三章 第3話 合宿
記憶の中の言葉を使うと今は 夏休み前の期末テスト が終わったところ。
神域での修行だったり、皇の稽古だったりで勉強の時間を削られていたエレノア、ティア、マリア、レオニカ、オーデンの5人は.........
問題なく試験を突破した。楓も余裕で突破。
試験の順位も公表された。学年ごとに別れていて、オーデンは3年生成績1位。
他の5人は全員2年生のため 1位楓、2位エレノア、5位マリア、8位レオニカ、10位ティア、となった。ちなみに、3位はあのエ(ル)ロ君だ。
期末テストも終わり、楽しい夏休み!と意気込む生徒と帝国の侵攻の話を受け、招集に応じ緊張する生徒に別れながら、2ヶ月の長期休暇、夏休みへと突入した。
楓を含む7人は、夏休み前と入ってすぐに課題を片付けた。何故なら、夏休みには学園長主催の合宿に参加するとこになっていたからだ。この合宿毎年恒例行事なのだが、あまり参加者は集まらなかった。しかし今年は、楓、エレノア
ティア、マリアの4人が参加することから、多くの参加者が集まっている。男子の大半は下心全開である。女子は、そんな男子から守るため、そしてあわよくば!といった感じで参加している。学園長は陰で涙した。しかし、学園長も4人の参加に内心ウキウキ状態だった。何故学園長と男子生徒がウキウキなのか、それは単純明快、合宿場所が海なのだ。そう海なのだ!夏だ!海だ!水着だ!という訳で盛り上がっているのだ。ちなみに女子の一部にもこういった生徒も混じっている。多くの生徒の関心は楓に向けられている。女子生徒は楓を連れて水着を選びに行こうとした。主に楓の水着姿を拝むために。それをマリア、エレノア、ティアが阻止。この3人による楓の水着選びが始まり、結果的に着せ替え人形になった。ちなみにレオニカ、オーデンの2人は荷物持ち役として、同行している。時たま意見を求められたりするので、他生徒からすれば羨ましいかもしれない。しかし、荷物持ち役である!つまりどうなるか?想像出来るだろう。ショッピングに出かけた女子4人。しかも1人のために行き、水着を選ぶ。それだけに留まるだろうか?否!他にも買い物をするだろう。2人も「楽しくはあったが、大変疲れた」と語っている。そんなこんなで学園長主催ローズ学園夏期合宿が始まった。
ここまで説明してきたが、肝心の合宿の日程を説明しよう。
合宿は3週間に渡り行われる。場所はエルロード国の南西に位置する、学園所有のプライベートビーチ。
最初の1週間は座学を中心に体力作り、筋トレなどの基礎トレを。
次の1週間は、服を着たままの着衣水泳の授業、潜水の授業、楓による水中歩行、水上歩行の授業。
最後の1週間は、これまでの2週間の復習という名の自由時間。この1週間が、合宿参加生徒達お楽しみの水着の時間なのだ。
補足説明だが、最初の1週間の座学の授業を免除される生徒がいる。免除されるのは成績上位15名。楓達は全員免除である。そして免除された楓達が何をしているかというと、
「ティアさん!速度落ちてます!」
「レオニカ!まだ短い!もう少し長く!」
「エレノアさん速度はいいので、もう少し真っ直ぐ!」
「オーデン合格!休憩して良し!」
「マリアさんも合格です!休憩どうぞ!」
「姉様と父様が張り切ってます」
フウちゃんが言う通り、楓と皇は張り切っている。何故なのか。それは、現在行っているのが天藤流の技能の鍛錬中だからだ。本来合宿の2週目に行う水中歩行、水上歩行を今行っている。更に、このメンバーは水中戦闘、水上戦闘の鍛錬も同時に行っている。だから師範である2人は張り切っているのである。張り切り過ぎている。
「あの2人厳し過ぎですわ!」
