1章 学園武闘祭 ~第一話 王都到着~
ここから本編の始まりです。
しばらくは休日が続くのである程度進めていこうと思います。
では、どうぞ
「さて、魔物に襲われることなく王都に着いたんだけど、面白くなかったね」
「魔物に襲われないのはいいことのはずでは?あぁ、姉様に常識は通じないことありましたね」
「失礼な。この刀たちを魔物相手に試したかっただけだよ」
「刀たちというと私を含めた7本のことですか?」
「正確には6本だよ。背中のは危険だから」
そう。今の俺の腰には刀が6本、そして背中に大太刀を帯刀している。
「確かに危険かもしれませんが、潜在能力とか考えたら他の6本のほうが危険なのでは?」
「まぁそうかも、でも今はこいつが一番危険」
「私より危険というのは不服ですが、まぁいいでしょう、いつか追い抜きます。
それより姉様、周りの視線が少々鬱陶しいです」
「楓が顕現してる間はずっとこんな感じだと思うよ?」
「それはなぜ?」
「精霊自身が理解してないのか…。理由は単純、人型の精霊は珍しいから」
「そうなのですか?」
「うん。武器に宿る精霊の数は少ないけど、存在している。だけど、武器に宿る精霊はどれも獣型か実体のないもの。人型は伝承にはあったようだけど、実例は存在していなかった。」
「過去形なのは私がいるからですか?」
「その通り。それにしても、まさかここまで目立つとは思わなかった」
入国するとき周りにいた商人や門番が知人にでも言ってまわったのだろう。周りの視線がすごいのだ。
精霊の宿る武器を持つことへの羨望の眼差し。
ただのガキが人型の精霊が宿る武器を所持していることへの嫉妬の眼差し。
所持者である俺の実力を探る眼差し。
が主なところか。楓の言うとおり少々…いや、かなり鬱陶しい。誰か喧嘩でもなんでもいいから突っ掛かってこないかな―。
「姉様、面倒事は避けてくださいね」
「分かってるけど…周りがこれじゃあな」
「無視して早く学園に向かいましょう!編入試験があるのでしょう?」
「あぁそうだった。そこの果物屋のご主人!学園への行き方を教えてくれませんか?」
「え、あ、ああ。だったらそこの運び屋に頼むといい。王都内ならどこでも乗せてってくれる」
「運び屋ね…。教えてくれてありがとうございます。 運び屋さーん、学園までお願いしまーす」
果物屋の主人に礼を言い、運び屋のもとにかけていった。
「姉様。学園の名前をしっかり伝えた方がいいのでは?」
「ん?あぁ、説明を忘れてた。この王都には学園は一つしかないんだよ。その代わりに、一つの学園で総合戦術棟、騎士棟、魔術棟、従者棟、生産棟の5つの棟に分かれてるんだよ」
「なるほど。だから学園の一言で場所が通じるのですね。ちなみに棟ではどんな違いがあるのですか?」
「総合戦術棟は剣術・武術・魔術とすべてを学び、騎士棟はそのままの意味で騎士になるためのことを学ぶ。魔術棟は説明はいいか、なんとなくわかるだろうし。従者棟は従者としての基本を学びつつテイマーの基本も学ぶ。生産棟もそのまんま。消耗品なんかを作るところかな」
「姉様はどこの棟に入るのですか?」
「私は総合戦術棟。どこに入ってもいいんだけどね、そこが一番楽しそうかなって」
「姉様は楽しいが優先ですもんね」
「嬢ちゃん、編入っていうと何学年から入るんだい?」
「私は2学年からですよ、おじ様。」
「へえ~それは中等の?」
「…いえ、高等です」
「あ、ええと~…」
「横で笑ってるけどこの姿は楓に似せてるんだから、自分が小さいって言われてるんだよ?」
「あ、姉様学園が見えてきましたよ!」
「逃げたね。」
そう言って、前に視線を向けるとそこには学園の入り口を示す門が見えていた。
「お客さん、馬車はここまでしかいけないんだ。悪いんだけどここからは徒歩で向かってくれ」
「ありがとうございました、お金置いていきますね。楓行くよ!」
「はい!姉様」
そうして俺たちは、学園の門を潜って行った。
10/31タイトル修正