かおる小町*前回のあらすじ
僕はたけし。普通の高校生一年生。
かっこ良くないし口下手だけれども、真面目で優しい性格だと思っている。僕の特徴といえば、この髪の毛だ。びっくりするくらいのストレート。だから、天然パーマの友達を少しだけ憧れているんだ。
そんなさえない僕のある日の朝、目覚めたら変な人形が隣にいたんだ。
そのお人形の名前は、かおるちゃん。
丸い茶色の瞳、色白でスッと鼻筋が伸びていて小顔。ピンクの唇。髪は薄茶色で長くて、自然なウェーブを描いている。最近テレビに出ている女優さんに少し似ている気がする。ふんわりとした雰囲気で、動き出せばまるで妖精のようであった。
そんなかおるちゃんが、僕のアルバイト先に一緒についてくると言った。
僕は、夢の中なのだからまぁいいかと思って、ついてくることを許可した。どうせ夢なのだし、女の子と一緒にいても怪しまれないだろうと。いや、むしろ女の子と一緒に行動できるなんて、この上なく嬉しいことだ。
かおるちゃんは、身長が約15㎝くらいだから、バックにだって入れる。アルバイト先の制服のエプロンのポケットにもぴょん!と入り、隠れることだってできた。
かおるちゃんと一緒に過ごした1日は、とても楽しかった。でも、その日から、不思議な出来事が次々と起こったんだ。そして、不思議なノートもなぜか僕のバックの中に入っている。かおるちゃんに書き留めておいてと言われたことは、全部そのノートに書いた。でも、何の意味があるのかは正直全くわからない。
僕は、夢の中にいるということを疑ってはいなかった。だって、ある日突然、可愛い妖精のような小さなお人形が、自分の目の前に現れたんだ。
でも、不思議なことに次の日も、そのまた次の日も、かおるちゃんは僕の横にいたんだ。あれれ?毎晩、寝ても覚めてもかおるちゃんが隣にいる。
もしかしてこれは、夢ではないのかもしれない。そして、これから、もっとすごい何かが起こるのかもしれない。僕は、なんだか胸騒ぎがしてきたんだ。