休憩に入ったマリアの第一声がこれである。それにオーデンが苦笑しながら言葉を返す。
「後継者が増えることが嬉しいんですよ。ですから、今は我慢しましょう。それに、習得したら便利じゃないですか」
「わかっていますわ!それでも、厳し過ぎ!」
マリアの口調が乱れた。それ程までに厳しいのだ。
「よし!今日はこれまでだ!」
「ティアさんもエレノアさんも習得が早いですね!しっかり休んで明日には完全に習得しましょう!」
「「「「「鬼だ!」」」」」
と、そんな感じで1週間を消費した。
そして2週間目。楓による水中、水上歩行の授業。潜水の方は、水中歩行が出来た人のみ受けることが出来る。
「水上歩行は風魔法、水魔法、単純な身体能力の3種類の実践方法があります」
風魔法で水面と足の間に膜を作り、滑るようにして移動する。これが風魔法式水上歩行術。
水魔法で足に水の膜を作り、水面と一体化させる。足が多少沈むが、水流調整をすれば最速で移動できる。これが水魔法式水上歩行術。
単純な身体能力はそのままの意味で、足が沈む前に次の足を出し、また沈みそうになる前に、といったふうに行う。まぁ最後のは楓ですらやらない。楓は水と風の複合魔法で水上歩行をする。
「この中で私が勧めるのは、風魔法式水上歩行術ですね。魔法の使い方とバランス感覚さえ掴んでしまえば出来ますから」
この一言で全員が、風魔法式を練習し始めた。
1時間経過。
「姉様、誰か習得しそうな人いますか?」
「うーん、今のところ微妙かな」
2時間経過。
「姉様、以下略」
「序列入りしてる人は感覚は掴めてきたみたい」
3時間経過。
「姉様、そろそろじゃないですか?」
「あぁ〜そうかも。全員ちゅうも〜く!」
全員が楓の方を向く。
「そろそろ魔力切れになりそうなので、一旦休憩しましょう!」
休憩終了、4時間経過。
「姉様、以下略」
「面倒くさがならいでよ〜」
5時間経過。
「みなさーん、そろそろ終わりにしますよ〜!」
楓が宣言すると、全員が悔しそうにしながら撤収し始める。
「習得する人現れるといいですね」
それから2週間目の最終日になるまで、誰一人として、習得出来たものは現れなかった。
2週間目最終日。
「出来たー!!」
唐突にそんな声が聞こえる。聞こえた方を振り向けばそこには、風魔法式で水上歩行をするエ(ル)ロ君が。
「姉様、良かったですね」
「エルロ君おめでとう!」
「はい!ありがとうございます!」
エルロ君が習得したことにより、序列入りしてる生徒のやる気が溢れた。
アイツに負けるか!俺も楓ちゃんに名前で呼んでもらうんだ!お姉様に褒めてもらうチャンス!等々、欲望に忠実だ。その欲望のおかげで序列メンバーは全員水上歩行は取得。しかし、水中歩行と潜水は誰一人受けることなく終わった。
今更な話、水上歩行と言ってはいるが実際は水上スケートの方が近い表現にはなる。〇娘みたいな感じ。
そして、ローズ学園プライベートビーチ宿舎。
男子寮、女子寮と別れている訳ではなく、一つの建物に全員が泊まることになる。部屋割りは特に決まっておらず、男女混合でも男子のみ、女子のみでもなんでも自由だ。ただし複数人が条件。これだけ聞けば何が起こったか分かるだろう。楓争奪戦だ。エレノアさん、ティアさん争奪戦もあったそう。最初から楓はエレノアさん、ティアさん、マリア様、レオニカさん、オーデン先輩と一緒にする予定だったのでお誘いを拒否。レオニカさんとオーデン先輩は生徒全員から睨まれたとか睨まれてなかったとか。
サボってましたw
久しくPSO2にハマりまして...
年末年始で話を進めていくつもりですm(_ _)m
ではまた次回!