第7話…宿り木
連続投稿です。
ゆっくり進みます。
裏路地で出会い、つい助けてしまった謎の女の子を連れて表通りを歩くアキラ。
二人はなんとか裏路地を出て道行く人に宿の場所を聞いた。
どうやらその宿は一階が酒場になっていたらしく、ただの酒場と見落としていたアキラだったのだ。
行く途中で公園のような広場があり、そこに有った椅子に座ると謎の女の子も横に座る。
「えっと……助けたのってまずかったかな?」
まだフードをしていて顔がわからないが頭を横に降る。
「よかった。えっと俺はニカイドウ アキラっていいます。とりあえずカードも取り返したから大丈夫だと思いますから、それでは次は気をつけて下さいね」
そういって立ち上がるアキラを、服を掴み止めた。
突然引っ張られてバランスを崩し、再び座る。
女の子を見ると手を離しゆっくりとフードを取る。
フードの下からは、銀髪で緑の瞳をした顔が現れた。髪は肩までの長さでショートヘアだ。ちらっと見えたが微かに耳が尖っていた。
女の子はこちらを見て口を開いた。
「助けてくれてありがとう。私はメグ。助けて貰った借りを返したい」
「別に気にしなくていいですよ。俺が勝手にしたことなので……」
今だにジーーーとアキラの目を見つめている。
断りづらい雰囲気になり渋々了承することになった。
聞けば彼女はランク8で前の依頼の時に組んだ臨時チームの人に騙され売られたらしい。武器は剣を使っていたらしいが、取り上げられたとの事。所持品は取り返したギルドカードのみらしい。
詳しい話は宿で話そうと言い、宿に向かう。
宿を今度は見つける事が出来、入ると受付には一人の40代ぐらいのふくよかな女性がいた。
「いらっしゃい。初めての顔だね。泊まりかい?」
「はい。部屋をお願いします。1泊いくらですか?」
「1泊2食で一人銀貨2枚だよ。二人部屋なら3枚だよ。長期宿泊なら安くするよ」
「1ヶ月ならいくらになりますか?」
「一人部屋なら銀貨50枚だね。二人部屋なら60にするよ」
「あぁ……ひと「二人部屋で」……」
一人部屋と言おうとしたアキラにメグが遮り二人部屋でと言い出した。顔を見ると再びジーーーと見られ何も言えなかった。
「二人部屋で1ヶ月お願いします」
そういって金貨一枚を渡す。
「はいよ。んじゃ、これに名前を二人の書いてね。銀貨60枚だから40枚のお釣りだね。お湯は別料金で銅貨1枚だよ。使い終わったら桶を部屋の外に置いといてくれていいよ。残り湯は部屋のトイレか洗面に流してくれたらいいから。部屋は3階の『321』だよ。外出の時は鍵を受付に預けて行ってくれよ。無くすとお金貰うよ」
そういって渡された紙に名前を書いて、書き終わり紙を返すと鍵を渡される。3階に上がり部屋に入る。部屋は思ったより広く、ベッドが二つとテーブルがあり、
ドアが二つありそこにはトイレと広めの洗面があった。着替えたりは身体を拭くのは洗面で出来そうなので安心するアキラだった。女性経験が少ない為、やはり女性と二人は緊張するアキラだった。
「さてと、まだ夕食には早いから少し話でもしましょうか」
椅子に座りメグに話し掛ける。
メグも空いている椅子に座る。
「やめて」
「えっ!」
突然のやめてに止まるアキラ。何かしたかなと考えていると、
「その喋り方。さっきは違った。もっと楽に話してくれると嬉しい」
敬語の事を言っているのがわかり安心するアキラ。
「あぁ。わかったよ。これでいいか」
「その方が私も喋りやすい。……アキラはどこかの貴族なの?」
「違うよ。どうして?」
「喋り方がそんな感じだったのと、見たことない服装だし、何より金貨を持っていた。そして見たことないお金を出した」
「あぁあれね。俺はこの国の人間じゃないから。あれは俺の国のお金だよ。この国での価値がわからないけど金属だし売れば少しでもお金になるかなって渡したんだ」
「そう。アキラはギルドに加入してるの?」
「そうだよ。今日からだけどね」
今日から発言に驚いた顔をしたメグ。
「今日から……アキラは魔導士なの?」
「いや、違うよ。魔法は使えない。メグは使えるの?」
「私は…………使えない。使えないならどうやって三人を倒したの?」
一緒暗い顔になったのでこれ以上聞かない方がいいと思ったアキラだった。
「えっと………武術を少し出来るからそれでだよ……ははは(冷汗)」
言葉を信じていないようでジーーーと見られる。つい目を逸らしてしまう。
「はぁ〜、わかりました」
絶対信じてないが聞かないでくれたメグに心で謝るアキラだった。
そして話はプロフィールの事になり、メグが19歳でひとつ上だった事を知る。メグもアキラが18歳と知ると驚いていた。
メグもこの国の人間では無いらしい。どこの国かは教えてくれなかった。もっと信用されたら話てくれるかなと思うアキラだった。
そして夕食の時間になり二人は1階にある食堂兼酒場に行くのだった。
次回もよろしくお願いします。