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ある異世界転移者の苦労の話。  作者: プロフェッショナル素人
8/10

8話 アイツは?

あらすじ

居場所がバレるのが心配で中々寝れなかった。

初めてのストーキングは上手くいった。

合法的に門を通る方法を考えたい。



とにかく門を通る方法を考えないと。


何分か考えてみて、いくつか方法を思いついた。


1,田舎者のフリ


2,並んでる人からこっそり身分証を盗る


3,潜伏状態でコッソリ入る


···。


2番は明らかに犯罪だ。


この世界の法整備がどうなっているかは知らないが、スリは普通に罪に問われるだろう。


出来れば合法的な手段で入りたい。


3番も駄目だろう。


わざわざ門で身分証の提示を求められている以上、不法入国の罪に問われる事になってしまうと考えられる。


となると一番しか残らないが、それも駄目だろう。


田舎から出てきた、というのは異世界転生モノでは結構ありがちな言い訳だが、上手くいく気がしない。


入り口で身分証の提示を求められている以上、身分証がないと入れないと考えるのが妥当だ。


下手すれば田舎の人すら全員身分証を持っている可能性もあるしな。


まぁ、あれこれ一人で考えても仕方ないな。


とりあえず身分証を持ってなさそうな人でも来ないかと列に並ぶ人を観察することにした。



にしても暇だ。


並ぶ人は大抵冒険者らしき武装した人か、商人らしき荷物を背負った人しかいない。


退屈で暇をもて余していたとき、ふと思い出した。


俺、よく考えたらこの世界に来てから何も食ってねぇ。


異世界にこれたって興奮ですっかり忘れてたが、今思い出したら急に腹が減ってきた。


何か食べ物持ってたっけ?


かき氷、ラムネ、スイカ···ほぼ水分。


何でこんなほぼ水分みたいな食べ物しか出なかったんだよ。


他にも素麺とか焼きそばとかあっただろ。


ほぼ水分でも何も無いよりはマシだろうが、空腹に水分はちょっと嫌だな。


···そうだ。


初心者ボーナス的な奴で携帯食料が入ってた筈だ。


それなら多分結構腹に溜まる筈だ。


アイテムBOXから携帯食料を試しに一食分取り出してみる。


ソレは銀色の包装紙に包まれていた。


包装紙を破き、中身を取り出してみる。


見た目は焦げ茶色をした直方体で、少し甘い香りがした。


試しに一口食べてみると、口の中に感じたことのある人工的な甘味が広がった。


···カロリーのメ○ト的な奴だな。


それもチョコレート味の。


まぁまぁ好きだから文句は言わないが、干し肉的なのを想像していたので少し複雑である。



空腹だったので二袋目の携帯食料を食べ終えしばらく待っていると、少し違和感を感じる男が現れた。


別に何か特殊な物を持っている訳でも変わった格好をしている訳でも無く、普通の冒険者って感じの見た目だったが、何か感じるモノがあった。


何だろう、凄く気になる。


いや、別に俺は同姓に恋情を抱くタイプでは無い筈だ。


···そうだ。


[観察(ウォッチング)]を試してみよう。


アイツの事が何か分かるかも知れない。


とりあえず心のなかで[観察(ウォッチング)]と念じる。


すると、俺の視界が急激に狭まり、あの男に標準が合うように感じた。



···意識がどんどんアイツに集中していくのがわかる。


その一挙手一投足が鮮明に伝わってくる。


息づかい、指の動き、鼓動の速さまでが伝わってくる。


あの男の事だけしか五感の情報が全く入ってこない状態が続き、とても気持ちが悪くなってきたのでスキルを解除しようとした。


その時、急に今まで聞いたことのない声が聞こえてきた。


『よし、この門をくぐれば俺の最高の異世界生活が始まるぜ!エルフ、ケモ耳、モンスターっ娘。フフ、早くハーレムつくって堕落した生活が送りたいなぁ!』


俺は即座に[観察]を解除した。


···何だったんだ今のは。


いや、多分[観察]の効果だろうけど。


観察対象の心が読めるのか?


だとしたら思ってたより便利なスキルかもしれない。


ただ、男に使うのはもう勘弁したい所だが。


にしてもさっきの男。


アイツも俺と同じ世界から来たのか?


