警戒心はおさまることなくこちらに向けられている。
いつ2発目の氷魔法が撃ち込まれてもおかしくない。
そんな状況の中──。
「ふふ。僕の魔力が感じられたと思ったら……。シリル、君、女の子をいたぶって楽しむ趣味があったの?」
呑気な笑い声と共に現れたのは、噂をすればなんとやら──フォース学園長だ。
デジャヴュ再び……!!
「学園長、不審者です」
「学園長、カンザキです」
私と先生の声がぶつかり合った。
こんなか弱い少女を不審者だなんて……解せぬ。
「カンザキ……!! ──あぁ、そういうことか……。シリル、この子は僕の知り合いの子でね。1週間ほどここにいるから、面倒を見てあげなさい」
私の名で通じたのか、未来のフォース学園長の魔力の痕跡で察したのか、話を合わせてくれた彼は、そう先生に言うと私に向かってウインクした。
くっ……このショタ、やりおる!!
「なんで私が……!!」
「師匠の言うことは?」
「っ……絶対……」
「ん。じゃぁシリル、よろしくね?」
なんだこれ。
先生可愛すぎる。
15歳ということはまだエリーゼも生きている時代だからか、先生もまだ達観しすぎてはいなかったのね……。
青さの残った姿もまた良い……!!
「あぁヒメ。君の部屋だけど、いつもの場所を使いなさい。きっと今頃学園の意思が張り切って整えているだろうから」
「はい!! ありがとうございます!!」
私が礼を言うと、にっこりと笑ってからフォース学園長は「二人とも、そろそろ夕食を取ってからお休み」と言って、聖域を後にしたのだった。
残されたのは私と15歳の先生二人だけ。
「なんで私が……いきなり口付けてくるような変態の面倒なんか……」
……根に持ってる。
「あー……っと……。もしかして……初めて……でした?」
私が恐る恐るたずねると、先生は無言で頬をほんのり赤く染めてから不機嫌そうに顔を背けた。
先生のファーストキス!!!!
「えっと……なんか、すみません?」
いや、まぁ、事故なんだけど。
ファーストキスを私なんぞが奪った責任はひしひしと感じている。
……私も初めてだけど。
正直もう少しムードのあるファーストキスを夢見てはいた。
「……もういい。フォース学園長の言いつけ通り、面倒は見てやる。食堂へいくぞ、変態」
「変態!?」
先生は私の反応などまるで無視をして、スタスタと早足で聖域の出口へと歩いていった。
「ちょっ!! 待ってくださいよぉ〜〜!!」
15歳シリル君かわえぇ。。。




