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百獣の王。ノン太郎  作者: 詩音インパクト
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百獣の王。追憶編〜えんえんと2匹の狼

僕の愛馬、えんえんは白馬だ。僕が幼い頃、じっちゃんとのハンティング中に彼に出会った。それは深い森の中、夜のとばりが下りる頃。僕がじっちゃんとはぐれた時のことだった。不安に駆られ、僕は洞窟の中で動けなくなっていた。すると、洞窟の奥の方から「クゥクゥ」と犬が鼻を鳴らすような音がし、「やだなぁ、こわいなぁ」なんておもっていると「ババッ!」と狼が2匹現れたのだ。僕は無我夢中で走った。だが、狼から走って逃げる事は、ほぼ不可能に近い。「ダメだ、もう喰われてしまう。」そう思った瞬間、目の前から黒い物体が飛んできたのだ!僕がギリギリで避けると、黒い物体は片方の狼の眉間に直撃し、その狼は僕を追いかけるのを止め、引き返していった。だが、もう1匹はまだ追いかけてくる。僕は生きることを諦めようとしていたが、今ので少し生きる希望が見えてきた。「誰か!助けてください!誰か!」

そう叫ぶと「ブリッ!ぷーん!」また黒い物体が飛んできた。僕はそれを、才能あふれるフットワークで避け、狼の顔にそれが命中するのを見た。その狼も、全速力で逃げて行った。僕は「どなたですか?お礼をさせて下さい!」と、涙ながらに叫んだが、返事はなかった。諦めて歩き出そうとしたその時。「ヒヒーン!」まるで、百獣の王。ライオンを思わせる、力強い声で馬が鳴いている。恐怖心はあったが、近づいてみるとそこには、純白の白馬がいた。「お前が助けてくれたのかい?」

まさかな、馬が人間を助けるなんて……

馬のケツが茶色く汚れている。最初は怪我をしているのかと思い、顔を近づけてみると、プ〜〜ンと鼻につく匂いがした。目を下ろすと右の後ろ足にも同じ色の汚れが付いていた。(さっき飛んできた黒い物体は、コイツの糞なのか?)疑問が湧いた。(まさか、自分のウンコをタイミング良く後ろ足で蹴って、狼に命中させたのか⁉︎)…ありえない。そこまで賢い馬がいてたまるか。だが確かに、先程避けた時に多少臭かったような気がした。バカバカしいと思いつつ、純白でケツが汚れている馬に声をかけた。「お前がウンコを飛ばして、僕を助けてくれたのかい?」……返事がない、ただのお馬さんのようだ。…そう思った時だった!

「はい」

純白でケツが汚いその馬が、馬が!話したのです!

僕は信じきれずに、もう一度尋ねた。

「君がウンコを飛ばして狼を撃退してくれたかい?」

「はい」

また同じ言葉を話した。僕は驚きと感動を顔に出して、こう聞いた。

「君の名前は?」すると

「はい」…この馬が話せる言葉は“はい”だけのようだ。僕は丁度、馬が欲しいと思っていた。

なので、純白でケツが汚いその馬を飼うことにした。

「う〜ん。名前はどうしようかなぁ」

独り言を呟くと、

「はい」馬が答えた。

「また、はい。かぁ〜、延々と続くな…。延々…えんえん?…えんえん‼︎そうだ、えんえんにしよう!」

「今日からお前の名前は“えんえん”だ。宜しくな!えんえん!」

「はい」

〜続く〜

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