百獣の王。追憶編〜謎の詠唱と一騎討ち
僕は、じっちゃんのもとへと走った。
「じっちゃーん!歩きじゃ逃げ切れないだろー!」
説明不足だったが、キョンは真っ茶色の馬。弁洳魔琉に乗っている。(弁洳魔琉は水の如く滑らかに走ることから、水仙丸とも呼ばれ、西部中で恐れられている)
「ノン太郎、来るな!お前の出る幕じゃねぇ!」
「でも、じっちゃん!」
「でもじゃねぇ!良いから行け!」
僕はじっちゃんの言葉を聞かず、キョンとの距離を縮めて行った。
すると
「便は穴から出ずして、何処から!脱‼︎糞‼︎!」
じっちゃんが何かを唱えた。
その直後、僕とえんえんは暖かな光に包まれた。とても不思議な感覚だった。
気がつくと、僕とえんえんは光の結界の中にいた。
外では、じっちゃんとキョンが競り合っている。
じっちゃんは、西部一のガンマンとして知られている。
それに対し相手のキョンは、馬は有名だが、キョン本人は、そこまで名の知れた盗賊ではなかった。
この時までは…
バンバンバンッ!じっちゃんは得意の早撃ちでキョンを撃った。
僕が、じっちゃんの勝利を確信した時、何故かじっちゃんが倒れた。
「え…?」
何が起こったのかよく分からない。
「じっちゃん!」
じっちゃんは腹部を抑えて倒れている。
よく見ると、じっちゃんの腹の3箇所から血がにじんでいる。
3発…じっちゃんが撃った弾数と同じだ。
僕が驚いていると、キョンは
「私はね この短いムチでどんなものでも跳ね返すことができるのよ。」
そう言いながら嘲笑った。
〜続く〜