第四話 武闘祭予選
予選開幕です そして予選終幕です。
第四話にしてここですが、ある程度落ち着いたらほのぼの回でも挟みます
俺が闘技場に着くとそこには、すでに多くの観客や生徒、さらには出店も集まっていた。
日が出て間もないのによくも集まるもんだと感心しながら、俺は楓とあたりを見て回った。
そんなことをしているうちに、自分の予選の時間になった。
「まもなく総合戦術棟の予選を開始します。総合戦術棟の生徒の皆さんは会場にお集まりいただくようお願いします」
「もうすぐだって。それにしても開会式がないのはありがたいよね。あれつまらないし」
「そうですね。早いのはいいことです。私たちも向かいましょう」
「楓、最初はケルビムと封爪でお願い」
「なぜその二本なんですか?」
「短期決戦か持久戦のどちらかになる可能性があるから、どっちでも対応できるようにかな」
そうこう言ってるうちに会場に到着。予選開始の時間となった。
「これより第82回武闘祭総合戦術棟予選を開始する!始め!」
開始の合図とともに客席から大きな歓声が上がる!
「82回武闘祭の実況解説を担当するのは~」
「ヴェリローズ学園長シルヴェルト=ヴァン=ベールじゃ」
「え、あの時のおじいちゃんここの学園長だったの!?」
「天藤さん、その声聞こえておるからの~」
「結構小声で言ったはずなんだけどっとと」
「よそ見してんじゃねぇぞ!天藤楓!」
「ロイス君じゃない。どうしたの?」
「お前をコテンパンにするために来たのさ。なぁお前ら!?」
「おう!」×20
「楓、状況が変わった。ケルビムと眷刀交換!」
「最初から分かってましたよね?」
「血呪・眷刀 抜刀一ノ型血呪・閃!」
「多少かすり傷ついたところで」
かすり傷ね〜。それで何も無いと思わない方がいいね。眷刀の力を思い知るがいい!
「ロイス!あいつの横を!」
「横?なんだあれ」
「おいで血の従者達!血ノ軍団!」
「あれは、俺たちか?」
「能力をばらすのは3流のやることだけどいいよね。この刀の名は血呪・眷刀。斬り裂いた相手の血を使い、斬り裂いた相手と同等の力を持った眷属を生み出すのよ」
「なんだよそれ!?おかしいだろ!?」
「おかしくないわよ?だってこれ吸血鬼の始祖からもらったものだし」
「はぁ!?」×多数
「解説の学園長。今驚愕の事実が飛び出してきましたが…」
「ハハハハハ。そんなわけなかろう?」
「声震えてますよ?」
「天藤さんうるさい!」
「じゃあ、ロイス君たちは自分相手に頑張ってね~」
「学園長。彼女かなり鬼畜では?」
「君もそう思うかね」
この時の会場の観客の心情はまさに「彼女鬼畜過ぎる」だったはず。
戦いの渦中から離れたところで
「やっぱり名高い貴族は残ってるよね~。エレノアさんは要注意人物かな。楓はどう思う?」
「エレノアさんの持つ剣は上位精霊が宿っていると思いますよ」
「やっぱりそうだよね~。ん?」
「眷属がやられたみたいですね」
「ロイス君かな?あ、違う。シルヴェルト先輩だ」
「楓さん、手合わせお願いできますか?」
「願ってもないですね」
「学園長!会場の端で予選で当たっていいのかわからない戦いが起きようとしていますよ!?」
「む!これは見ものだな!!」
「シルヴェルトがんばれー!」「シルヴェルト様―!」「もっと熱い試合を頼むぞ!」
「人気者ですね先輩」
クスリと笑いながら言うと
「お恥ずかしいですね」
と照れながら返してくる。随分と余裕のある人だ。さすが5位。
「楓、本気戦闘。封爪とケルビム。状況に応じて楓、やりなさい」
「はーい!」
「では先輩。こちらから参ります!」
「封爪抜刀一ノ型疾風迅雷!ケルビム納刀一ノ型金剛衝」
「来なさい!オーディン!」
「ねえ楓。これやばい?」
「ですね。あれは英霊です」
「楓、全部納刀!私の血を吸いなさい!」
「本当に予選なのかと疑いたくなるような気配が立ち込めています!ほかの生徒も戦う手を止めあの戦いをみつめている!」
「一撃で決めるよ楓さん」
「受けて立ちますよ先輩」
二人の集中力が極限まで高まり、解き放たれる
「穿て!神槍グングニル!」
「精霊刀抜刀零ノ型裏!陰月!」
「両者全力技激突!果たしてその行方は!?」
「君の刀は本当にすごいね」
「先輩の槍も相当なものですよ」
「そう言ってもらえると光栄だな。天咲楓さん」
「ばれましたか。なら隠すのもあれですね。先輩誇っていいですよ。天咲家の秘奥を受けてなお立っているのですから」
「それはいいね。でも悔しいや。次は負けないよ」
「何度でも受けて立ちます。そして勝つのは私です」
「決着!!!一瞬の交錯を制したのは!天藤楓!!!」
うおおおおおおお!!!!!
客席から歓声と大きな拍手が送られた。
「まだ本戦ではありませんが、本戦終了時のような拍手と歓声がおくられます!」
「他の生徒からも惜しみない拍手が送られています。しかし、忘れてはいかんぞ!まだ時間は残っている。本戦目指して」
「鬼呪・ナズチ抜刀二ノ型落涙!」
「は?」×多数
「楓選手が何かつぶやいた瞬間、ほかの生徒の武器が崩壊!これはいったい!?」
「ちょうど6人残りましたね」
「へ?あ、本当ですね。なんだか釈然としませんが、総合戦術棟代表6名が決定!」
「序列1位エレノア!序列2位クロノア!序列3位バラム!序列4位リトリア!序列10位エ(ル)ロ!そしてなんと番狂わせ!謎の編入生天藤楓!以上6名となります。今一度大きな拍手を!」
「おい解説!悪意ある呼び方するな!」という叫びが聞こえたが、観客の歓声に打ち消され解説の耳には届かなかった。
「楓、戻って休むよ。じゃないと明日の本戦やばいかも」
「私も疲れたので休むです」
明日の本戦、楽しみだけど刀の力をかなり晒すことになりそうだ。
「フラグですね姉様」
他の棟の予選は書きません。魔術棟ほ戦闘は魔法が飛び交うだけです。従者の方は遣い魔同士をぶつけるので阿鼻叫喚です。
ここで触れるのもあれですが、魔術と魔法は同一のものです。別にしようと思いましたが、この世界での呼び方が魔術、柊の呼び方が魔法といった具合に分けるつもりです。