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最果ては遠く 休載  作者: 鯉狐
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第7話 戦況

「いきなりだな柊」


「お久しぶりです、バルトス師範」


「いきなり来るから秋島が死んだじゃねぇか。同期だろ?」


「同期だとしても、今は敵です」


「そうか。なら遠慮はいらねぇな!」


その場の全員が戦闘態勢に入る。

そして名乗りを上げる


「射手座のタルシス」

「牡牛座のディア」

「蠍座のテス」

「水瓶座の恵梨(えり)

「天秤座のバルトス」

「乙女座の舞彩(まいか)

「獅子座の(あや)

「蟹座の紗耶香(さやか)

「双子座のウィル」

「魚座の瑠璃」

「山羊座のヴェルト」

「死んだのは牡羊座の秋島」


タルシスは弓術の師範代、ディアは剣術師範代、テスは槍術、バルトスは戦斧術、ウィルは双弓術、ヴェルは召喚術の師範代。残りは師範代を超えた実力者だ。


「闘神スルト」

「闘神アポロン」

「闘神白夜」

「闘神零式観音」

「神帝国皇帝グレアム」


聞きたくない名前が一つ飛び出した。零式観音だと?


「天藤流・現人神天藤柊」


息を吸い吐き出す。


「行くぞ!」


最前線で戦闘の火蓋が切って落とされた。


「零式、飛ばせ」


「転移」


いきなり転移!?何を・・・


「風天!全員で王国の守備に回れ!」


叫んだ直後、帝国の兵士や魔物の姿が消えた。王国の近くに転移させたのだろう。以前来た使節団は、転移先を固定するための役割もあった。

兵士が消えたことで状況を把握した風天は、他の守護術式を連れて皇のもとに転移。これで被害は多少抑えられるはず。あとのことは向こうに残ってる皆に任せるしかない。


「意外と判断が早いな」


「いいのか?自慢の術式まで戻らせて」


「問題ねぇよ!」


嘘だ。問題ありまくりだ。この戦力差どうしてくれよう。


「まぁ一人ずつやってけば問題はないな!」


「簡単には通しませんよ!」


前に出てきたのは、防御に長けた盾術の使い手、舞彩。乙女座の力で男から受ける攻撃を激減する力を持っている。


「相性最高だな!でも!」


その防御の上から貫けばいい。それができるだけの力があるのだから。


「舞ノ型始祖ノ舞、参ノ始祖エルジェーベト!」


女性特攻の型。エレノア達でも防御不可能、さらにはナズチのような神にも十全に効果を発揮する。


「天咲流防御陣奥義!背水!」


エルジェーベトを見て、即座に危険性を察知して奥義を繰り出す判断力は悪くない。けど、


「楓!」


この戦場にいる唯一の味方の名前を呼ぶ


「はい兄様!ケルビム抜刀三ノ型終焉の太刀一番ケテル!」


防御の意識をすべて前に向け、ほとんどの攻撃を防ぐそれは、確かに奥義にふさわしい。が、前に意識を向けるということは、後ろが疎かになるということ。他の誰かがいるとはいえ、気配を殺していた楓には闘神ですら察知することができない。

