第九話 天藤楓の秘密2
前回からの続きですが全く秘密に関する会話はありません。
何故でしょう?食事を挟んだらそこで終わらせるのが良い気がしたんです
ではどうぞ
「ふむ、たしかにいい時間ではあるが、外食でもするのか?それとも簡単なものを買ってくるのか?」
私の問いに答えたのは学園長だ。
「それでもいいですが、私王都に来てまだ数日なんです。だからお店とかわからないんですよ。それでですね、キッチンは備え付けなんで何か作ろうかなと、思いまして」
「ほう。楓さんは料理ができるのか。しかし、この人数分を作るのは大変ではないか?」
「学園長の言う通り。楓一人は大変」
「そこは心配いりませんよ。一人ではなく二人ですから」
「姉様、手伝うので早く作りましょう。話はまだ続きます。遅くなると大変ですよ」
「そうだった。急いで作りますか~。で、何作る?」
「そこは姉様が決めてください」
「無難にアレで行こうか」
「アレですね?わかりました」
「楓さん、アレとは何ですか?」
楓と二人で話を進めているとシルヴェルト先輩が話に入ってきた。アレという表現が苦になるのだろう。他の三人も気になっているようだ。
「そこは秘密です。ただ、皆さんが食べたことのない料理ですよ。手間も時間もかからない簡単料理です。あぁ~味は保証します」
「そこまで言われると余計気になりますね。ですがわかりました。出来上がるのをおとなしく待っていますね」
そういってシルヴェルト先輩は引き下がった。他の三人もおとなしく待つことにしたようで、何か話し合っていた。
「それにしても、彼女は本当にすごい人物ですね」
「ちょっと、おとといの自分の行動が恥ずかしく思えてきたな」
「?エレノア、楓に何かしたの?」
「いやまあ、なんというかその…」
「言いにくいなら言わなくていい」
「そうしてくれ。過去の自分を斬りたいくらい恥ずかしいんだ」
「学園長、いえ、祖父上、彼らのことどうするおつもりですか?」
「彼女の実力は王都に住まう者に知れ渡ってしまった。さらには、国王が彼女を騎士団に欲しいと言っていた。他にも、他国の重鎮も彼女の今後に注目している」
「彼女がこの学園に所属しているから直接の勧誘がないだけ、の状態ですか」
「それも、この学園にいる間だけ」
「楓さんはどうするつもりなのか」
なんか難しそうな話をしているな~ってそうじゃなくて、
「皆さんできましたよ~」
そういって、料理の乗った皿を持っていく。そうして配られた料理を見て、四人はまた固まっていた。
「これは、やきそばという料理です」
「やきそば?初めて聞く」
「確かに食べたこともないですね。いやそもそも聞いたこともありません」
「それはそうですよ。これは私のオリジナルですから」
「姉様、正確には既存の料理をアレンジした、が正しいです」
「むぅ~。楓は細かいよ」
「既存の料理をアレンジ?もしかして、そば?」
「よくお分かりで。正解です、ティアさん」
「でも、ほとんど別物。どうやって作るの?」
「麺を作る段階から配分とか違うので、詳しいことはまたの機会に。今回は別の話がありますから」
「分かった。その時はぜひ一から教えてほしい」
「私も教えてもらえるか?」
「エレノアさんも料理するんですか?」
「一応。得意ではないがな」
「なら、料理教室でもやりましょう。エレノアさんも料理を上達させましょう」
「おお~!それはありがたい」
「姉様、いえ、兄様なのにやることがそこらの女性より女性らしいですね」
「か・え・で~?」
「なんでもないです!それより時間なくなりますよ?」
「今度覚えておきなさい。それじゃあ食べましょうか」
「「「「「いただきます」」」」」
一口食べてから皆、静かになってしまった。決してまずいとかではなく、やきそばの味に魅了されているのだ。四人ともしゃべることなく食べ続ける。そして、あっという間に完食した。
「「「「ごちそうさまでした!」」」」
「はい、お粗末様です」
「儂、やきそば好きじゃ」
「学園長、これ学食に追加できないですかね?毎日食べたいです」
「先輩に同意。学食に追加するべき」
「楓さん、このやきそばを学食で提供してもいいだろうか?レシピを教えてもらうのだからお金は払う」
「ん~これで商売するつもりないんで、今度開く料理教室に、学食の人連れてきてください。教えるのは全然いいので」
「ありがとう!これで毎日やきそばが!」
「いや、毎日はさすがに健康にアレなので、バランス考えてくださいよ」
そんな会話をしてから、本題に戻る。
「それじゃあ、さっきの続きですね」
ほんとになんでこうなった。
今更ですが、柊は楓の姿に戻ってから話し方も戻してます。じゃないと違和感ありますしね。
説明回次回で終わればいいんですけど...長くなりそうなら二つに分けます