赤い瞳の──
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これからも精進していきたいと思いますので、ヒメちゃん達の物語を一緒に見守っていってくださると嬉しいです。
バリバリバリ──ッ!!
突然雷が私達の頭上へと降り注ぐ。
「ッ!? クレア!! セレーネさん!!」
私はすぐに庇うように二人に覆い被ると、二人をぎゅっと抱きしめた。
刹那、私の背中に熱く刺すような衝撃が容赦なく注がれた。
「っあぁぁ──っ!!」
「ヒメ!!」
「カンザキさん!?」
防御魔法をかけていたから、意識を失ったりせずに済んだものの、衝撃は大きい。
「おい!! 俺はまだ指示を出してないぞ!!」
タスカさんが背後の魔術師たちに向けて声を荒げる。
「騎士団所属ではない我らが貴様の命令に従う言われはない」
「くっ……」
淡々と告げられて憎々しげに彼らを睨みつけるタスカさん。
騎士団と魔術師たちは別もの?
魔術師たちが私たちを取り囲む。
そして手のひらを一斉にこちらへと向け、それぞれバラバラの属性魔法の矢を放った──!!
「3人ともしゃがんで!! はぁぁぁぁっ!!」
私は聖魔法で光のバリアを刀に纏わせると、一つ一つの魔法の矢を薙ぎ払っていく。
シュン──ッ!!
取りこぼした一つの魔法の矢が私の背後から迫っていることに気づいた時には、既に矢はすぐそこにあった。
まずい……!!
衝撃に備えて顔面を庇うように腕を構えたその時──。
パン──ッ!!
大きな音とともに「させないわよ」と凛とした声が耳に届いた。
ゆっくりと目を開けると……。
「クレア!?」
私の親友が立ち上がり、光の壁を作って魔法の矢を消し去っていた。
今日教えるはずだった聖魔法による防御の魔法。
「一か八かだったけど、成功してよかったぁぁ」
クレアが安堵に顔を緩める。
「私だって、あんたを守りたいんだからね」
そう言って彼女は私に微笑みかけた。
「クレア……」
「くっ!! だがこの人数で貴様に勝ち目はない!!」
魔術師たちが呪文を唱えながら一斉に手のひらへと力を込め始める。
まずい。
多分、大きな魔法を使おうとしてる……!!
私は咄嗟に風魔法でタスカさんを騎士たちがいる後方へと吹き飛ばし、再びクレアとセレーネさんへ防御壁を施す。
「うあぁっ!? っおい待て!!」
タスカさんの声がした次の瞬間、魔術師たちから容赦なく魔力の塊が一斉に放たれた。
それらを睨みつけながら、私は身体中の魔力を一点に集中させる。
力を振り絞れ──!!
大切なものを守る力を──!!
私は皆を……大切な人を幸せにするために、運命を変えなくちゃいけないのっ──!!
キィィィィン──……
「っ!!」
激しい頭痛と耳鳴りとともに、瞳に宿る熱い熱。
鼓動が速くなり力が湧き上がる。
【力を求めよ。憎きものを薙ぎ払え】
声が聞こえる。
憎しみを孕んだいつもの冷たい声。
刹那──。
ドゴォォォォォォン──!!
目の前が白く光って煙に包まれる。
煙はすぐに風に流され霧散していき、微かに残る白さの中で私は立っていた。
「なっ……!! あの魔力の塊を受けて立っている……!?」
魔術師の驚きの声が微かに聞こえる。
全ての音が、近くにあるはずなのに遠くに聞こえる。
今ここで聞いているのが自分ではないかのような。
タタッ──シュンッ!!
地を踏み込み宙を舞い、身体とともに刀をぐるりと回しながら魔術師たちに切り込んでいく。
リリン──……
「ぐあぁぁぁっ!!!」
リリリン──……
「かはっ!!」
鈴の音の響くたびに刀の棟で打ち込まれ倒れていく魔術師たち。
同時に魔法で蔓を絡ませ締め上げていく。
殺しはしない。
けれど加減を忘れた私は限界まで締め上げる。
一瞬にして、蔦に縛られた魔術師たちの塔が完成した。
「さぁ……どうしてしまいましょうか?」
気怠げに彼らを見据え、刀を彼らに向けたその時──。
「ヒメ!!」
聞き馴染みのある声が脳の奥へと届いた。
「──レオンティウス……様?」
振り向けばそこにはレオンティウス様率いる1番隊が揃って、クレアとセレーネさんを保護していた。
そこでようやく、自分の作り上げた人間塔の存在に気づく。
これ……私が?
締め上げられたことによって泡を吹いて意識を失っている者もいる。
私は慌てて蔦を緩めた。
「剣帝レオンティウスか。ここは一旦引いたほうが良さそうだな。行くぞお前たち」
タスカさんがそう言って、魔道具を使って空間を開くと、騎士達は一斉にその中へと逃げていった。
「待って!!」
「またな。赤い瞳の……いや、【グローリアスの戦乙女】」
そう言い残して、タスカさんもその空間の中へ入り、空間は閉じられた。
魔術師たちの塔を残して。
赤い……瞳……?
じゃぁ……この刀に映った二つの赤は……。
『黒髪に大きな赤い瞳』
──そうだ。
この間のパーティーでレオンティウス様が言っていたじゃないか。
「随分派手にやったのねぇ」
呆れたように言いながら私に近づくレオンティウス様。
私は未だ霞がかった思考のまま、彼を振り返る。
「ッ!?」
私の顔を見た瞬間、驚きの表情を浮かべそのサファイア色の瞳を見開いたまま動かなくなるレオンティウス様。
「レオンティウス……様?」
「姫君──……?」
違う。
そんな目で私を見ないで。
私ごしに、私でないものを見るのはやめて。
「あなたは……姫君……なの?」
「違う……私は……」
白銀の刃に映った【赤い瞳の少女】が私を捉える。
「私は……姫君なんかじゃ……ない──!!」
そんな人知らない。
「私は……私は神崎ヒメ……!! お父さんとお母さんの──」
ウソモノノ──子──……。




