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最果ては遠く 休載  作者: 鯉狐
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第8話 収束と加速

遅くなりましたすいません!



 王国の戦力が学生を除けば3万6千人。うち2万が騎士団。残り1万6千が魔術師団。魔物を使役する師団もあるのだが、今回は参戦していない。万が一に備え、撤退用の経路の確保をしている。序列入りしていない生徒も経路確保に参加している。戦争に参加してる生徒の数は300人。総合戦術棟100人、魔術師棟100人、騎士棟100人。不参加の者は現れなかった。そして今残っている戦力は学生全員、騎士団が1万、魔術師団も1万。約4割の損失。

 対して帝国の戦力は兵士は約10万、魔物の数は不明。柊の奇襲で約4万減らし、近衛を一人倒している。近衛を倒す間に、守護術式の4人が約3万減らすことに成功している。それでも戦力は5万以上。少なく見積もって約10万。エレノア達との戦闘で約2万減らしている。

数的に不利、実力的にも不利。それでもまだ逃げていないのは、エレノア、ティア、マリア、レオニカ、オーデン、イリス、バハムート、フェンリル、テミア、皇、守護術式の4人がいるおかげだ。エレノア達は外なる神の力を使いこなして戦っている。イリス達は連携を駆使して戦う。守護術式は単独で戦闘を行う。


「風天!騎士団の撤退の援護を!これ以上はまずい!」


「了解した!雷天!炎天!水天!」


皇が騎士団の状況を読み、守護術式へと指示を出す。


「マリア!ティア!イリス!バハムート!時間を稼ぐから広範囲殲滅魔法を頼む!」


フェンリルも状況を見て指示を出していく。


「「「「神術展開!魔術複数展開!龍術展開!バレット装填!」」」」


詠唱は同じでもここから発動する魔術は別々。


「ハスター付与!抉り抜け!破滅の嵐(ボレアスデストロア)!」


マリア様が契約によって借り受けたハスターの力を付与して放つ。


「クトゥグア付与!焼き滅ぼせ!降り注ぐ破滅の焔(インフェルノレイアー)!」


ティアがクトゥグアを付与し放つ。


「神殿開放!ブラドノヴァ!」


イリスが神殿を呼び出し、始祖としての力を引き出し放つ。


「龍王開放!ドラゴディザイア!」


他の龍王を開放し、龍を統べる者としての力を解き放つ。


全力の一撃が敵陣に刺さる。


「ほとんど殲滅できたけど」


「こっちの魔力も戦力も減っている。柊の援護に行けない」


「そろそろ休みたいですわ」


「私達のように神は無貯蔵の魔力があるとはいえ」


「降りてきてるから、疲れが溜まるな」


神といえどその体は人間と同じ。戦い続ければ疲労が溜まる。消費魔力は膨大にも関わらず、休んで回復する魔力は多くない。それなりの時間が必要なのだ。

現状、近接戦闘をメインで行うエレノア、レオニカ、オーデン、フェンリル、皇のおかげで耐え忍んでいる状態だ。その5人も体力の限界が近づいている。本来ならナズチも来ているはずなのだが、まだ来ていない。


敵をある程度殲滅し、騎士団と魔術師団に交代し休息をとる。多くの犠牲を払いながらも敵戦力を全滅させる寸前、戦闘地帯一帯が何かに包まれた。


「零式、結界展開」


瞬間、声が響く。


その場にいる全員が戸惑う中、誰かが自分の体に起きた変化に気付いた。


「おい、なんだこれ?」


「どうした?」


「体を見てみろよ、傷が青白く光ってる」


その言葉を聞いた者が、自分や周りの者の体を見てさらに困惑する。しかし、この状況を最悪の事態と判断した者達がいる。


「イリス!」


「もう手遅れです!」


イリスとバハムート。それにフェンリルとテミアも気付いた。エレノア達も状況を理解出来たわけではないが、自身の内にいる外なる神が警告を発しているため、警戒を緩めない。


「そう。イリスの言う通り、既に手遅れだ」


先程と同じ声が響く。


「久しぶりだな。イリスにバハムート。それにフェンリルとテミアもか」


声の主が姿を現す。現われたのは、柊と戦闘しているはずの零式観音だった。


「最悪です」


「全くだ」


「よりにもこの神が出てきますか」


「俺は面識はあるがよく知らん」


フェンリルだけが零式の恐ろしさを知らないらしい。


「だけど、イリス達の言わんとすることは分かった」


能力等を知らなくても分かるらしい。


「見た感じパンドラの影響もちゃんと受けてる。更に、なんだこの結界」


「そんなにやばいの?」


イリス達だけで話が進んでいき、置いていかれそうになったところでティアが割り込む


「あぁ。最高にヤバイ」


「結界の効果がパンドラによって強化されているとしたら」


「あの結界がある限り、傷を負った者は等しく死へと導かれる」


その一言にその場の全員が絶句する。


「正確には、ある技によってですがね」


そこに零式が修正を加える。


「何故そんなことを教える」


「知られたところで、問題ないからですよ」


「舐めたことを!」


「止まれ!」


飛び掛かろうとするエレノアをバハムートが制止する。


「あれには攻撃するな。こちらが不利になる」


反論しようとしたエレノアだったが、バハムートの顔を見て言葉を飲み込んだ。


「向こうも直接攻撃することはできない。今は休むんだ」


そうして、砦周辺での戦いは一応の決着を迎え、次なる戦いに備えるのだった。



一方、柊の戦闘は


「天咲流槍術四ノ型槍連」

「天咲流剣術五ノ型飛連」

「天咲流薙刀術四ノ型蓮々飛華(れんれんひげ)

