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07話 新米

久々の更新ですいません…。

すごく不定期なので、気になったお方はブックマークをポチっとお願いします!

王都は大きな城壁に囲まれた町だ。

遠くから見たときは恥ずかしいことに、少し興奮してしまった。

大きさはどう例えれば分からないが、感覚では山手線くらい大きいのではないだろうか。

通りも人が溢れ、お店がところ狭しと並んでいる。

この世界にはいくつかの王国があるというが、ここよりも大きいところもあるのだろうか?

これだけ活気づいて喧騒のある場所は、どちらかというと苦手だ。

まあ、私のことなど気にする人はいないだろうが。

此処には勿論、貴族階級の人もいて劇場などもあるらしい。

折角だから空いた時間で観賞してみたいものだ。

久々に娯楽に出会った気がする。

楽しみは取っておいて、今は仕事に戻ろう。

これだけ大きい町ではハンターも多いだろうから忙しそうだ。

しかも、クエストの難易度が上がるので比例して死神の仕事も困難になる。

腕の良いハンターも集まり、強い魔物討伐に向かうだろうからだ。

まずはこの町の死神仲間に会おう。

指定された場所は黒猫亭という酒場だ。

全く少女との待ち合わせに酒場を指定するとは、どんな非常識な奴だ。

この世界では年齢制限など無いが、酒場に入った際にジロジロと見られるのは好きではない。

場所は先ほど教えてもらったが、この辺にあるはずだ。

少し奥に入ったところに、黒猫のモチーフで出来た看板を発見した。

なかなか古そうな建物だ。

見たことは無いがイギリスのパブのようだ。


カラン


店に入ると何人かがこちらを見てくる。

取り敢えず同僚を探そう。

いや、直ぐに見つかった。

同じ死神同士なので銀髪を探すと早い。

奥のテーブルで手を振ってる若い男性がいるが、銀髪であり間違いなさそうだ。


「初めまして、ステラです。

ここに来るように言われたのですが」

「君がステラちゃんだね。

いやー、可愛い娘で良かったよ!

俺はアーチーっていうので宜しくね」


チャラい…

はっきり言って苦手なタイプだ。


「え、ええ、宜しくお願いします。

他にもいらっしゃるんですか?」

「全部で4人いるんだけど、2人は仕事中で町を離れてるんだ。

で、残り一人が行方不明になったのでステラちゃんが呼ばれた訳だよ」

「これだけ大きい町では仕事のリスクも上がりそうですもんね」

「そうなんだよ。

だから、ベテランが普通は就くんだが、ステラちゃんは若いのに腕が良いんだって?」


歳をとらないのに若いというのも変だが、死神になって数年だから若いと表現されている。


「そんなに大したことはありません。

たまたま上手くいってるだけですよ」

「謙遜だねー。

まあ、そのうち分かるでしょ。

で、君の担当はこのエリアね、4分割してあってサポートが欲しいとき、お互い助け合いでね」


この町の地図を広げながら、右下のエリアを指差した。

行方不明の死神が担当していたエリアだろう。


「承知しました、今日は町を見て回りたいと思います。

まだ、土地勘がないものですから」

「それじゃあ、俺が案内してあげるよ!

美味しいお店も色々あるからさ」


何とかチャラ男を振り切って逃げてきた。

あれ以上、一緒にいたら私のコミュ力の限界を迎えそうだ。

さて、取り敢えずしばらくお世話になる宿探しをしよう。


黒猫亭を出て、通りを進んだところでスキアと出会った。


「丁度、探していたところだ。

黒猫亭で話は聞いたか?」

「ええ、今、そこからの帰りです。

アーチーという人から話を聞きましたが」

「それは良かった。

もう一つ話があってな、この娘を紹介しよう」

「この娘…?」


隣に立っていた人物がフードをとり、ペコリとお辞儀した。

銀髪ということは死神か。

歳は同じか少し下に見える。

髪は束ねており、眼鏡を掛けている。

死神も視力が悪くなるんだな。

見た目だけではどじっ子に見えるが大丈夫だろうか。


「あの、私はアビーと申します。

これから、宜しくお願いします!」

「この娘は新米の死神だ。

1年間、世話を頼む」

「えっ!?」


新米の世話だって!

冗談は顔だけにしてもらいたい。

せっかく悠々自適の生活を一人でエンジョイしてるのに、後輩を付けたら気が休まらない。


「あの…、世話って私がですか?

もっとベテランの方が良いんじゃないでしょうか?」

「仕事ぶりで判断してるから問題ない。

では、任せたぞ」

「えっ、ちょ、待ってください!」


あの野郎、さっさと消えやがった。

さて、どうしたものか…さっきから期待の眼差しが痛い…。


「せ、先輩!

ご迷惑をかけないように頑張ります!」

「ステラよ…。

その先輩ってのどうにか、ならないの?」

「えっ、では…、師匠…先生…姉御?」

「先輩で良いわ…。

しょうがないわね、取り敢えず宿探しに行くわよ」

「はい、ステラ先輩!」


そういえば、私も少し前はこうやって教えて貰っていたのだ。

死神として生まれたら、ベテランの人と組んで色々な事を学ぶ。

だいたい、1年くらいが目安となっている。

私の場合、覚えが良いのかあの人がずぼらなのか、すぐに放置されそうになったものだ。

恩返しと思って、出来る範囲で面倒を見ていくか。


「ほら、行くわよ」

「あ、はい、ふべっ!?」


何だと!

見た目だけじゃなくて、本当にどじっ子属性持ちだったとは!

こんな何もないところで、つまづいて転ぶなんて…。

これは先が思いやられるわね。


「だ、大丈夫?」

「す、すいません!

私、よく転んでしまうんです…」

「まあ、いいわ…、大丈夫なら行きましょう」

「は、はい!」


私達は何軒か宿を見て回り、一番良さそうな宿を選んだ。


「特に希望はある?」

「いえ!

私はどこでも熟睡できるのが特技です!」


羨ましい限りだ…。

野宿でもよく寝そうな気がする。

じゃあ、私の直感で選ばせてもらおう。


「では、ここにしましょう。

部屋が空いてるか確認してきてくれる?」

「はい、少し待っててください!」


はあ、部屋でならゆっくりできそうだ。

おや、戻ってくるのが早いな。


「大丈夫でした!

荷物を部屋に置きましょう!」


アビーに続いて階段を上がっていく。

そのまま廊下を突き当たりまで進み止まった。

ここが私の部屋かな?


「どうぞ、こちらになります!」


部屋はなかなか広いな…ん…ベッドが2つ…。


「アビーの部屋は?」

「えっ?一緒ですよ」


しまった!

そう来るとは予想していなかった。

私の指示ミスだ…まあ、布団はフカフカみたいだし。


「今日は町中や町の周囲を見て回るよ。

どこに何があるかを把握するのが、ちゃんと覚えるように」

「はい!ちゃんとメモしていきます!」


この後、1日掛けて様々な場所を見て回った。

ハンターギルドで挨拶も忘れずに行った。

これから、しばらくは滞在するだろうからこういった事は大切なのだ。

アビーも言ったことをちゃんとメモを取っている。

根っからの真面目なのだろう。

付き合いやすい性格で本当に良かったと思う。


「さて、そろそろ宿に戻って休みましょう」


私達は宿に戻り、旅の疲れをとるのに休んだ。

それにしても明日からの仕事が気が重い…。


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