10話 初めての異世界の食事
あらすじ
金を盗んだ。
町に入った。(盗んだ金で)
宿屋に泊まる事にした。(盗んだ金で)
俺は夕食を食べる為に宿屋の隣の食堂に向かった。
とりあえず宿屋を出て右隣の建物を見てみると、なかなか小綺麗な店が建っていた。
看板には『御食事処 竜の舌』と書かれている。
先程言われた店で間違いないことを確認し、中に入ってみる。
中に入ると、茶髪の女の子が声をかけてきた。
「いらっしゃいませ。空いてる席にどうぞ。」
俺はとりあえず窓際の空いてる席に座り、店内を見渡してみる。
6個ほどのテーブル席と8個ほどのカウンター席が配置してあり、その半数程が埋まっている。
客は主に冒険者的な感じの、体格の良いガッチリした男性が多いようだ。
壁には幾つかの料理名とその値段が書かれている木製の札が掛けられていた。
·日替わりランチ 通常 500G
·日替わりランチ 優良 1200G
·日替わりランチ 特上 5000G
·日替わりランチ 極 100000G
まさかのすべて日替わりランチ。
いや、時間的には夕食なんだが、ランチという表記であっているのだろうか。
まぁ細かいことを気にしても仕方ない。
恐らく鍵を見せて無料で食べれるのは通常の奴だろう。
ただ、『日替わりランチ 極』がどんな物なのか凄く気になる。
日替わりなのに異常なほど高い。
試しに頼んでみる、なんて事が出来ない値段だ。
分からないことを一々考えていても仕方ないのでとりあえず先程の女の子に部屋の鍵を見せて聞いてみる。
「これを見せれば無料でご飯を食べられるって聞いたんですけど」
「あぁ、木漏れ日亭のお客さんですね。無料になるのは日替わりランチ 通常
のみなんですけど、宜しいですか?」
「大丈夫です。」
注文が終わったので俺は暫く席につきながらボーッとしていた。
数分後、トレイに乗せられた俺の料理が運ばれてきた。
料理を見てみると、なかなか美味しそうだった。
コッペパン的な少し長いパンと、なんの肉か不明だが肉厚なステーキが数切れ。
後はシチュー的な色合いの白いスープ。
パンとステーキとスープで500Gなら結構お得なのでは無いだろうか。
俺が料理を眺めていると、先程の女の子が説明してくれた。
「今日の日替わりランチは自家製パンとワイルドボアステーキとホワイトスープです。ごゆっくりお召し上がりください。」
ワイルドボアステーキ。
ワイルドボアは直訳で猪だったはずだ。
つまりこれは、猪肉のステーキと言う訳だ。
この手の異世界では獣系の魔物の肉は旨いと言われがちだが、俺の印象だと猪とか野生の生物の肉は臭みとか癖とかが強そうであまり美味しそうだとは思えない。
だが、折角の機会だ。
とりあえず食べてみるとしよう。
箸などは案の定無かったが、フォークとナイフ、スプーンがテーブルに備え付けられていた。
フォークを使いステーキを食べてみる。
···うーん。
味付けは美味しいし、食感も悪くはない。
ただ、何か癖のある風味と言うか、後味と言うか。
何というか、不味くは無いが俺好みでは無いな。
この若干癖のある味が好きな人もいるのだろうが。
とりあえずパンとスープも食べてみよう。
パンは少し固めだが、俺はそのくらいが好きなので丁度良かった。
スープはシチュー的な味だったが、少し薄味だった。
結果としてはステーキ以外は中々美味しかった。
明日の朝も此処で食べることになるだろうが、出来れば猪肉は勘弁してほしい。
とりあえず先程の女の子に一声かけてから店を出て、宿屋に戻った。
さて、これからどうしようか。
身分証は確保したが、収入を得る手段が無い。
最悪盗めばいいかも知れないが、あまり気は進まない。
出来れば合法的な手段で収入を得たい。
ただ、俺はこの世界にどんな仕事があるのか知らない。
現在わかるのは冒険者と店と門番だけだからな。
この中だったら一番なりたいのは冒険者だ。
でも、俺のスキルが冒険者に向いているかわからないからなぁ。
とりあえず明日調べてみよう。
翌朝目が覚めると、何故か体の節々が痛んだ。
寝たはずなのになぜ痛むのだろうと思ったが、どうやらベッドに原因があるようだ。
あまり柔らかくない。
いや、ベッドとして使うならば最低限問題ない品と言えるだろうが、日本で俺が寝ていたベッドよりは圧倒的に固い。
まぁ、他の宿屋もこのくらいのベッドの固さかもしれないし、馴れていかなきゃな。
さて、今日は俺に合う仕事を探す予定だが、その為には何処に行けば良いんだろう。
受け付けに鍵を返しに行き、ついでに宿屋のおばさんに聞いてみると、
「だったら図書館に行ってみると良いよ。あそこなら大体の情報がわかるからね。」
と言われた。
成る程、図書館か。
確かに図書館なら歴史とか地理とか魔法とかについて学べるかもしれないな。
大体の場所と道を教えてもらい、図書館に向かう事にした。
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