「天咲流剣術五ノ型飛連」


槍術師範代テス、剣術師範代ディアヴェル、薙刀術師範代瑠璃、皇帝グレアムの4人の技が迫る。

テスと瑠璃が連続攻撃を仕掛け、その合間を縫うようにしてディアヴェルとグレアムの攻撃が飛来する。

それに対し柊は焦ることもなく刀を構える。


「天咲流抜刀術回避の型・柳の揺らぎ」


抜刀術に存在する例外、回避の型。抜刀術なのに、抜刀することなくすべてを紙一重で回避する。

回避するのはあくまで連続攻撃の二つ。合間に飛来する攻撃に対して柊は


「抜刀術天衣」


一つを刀で受け、体を回転。他の攻撃にぶつけ相殺、それを繰り返す。一つの技の発動最中に、他の技を発動するのは本来不可能だが、今の柊の処理能力、身体能力があればそれを可能にする。そして、天衣の次には総じてある技が繋ぎに入る。


「無縫」


天衣の次の技へと移るための繋ぎ。いかなる状況であろうとも、次の技が正確に放てるようにするもの。

そしてここからが柊の攻撃。


「鬼神ノ舞参・玄舞黒甲(げんぶこっこう)、鬼神ノ舞肆・演舞白虎(えんぶびゃっこ)


いつもの流れである。黒甲で防ぎ白虎で打ち払う。打ち払い、隙ができた瞬間に後衛に向かって駆け抜ける。


「紫電雷光!」


肉薄するための突進技。一度見ているために即座に対応される。


「展開!水流乱舞!」

「天咲流弓術三ノ型流弓(りゅうきゅう)

「天咲流鉄扇術二ノ型風乱壁面(ふうらんへきめん)

「召喚!アイアンガーディアン!」


魔術師範代の恵梨が秋島(あきしま)舞彩(まいか)の残した陣を利用し魔術を展開。柊の行く手を阻むようにして、水流が乱れ舞う。弓術師範代のタルシスも広範囲攻撃での足止めを。鉄扇術師範代のウィルも風を壁のように展開し、行く手を阻む。最後に召喚術師範代のヴェルトが守護に適した従魔を召喚し防御を固める。柊の背後には体勢を立て直したディアヴェル、テス、瑠璃、グレアム、更に横から拳術師範代(あや)、戦斧術師範代バルトス、頭上からは忍術師範代の紗耶香(さやか)が接近。足止めができれば、包囲して殺すことのできる状況になりつつあった。しかし、柊はここでも焦らずに状況を把握。現状の最適解を導き出す。


「鬼呪抜刀一ノ型道行」


柊の行く手を阻む技の隙間に光の道ができる。


「精霊神刀楓抜刀三ノ型痛絶一閃」


痛みを遮断する一撃を自身に振るい、一時的に痛覚を閉ざす。


「紫電雷光、鬼呪抜刀四ノ型地摺り」


光の道を無理やり進んでいく。そして後衛の4人とすれ違いざま


「天咲流抜刀術閃迅・八連!」


交錯の瞬間に抜刀。眼で捉えることのできない速度で敵を斬る。それを八連。柊だからできる高速連撃。神であるイリス達や闘神であるスルト達、外なる神ですら防ぐことのできない不可視の連撃。


「なにそれ・・・あり、えな」


恵梨が全員の心を代弁するような呟きを残して地面に倒れ伏す。他の3人は一撃目の時点で即死だった。

こうして均衡が崩れたように見えた瞬間、柊はある違和感に気付く。


『おかしい。零式の反応が弱い。というより無い。』

「まさか!?」


「やっと気付いたか」


柊の声にスルトが反応する。


「おまえら!」


そう吠えながら、即座に転移魔術を展開


「させねぇよ!」


周囲から遠距離攻撃用の技が放たれ、魔術の展開式を乱される。


「だったら!」


新たな術式を構築、展開する。


「こうすれば邪魔も何もできねぇよな!」


瞬間その場の全員が光に包まれた。


「転移!」


そうして柊の戦闘にも一旦の区切りがつき、戦場が変化していく。



砦の内側、王国軍の休息地


「全員警戒態勢!」


安息の一時が終わりを告げた。


「何か来ます!」


警戒する先に巨大な魔方陣が構築され、光があたりを満たす。

そうして中から現れたのは、


「無茶苦茶なやつだ」


「これくらい無茶にもなってねぇよ!」


柊とグレアム達帝国の精鋭と闘神。

余談だが、楓はケテル発動後は刀に宿り、いつでも全力戦闘ができるように準備していた。


「柊!」


イリスの声に反応した柊が一瞬で後退。帝国の残存勢力もグレアムのもとに集結。王国軍も動こうとしたが、柊が止める。


「王国軍は動くな。イリス、治療を続けてくれ」


イリスと王国軍を除く王国側の戦力が集結し、両者正面から対峙する。


どちらも動くことなく、緊張感が高まる戦場に一つの声が響いた。


「遅くなった!」


声のする方を振り向けば、そこにいたのは鬼神ナズチ。


「神域で起きた暴動を止めるのに時間がかかって」


「なに!?」


「詳しいことは今度ね。今は」


ナズチの気配が一転。鋭く研ぎ澄まされていく。それにつられ両者共、気配が研ぎ澄まされる。

そして、


「ケルビム抜刀終焉の太刀一番ケテル」


楓が姿を現した瞬間に戦闘が再開された。

9話の下地は出来ているので、遠くないうちに出せたらいいなと思ってます。


ちょっとしたIFストーリーを考えているのですが、ここに投稿するかは不明です。

そっちに時間を割いてる面もあるので、いつかは投稿したいと考えています。


ではまた次回!

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