そしてケルビムの抜刀術。その一つが開かれる。ケテルが引き起こすのは太陽の如き劫火の刀身。ただの袈裟懸けだとしても、斬られた個所から体を焦がしていく。

ケテルで姿勢の崩れたところにエルジェーベトが命中。血を奪われ、肉体を焼かれていく。


「おいおい。マジで容赦ねぇな」


飛び出そうとしていたバルトスが声をかけてくる。


「さっき言っただろう。敵だと」


同期で同じ門下生だとしても、師範だとしても、神だとしても


「あの国を脅かす者に容赦はしない」


バルトスたちが後ずさる。アポロンやグレアムも例外なく後ずさる。俺の闘気、殺気、魔力に充てられたから。


「白夜の力で強化されたところで意味はないんだ。まとめて来い」


安い挑発に乗った近衛が一斉に仕掛けてくる。




「柊さん・・・」


「今はあいつを信じよう」


「はい」


柊のいなくなった砦では、エレノア達と序列メンバー、騎士団、魔術師団が戦闘態勢で全方位を警戒していた。警戒に隙はなかった。隙はなかったのだ。


砦の一角から煙が立ち上る。


「何事ですの!?」


「確認取れました!敵襲です!」


「バカな!」


「結界はどうした!?」


「反応した瞬間攻撃を受けました!」


「転移魔法による奇襲だ」


緊急事態に慌ただしくなる本部に、冷静な声が響き渡る。


「皇、どういうこと?」


「風天達が転移で戻ってきて説明してくれた。今はもう、敵の対処に出ている」


煙の方に視線を移せば、守護術式の4人が応戦しているところだった。


「おい、弟子共!」


本部に新しい声が響く


「師匠!」


エレノアが師匠の呼んだ人物。皇でないなら、当てはまる人物など簡単に想像できる


「バハムート様!イリス様にフェンリル様まで!」


神の3柱。エレノア達と最も仲の良い神。


「柊に頼まれたからな!」


「もう一人、助っ人はいます」


「ティアちゃんの関係者よ」


「私の?」


ティアに関係のある神は、今出てきたイリス達3人だ。それ以外は知らない。


「隠れてないで早くいけ」


「嫌よ!なんで私までいかなきゃいけないの!?」


「伊織と柊の頼みだぞ?断れるわけないだろ」


「そこは断ってよ!」


「いいからいけ!」


フェンリルとバハムートに押され、もう一人が姿を見せる。


「え」


「・・・久しぶりね、ティア」


「お母さん?」


「ん?今なんと?」


「自己紹介するわね。現狩猟の神でティアの母親のテミアです。娘がお世話になっています」


ここが戦場ということを忘れて、全員が唖然としている。


「詳しいことはあとで話すとして、今は敵を何とかしましょう」


「そうでしたわ!」


「敵は1か所に集中してる」


「なら対処は出来る」


「ここにいる者と、守護術式の4人で前に出る。騎士団、魔術師団、学生は後方支援。騎士団は必ずチームを組んで対処。魔術師団は騎士団をメインに補助。学生は討ち漏らしを任せる」


バハムートと皇が全体の動きを指示。それに従うべく、行動が開始される


「柊に頼まれたんだ。絶対守り切るぞ!」


「おー!」いたるところから気合の叫びがあがる。



「バハムート、マリア、ティア!」


イリスが呼びかけアイコンタクト


「「「「バレット装填!龍術展開!喰らい尽くせ!ハウリングドラゴン!」」」」


「あの4人は派手だな!」


「エレノア、オーデン!」


レオニカが呼べば二人が反応し、此方も合わせる


「神名開放!タラニス、リヴァイアサン、プロメテウス、シュトゥルム!」


「ニディア属性開放!」


「神槍開放!副武装聖剣聖槍展開!」


「グレン・ゼ・カタストロフ!」


「グランドサイファー!」


「貫けグングニル!切り開けエクスカリバー!穿てロンゴミニアド!」


「皆派手ね」


「私たちも続きましょうか」


皇とテミアが弓を構える


「「ミーティアフォール」」


放たれた矢は天へと消え宙から隕石を呼び込む。神の力を必要とする技。


「貴方、神の力なんて持ってるの?」


「柊に少しだけ借りましてね」


この場にいる最強戦力の一撃が着弾。敵の戦力を大きく削る。

騎士団長と魔術師団長、ローズ学園の学園長がそれぞれの指揮下に指示を出す。


「姫様達だけに活躍させるな!この国を守るのは我等の役目!行くぞ!」


「魔術師団、騎士団を全力援護!複数詠唱を覚えたんだから、見せつけなさい!」


「生徒諸君、命を大事に!無茶はしないように!攻撃開始!」


指示を受け全員が己の役割のため、攻撃を開始する。



「柊さんの言ってた通り、複数で対応しないと不味いな」


騎士団長が早くも戦況を分析し始める。こちらが開戦してすぐに被害が広がり始めた。

魔物と兵士の統率が取れているために、奇襲や囮、挟撃に身代わり、様々な方法で攻撃を仕掛けてくる。

さらに厄介なのが敵の中に、気配を殺せるものがいることだ。おそらくアサシン部隊。対処できなくはないが、うまく連携してくるため被害が増えている。


「兵を下がらせて!」


「了解!」


エレノアが指示を出してもそれに従う。兵をいったん下げ治療に専念。その間はエレノア達が応戦。

敵の数を減らすことができてはいるが、此方の数もかなり減っている。


「柊が減らしてくれたとはいえ、かなり厳しいな」


「弱音を吐いている時間はありませんわ!」


「奥にでかいのが控えてる」


「命を懸けてでも、守り抜いてみせる!」


砦での戦いが佳境を迎える。

おまけ

秋島ですが、弱いわけではないです。罠を用いるために市街地戦や籠城戦、森林などの障害物がある場所、待ち伏せなどで本領を発揮するタイプです。

舞彩も他に複数の盾持ちがいるとさらに活躍することができます。そもそも、天咲流盾術は集団で使うものであり、個人で使うものではないです。使えないことはないですが、効果を十全に発動することはできません。


ではまた次回!

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