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5話:PC8000からパソコン開発へ1

 安田武夫は技術屋として研究室に入り浸るよりもパソコンのマニアと交流

したり、どんなハードウェア・パソコン機器が必要とされているのか、また、

どんなソフトウェアに興味を示すのか、仕事に活用する方法にはどうしたら

良いのかを市場と向き合って知ることに興味を示して秋葉原のお客さんの一番

多いNECビット・インというサービスセンターに行くようにした。


 そうするとパソコンマニアに2つのタイプがいる事がわかった。1つは

ゲーム、音楽を中心とする趣味嗜好の強い、いわゆるオタク系、マニア系、

ゲーム系のグループで若い人が多い。もう一つ大型コンピューターの卓上版

として高機能で将来のマルチプラン、エクセルなど表集計計算とDBASEⅡ

、Ⅲ、アクセスに見られるリレショーナル・データベース、日本では高機能

日本語ワードプロセッサー・一太郎、ワードを使いこなせるだけの高機能

パソコンで化学技術系、金融系、医療系など専門科のタイプが多い。


 NECでは初期においてPC6001というキーボードと一体化したデザイン

を採った8ビットマシンゲーム系のパソコンを1981年11月に発売した。

 発売当初は、かなりの人気でメーカー希望小売価格は89800円と安く、

ゲーム、音楽系のマニアに大好評でかなりの販売数量を上げ、実務用とされた

PC8001に対して、本シリーズは教育と娯楽性を強く意識した仕様で、

概して機能は抑えたり略されたりしたが、音源に限れば同時期のPCと比較

し充実した構成となっていた。単音や固定されたBeepのみという機種の

多かった時代において、初代機の標準構成でもオプション、追加機械をつける

ことによって容易に音楽を演奏させることができた。

 後継機では、より広い音声表現も可能になった。また、オプションでは

μPD7752を用いた音声合成機能が用意され、後継機では標準機能として搭載

、更に音程を変化させられるようになるなどの改善が行われた。


 PC6000シリーズの販売終了は商品に問題あったためではなく、逆に

成功しすぎたことが問題となったためだという。将来的にPC8000シリーズ

、8800シリーズとの競合が予想され、これを解消するためにNECのパソコン

は各シリーズの位置づけを再編し、PC8800シリーズはホビー性を強化する

ことに変更、ビジネス用途はすべてPC9800シリーズに統合し、本シリーズ

は終了させるという方針をとった。


 安田武夫は、このPC6000シリーズを将来、子供達ののコンピューター

教育に活用したいと機能を充実させる仕事に就いていたので、会社の都合で

取りやめるのに抵抗したが、それは大企業、営業と利益最優先であきらめざる

を得なくなった。それでもPC6000シリーズを開発に携わり、その技術を

1981年12月に発売したPC8800シリーズに注ぎ込んだ。

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