清盛に謁見した未来人(今回はお勉強)
「清盛様。この宮島に未来からの使者。
ジャパ次郎という者がお見えになっておりますが、如何なさいましょう?」
『未来から?ジャパ次郎?良い名だ。通してみろ』
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『お前か?未来から来たジャパ次郎と申す者は?』
「はい。私、未来の丁度この辺りに住んでおります、広島カープを愛するジャパ次郎と申します。いわゆるカープ男子」
『で?』
「私のこの名。私はこの名前で幼い頃からいじめられ、やれ「エキゾチック」だの、男なのに「なでしこ」などと呼ばれて参りました」
『それが?』
「では、なぜジャパなのか?日本ではないのか?その成り行きを知りたく、【どこでも勝手口】という乗り物に乗ってやって参りました。この時代辺りならわかろうかと。」
『言っておる事が全く分からぬが、つまり我が国【ジッポン】について知りたいのだな?」
「あれ?今なんと?、、、ジャパンと?あれ?なんで?それは英語では?海外の呼び名では?」
『お前、なにも知らぬらしいな。教えてあげよっか~?』
「あっ、是非、是非とも」
『では、聞く。もしお前が、我が国の大使、あるいは水軍の長。初めて他の諸国に赴き、その国との取引、友好、を結ぶのには誰と話を進め、条約を締結するのじゃ? 誰と取り決めをするのじゃ?』
「はて?誰と、、、」
『いきなりその国の農民か?商人か?ありえぬであろう?』
「確かに」
『先に行かねばならぬのは?』
「その国の一番偉い人」
『そうだ。その者と決めねば話にならん。では誰だ?』
「誰?、、その国の王、あるいは政を仕切っておる者」
『では、よその国がこの国に入って来たら誰と会わねばならん?』
「清盛様?」
『アホ?もっと上のお方がおろうが?』
「えっとぉ、誰だぁ?、、、あ、王!天皇陛下様! この時代でしたら後白河天皇!」
『そう、今では後白河上皇』
「ん?それが何かジャパンと関りが?」
『では、平民は日本とよんでいたが、皇族は「我が国ジッポン」とよんでいたら?』
「皇族としか話をしない外国人にとってこの国はジャパン?」
『ジャパンではない、ジッポンだ』
「しかし、なぜジッポン?」
『お前、「日」という字。他に何て読む?』
「日、、「ひ」、「にち」、、他にぃ、、あっ!「ジツ」! 大安吉日はジツ!」
『わかったか?! 皇族言葉では我が国は「ジッポン」と言っておるのだ!』
「あ、そうか!!」
『お前が言うておるジャパンも、その国その国の訛りや表記に寄って、ジャポンやらジャパンに変化するのであろうな。ジパングという呼び名もあるそうだが、それはたまたま天皇様が「日本国」と言ったらしいからじゃ。「ジッポンゴク」。「ジパング」じゃ。』
「つまり、Japanは英語ではなく、、日本語!!」
『そうだ、わかったか?つまりお前の名は純和風というわけだ』
「清盛様。大変お勉強になりました!これで心置きなく未来へと戻れます!」
『せっかくこの先の世から来たのだ。この厳島にわしらの作った野天風呂がある。ゆっくりと入ってゆけ』
「有難き幸せ。ではその湯。頂いてから参ります。では失礼を」
『ん?それだけか?言い足りない事があるであろう?』
「えっ?は?」
『ほれ、言わんか!』
「ん?何をです?」
『ほれ!ほれっ!』
(まさか、、あの言葉?)
「、、、では、、湯にジャポンと浸かってまいります、、」
『それ!それぃ!それを早く言わんか!』
※謁見シリーズは
「家康」「秀吉」「光秀」「信長」「卑弥呼」と作品がございます。
宜しければ是非ともご覧ください
※連載中小説。
西アフリカの部族闘争物語
「カザマンス」
も是非とも一読を!