23話:問題だらけの過去の投資商品達2
この情報をシティバンクの勉強会で、聞いていたので、安田武夫は、FXには、
手を出さずにいた。しかし、このシステムそのものには、興味を持ち、日本で法律
に守られた、FXのシステム、優良なFX会社ができれば、やってみたいと
考えていた。
また、2000年に日本株戦略ファンドと言うファンドが野村アセット
マネジメントから発売されました。当時かなり大々的に宣伝されたので、記憶に
残っている方も多いでしょう。確か、ファンドマネージャーがチームを作って
運用するとかいう触れ込みだったと思う。発売当初、大々的な宣伝の効果もあり
、このファンドは、1兆円もの資金を集めた。
一般には、巨大なファンドは市場平均と同程度のパフォーマンスしか
残せないと言われています。資金が多すぎて、運用先が大手企業に限られるので
、特色のある運営をしにくくなると言うのがその理由です。でも、逆に言うと
、びっくりするほどの大失敗の可能性も小さいということでしょう。
良い意味でも悪い意味でも、市場平均程度になるはずです。手数料が
掛かる分は、当然マイナスの可能性が大きいですけどね。つまり、平均的に
なるはずの巨大ファンドが、市場平均より、更に、低い運用成績だったのです。
設定当初10000円だった基準価額がどんどん下落し、一番安いときには
4000円くらいになり、運用は大失敗し、悲惨なものでした。それでは、
日本戦略ファンドの販売サイドは、どの程度儲かったか、考えてみましょう。
まず、販売手数料を3%, 信託報酬を2%としましょう。販売手数料と言う
のは売る時に1回だけ取られる手数料。信託報酬と言うのは純資産総額から毎日
引かれる、お金です。信託報酬2%というのは、年間に2%分取りますよという意味。
まず、販売手数料は3%。全部で1兆円分売ったので、1兆円の3%、
300億円の手数料がかかる。さらに、純資産総額は1兆円から変わらない
わけですから、信託報酬は純資産総額の2%である200億円かかります。
つまり、この投資家に大損をさせた投資信託を販売することで、業界としては
初年度に500億円も売り上げがあったことになる。一つの投資信託で500億円
は多き金額です。しかも、投資家にこれだけの損をさせているわけですから。
そして、注意したいのは、信託報酬はその後も支払われ続けるという点。
基準価額が下がらなければ、200億円、毎年入ってきます。実際には、
解約が相次ぎ、基準価額も下がったので、信託報酬は、ずっと少なくはなった。
実際に、野村の1兆円ファンドの大失敗は、特別に目立ったが、その他にも、
日本の巨大証券会社が、投資家の儲けは雀の涙、程度で、自分達は規約通り、
そのファンドが巨額になればなる程、黙っていても、販売時3%、年間2%。
つまり、最初の時には5%、その後も、2%が、約束されているわけです。
こんな旨い商売は、他にありません。そのため、現在の日本の金融機関の
ファンドは、手数料の縮小競争を経て、手数料が非常に小さく、着実に、利益
を出している、素晴らしいファンドが多くなったとも言える。




