7話 スキルって便利
あらすじ
( ゜д゜) 何か人が来た!
[壁]_・) 潜伏!
(-ω- )o< 盗聴!
冒険者達が寝始めたので俺も寝ようと思い、その場で横になった。
しかし、眠りに落ちる寸前にふと思った。
寝たら潜伏の効果が切れるんじゃね?
いや、使いたいと思ったから発動したのだとしたら、止めたいと思わなければ効果は切れないのではないか。
しかし、一度不安になってしまうとどうしても気になってしまい、結局一睡も出来なかった。
誰かが見張りのために起きていた訳でも無いため、俺は一人部屋の隅で一晩中じっとしていたので、ひたすら寂しかった。
あと、夜は普通に寒かった。
翌朝、五人組の冒険者達が出発の準備を始めたので、俺もとりあえず準備をする。
とは言え、別に荷物なんて持ってないな、と思ったが、服装がジャージのままだった事に気がついた。
折角着替えを入手できたのにすっかり忘れていた。
着替えをしにとりあえず外に出ようかと思ったが、ふと気づいた。
潜伏状態の俺が今この扉を開けたら、冒険者達からすれば急に扉が開くように見えて、不自然なんじゃないか?
しかし、冒険者達が出発してから着替える、何て事をしてたら追い付くのが面倒になってしまうな。
···まぁどうせ見えないのだから、ここで着替えて良いだろう。
そういや、着替えはどこにあるんだっけ?
···そうだそうだ。
アイテムBOXの中に送られたんだ。
俺はメニュー画面を開き、アイテムBOXを開く。
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·アイテムBOX
·ランクEで開放!
·ランクCで開放!
·ランクAで開放!
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何だ?
ランクをあげないと使えない機能があるのか。
いや、そもそもランクって何ぞや?
まぁそれはおいといて、とりあえずアイテムBOXの画面を開こう。
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·食品 04/30
·魔道具 00/30
·装備 13/30
·素材 01/30
·その他 03/30
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アイテムBOXはこんな感じなのか。
とりあえず全部確認しておきたい所だが、いちいち確認してたら時間がかかってしまうので、さっさと服を出す。
とりあえずその場で着替えたのだが、見られていないとは言え、他人の前で着替えるのは普通に恥ずかしかった。
俺が着替え終わって数分後。
うっかり椅子にぶつかってしまい、音をたててしまったりもしたが、何とか気づかれずに過ごすことができた。
あとはこの人達に(勝手に)ついていけば街に着ける。
そうすれば、俺の異世界生活のスタートだ。
そんな事を考えていると、カレンさんを筆頭に小屋から出ていき始めた。
俺は気づかれないようにそっと扉をあけ、サッとでてすぐに閉めた。
少し音がなってしまいひやひやしたが、誰にも怪しまれずにすんだ。
もしかしたら多少の音なら[潜伏]によって無効に出来るのかもしれない。
とは言え今はこの人たちを追跡して街に向かうのが最優先だ。
スキルの検証は街についてからにしよう。
念のためある程度の距離を保ちつつ着いて行っていると、ふと思い出した。
···そうだ。
折角だから[追跡:S]も使おうと思ってたんだ。
というわけで、冒険者達五人に向け、追跡と念じてみる。
すると、五人と俺に見えない糸の様な物が繋がったような感触を感じた。
試しに後ろを振り向くと、見えていない筈の彼らの動きが手に取るようにわかった。
凄いな。
さすがはSのスキルといった所だが、一つ難点がある。
五人の動きを認識しても脳が処理しきれておらず、少し頭が痛いのだ。
なので、カレンさん以外の追跡を解除する、と念じてみると、5つのうち4つの糸が切れた様な感覚があった。
よし。
これで大分楽になった。
にしてもスキルは念じれば発動も解除も出来るんだな。
まぁ、いちいちスキル名を口に出さなきゃ発動出来ないとしたら、俺は「ストーキング!」っていちいち宣言して人の後を追うっていう中々危ない人になってしまう。
そう言う点でも便利なシステムだろう。
とりあえず黙って追跡すること数十分。
ようやく街の外壁がまでたどり着いた。
昨日の日没頃、冒険者達が入って来てからずっと発動しっぱなしの潜伏の効果が未だに切れないって事は多分制限は無いのだろう。
って事は結構な強スキルと言えるのではなかろうか。
それはそうと、街の入り口と思われる場所には馬車に乗った商人っぽい人や武器を背負った冒険者らしき人など、沢山の人が並んでいた。
多分数分でカレンさん達の番が来るだろう。
にしても、こういうファンタジー系の異世界ではお馴染みな外壁だが、実際に見てみると実に壮観だな。
ん?よく考えたらこんな立派な外壁があるって事は結構大きめな街なんじゃないか?
うーん、カレンさん達は街に関する事よりは変異種の魔物についての話の方が多かったから、街についてはよく分からないんだよな。
まぁ、詳しいことは街に入ってから調べるとするか。
···というか、俺は街に入れるのだろうか。
今さらながら不安になってきた。
最悪の場合はこのまま潜伏状態でこっそり中に入ることもできるが、出来れば正攻法で入りたい。
後で面倒な事になったら嫌だからな。
あれこれ考えている間に、順番が回ってきた。
冒険者達に門番らしき人が問いかける。
門番とはいっても見た目的にはまだまだ新人っぽい人だ。
「次。何か身分を証明するものはお持ちですか?」
やっぱり身分証の類の物は要るんだな。
だとすれば俺はどうすれば良いんだ?
田舎から出てきたから何も持ってないと言えば何とかなるだろうか。
そんな事を考えていると、カレンさんが懐から何やらカードを取りだし、提示した。
「はい、これ。···って言うか、毎日のように顔会わせてるんだから一々提示しなくても良くない?」
「規則だから仕方ないだろ。ほら、次の人の邪魔になるからさっさと進んで。」
門番さんとカレンさんは顔馴染みなのか。
まぁ、話を聞いていた限りだとそこそこの実力者っぽいし、結構顔が広いのかも知れない。
そんな事はどうでも良いとして、俺がどうするかをちゃんと考えないと。
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