いや、もしかしたら同じような文化を持った別な世界かもしれないが。


アイツの思考から考えると、『最高の異世界生活が始まるぜ』と言ってた(考えてた)から、多分俺と同じく来たてホヤホヤだろう。


だとしたら、アイツも身分証は持ってないよな。


でも自信ありげに列に並んでるし、何か策があるのかな。


とりあえず見てるとするか。



少し待つと、直ぐにアイツの番が来た。


どれどれ、どうするのかな?



「次。身分を証明するものはお持ちですか。」


「すいません、持ってないんです。何せ仕事を探しに田舎の村から出てきたばかりで。」


···俺と思考回路が一緒じゃねぇか!


いやいや、別にそれは良いんだ。


問題は上手くいくかどうかだ。


あいつは身分証の提示を求められている意味が分からないのだろうか。


素性の知れない奴を無闇に街に入れない為の門番なのにそんな言い訳で通してくれる筈が···


「なるほど。では、身分証を発行するのでこちらの水晶に手をかざして下さい。」


通るんかい。


と言うか、身分証の発行してくれるとか割としっかり対応されるんだな。


田舎から働き口を探してくる人は結構いるのかも知れないな。


アイツが水晶に手を触れた所で俺も列に並ぼうとしたとき、門番さんの口から想定外の言葉が聞こえた。


「はい。これが身分証です。登録料として1000G(ゴールド)頂きます。」


金取るのかよ!


俺が驚きで硬直している間に、アイツは門番に赤褐色のコインを一枚渡してさっさと中に入って行った。


まじか、全然思い付かなかったわ。


でもそうか。


普通に考えたら金はとるか。


うーん。


だとしたら結構困った事になったぞ。


俺はびた一文持っていない。


何なら通貨がG(ゴールド)だって事を今知った所だ。


···よく考えたら何でアイツは金を持ってたんだ?


俺と同じようにこの世界に来たのだとしたら、金は持ってないはずだ。


うーん、わからん。


いや、他人のこと考える前にまずは自分の目の前の問題を解決しないとな。


金を用意する手段はいくつかある。


1,借りる…並んでいる人から借りる。

2,売る…ガチャで出たアイテムを売る。

3,奪う…森の方で背後から人を襲い奪う。

4,盗む…隠密を使いこっそり盗む。


1の『借りる』はこの場で誰かを説得して借りれるほどの度胸もないし無理だ。


2の『売る』も初対面の得体の知れない奴から何か買ってくれる人がいないだろうし無理だろう。


3の『奪う』は相手が俺より強くて返り討ちにあったら大変だから嫌だ。


だったらもう一択だ。


···盗もう。


さっきまでは出来れば合法的な手段で入りたいとか思っていたが仕方ない。


いや、違うか。


バレなきゃ犯罪じゃない。


だから俺が今からすることは罪では無い。


そう、きっとそうだと信じよう。


俺は辺りを見渡して一台の馬車に目をつけ、コッソリ中に入った。


中には木箱やら大きな袋やらが積まれており、いかにも商人の馬車といった雰囲気がする。


細心の注意を払いつつ中を漁っていると、口の部分から光沢のある銀色の何かがはみ出ている袋を見つけた。


その袋を手に取り開けてみると、中には銀色の硬貨がギッシリつまっていた。


多分これがこの世界の通貨だな。


で、銀色だから多分銀貨だろう。


銀貨が一枚何ゴールドなのかは知らないが、この手の異世界では金貨の次くらいの価値があるのが定石だ。


金貨は大抵高価だから、銀貨もそこそこ価値はあるはずだ。


だとしたら、これだけあれば当面は大丈夫そうだ。


でも、田舎から出てきたと説明するなら、こんな大金(推定)を持ってると怪しまれそうな気がするな。


何か都合の良い隠し場所は···。


···そうだ、俺にはアイテムBOXがあった。


確か念じだるけでも収納できた筈だ。


試しに袋を手に持ち軽くアイテムBOXに入れると念じてみると、一瞬で袋は消えた。


多分これで収納できたはずだ。


とりあえず確認してみよう。


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所持金 370000G


·食品  13/30


·魔道具 00/30


·装備  22/30


·素材  01/30


·その他 04/30

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何か『所持金』の欄が現れて···って37万G?!

良ければ評価、ブックマーク等お願いします。

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