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かおる小町*連載版  作者: 風奈多里
かおるさんと僕
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見上げれば揺れるスカート

朝から可愛いかおるちゃんからの説教を受け、彼女ができたことすらないのに、まるで本当の彼女と喧嘩をした後のような切ない気持ちになっていた、たけしであった。




学校へ行く準備を済ませたたけしは、電車に間に合うように急いで家を出た。


いつもなら駅までの道のりをかおるちゃんとお喋りをしながら歩いて行く。


が、しかし、今日のかおるちゃんは鞄の中から出てこなかった。


僕は、少し寂しく思いながらも、もちろんイヤホンはせずに駅へ向かって黙々と歩いていた。というのは、いつかおるちゃんに話しかけられても聞こえるようにするためだ。




途中、階段があるので急いで駆け下りた。


と、その時、


僕と同じタイミングでダッシュで階段を駆け下りたサラリーマンと衝突しそうになり、とっさに避けた。その拍子に、階段の手すりに僕の鞄がドン!とぶつかった。


僕は、衝撃に驚いた後、ハッとなり、青ざめた。


中にはかおるちゃんが入っている。


かおるちゃんにぶつかっていないだろうかと、心配になり、即座に鞄を開けた。




すると、鞄の隅っこに横たわっているかおるちゃんの姿があった。


どこか体を打ってないだろうか?


僕は、すぐに「かおるさん!」と、焦った声で話しかけた。


しかし、何度か呼んでも目を覚まさない。


僕よりも、とてもとても小さな体のかおるちゃん。なんでもっと大事にしてあげなかったのだろうと、たけしは後悔をした。


たけしは、無反応なかおるちゃんの体を抱き上げ、手のひらの上で横にさせ、優しくかおるちゃんの体をさすった。


「かおるちゃん…」


たけしは、こんなに悲しい気持ちになるのは久しぶりであった。ここ数日、かおるちゃんがずっとそばにいてくれていたことを思い出した。




たけしは、かおるちゃんの体をさすり続けた。


すると、


不思議なことにかおるちゃんの体は、少しずつ大きくなっていった。そしてついに、かおるちゃんが僕の手のひらにおさまらないくらいの大きさまで達したとき、僕は驚きのあまり後ろへ転び、両腕を地面に着いた。ポカーンと口を開けて見ていると、かおるちゃんが目を覚まし、こっちを見てきた。




しばらくすると、巨大なかおるちゃんが目の前に現れた。


あれ?


あれれ?



目の前には巨大なかおるちゃんのスラリと伸びた美しい足が見えた。たけしは、まるで大きな塔を見上げるようにかおるちゃんの顔を見上げた。




その後、気が動転した僕は、何が起こっているのか理解できないまま、かおるちゃんの足をぼーっと見ていた。もっと上を見上げると、スカートの裾がフワフワと揺れているのが見えた。そのさらに上、つまり、スカートの中までは、覗いてはいけないと思いながらも、驚きと衝撃で視線が定まらない僕であった。すると、かおるちゃんが慌てた顔をして、僕の体を手で抱き起こしてくれた。





ひょいっと持ち上げられた僕は、気がついた時にはかおるちゃんの手のひらの上で腰を抜かしていた。




そう。かおるちゃんは巨大化し、その逆で、僕の体は、小さくなってしまったのだ。




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