第2話…出会い
夜も明け、ずっと歩き続けていたアキラは森を抜ける事が出来、今度は平原に出た。
「くわぁぁ〜。やっぱり少し眠いな。まだ道路も見当たらいし、早くゆっくり休みたいな」
そう独り言をいいながら歩くアキラの耳に話し声が聞こえ、やっと人に会えると声の聞こえる方へ走り出した。
少し走ると姿が見えた。
そこには馬車と銀の鎧を着た剣を持った男と同じ鎧を着た槍を持つ男、黒いローブを着た杖を持つ女の子、弓を持った狩人っぽい感じの男の4人が野犬だろうか、6匹の犬もどきに襲われていた。
離れて見ていたアキラ。
「コスプレ?いや何かの撮影かな?でも周りにカメラとかないし……現実?」
見ていると剣を持つ男が前に出て犬もどきを切り倒していく。
狩人風の男は矢を射り、1対1になるようサポートしている。
槍を持つ男はローブの女の子を守っている。その女の子は杖を前に出し何かを口ずさんでいた。
すると杖の先にある赤い石が光だし、氷の刺が飛び出し、犬もどき3匹に刺さる。そして最後の1匹を剣を持つ男が切り倒した。
その光景にアキラは立ち尽くしていた。
「えっと……何今の?超能力では無いよな。なら…魔法…そんなの有るわけないよな」
呟くアキラはフッと前を向くと、こちら見る男と目が合った気がした。
あちらも警戒しているのか剣を今だに握っている。
ここで逃げたら逆に怪しまれると思いゆっくり歩いて近づいていく。
近づくと顔がきちんと見えた、その顔は日本人の顔ではなくどちらかと言えば洋風なクッキリとした顔立ちだ。
(どうしよ?こっちから声かけた方がいいよな…)
「こんにちは。えっと…はじめまして、アキラといいます。道に迷ったんですけど、ここがどこだか教えて頂けますか?」
言って気が付くが言葉が通じるか悩んでしまう。英語かなともう一度違う言葉で言おうとすると剣を持つ男が口を開いた。
「私は『クレイブ』リーダーのカリブだ。後ろにいる槍使いがエイルで、狩人がハン、そして魔導師の娘がコリーだ。私達はギルドの護衛依頼をしている最中だ。見慣れない格好だが旅の者か?」
所々気になったがとりあえず言葉が通じる事に安堵して、質問に答える。
「えっと、(海外なら不法入国になるのかな?話を作るしかないかな)はい、旅人です。こちらに来るのは初めてで、荷物をほとんど盗まれてしまって迷子になってしまいました。迷惑でなければ町まで送ってくれませんか?」
そう聞くと待つように言われ、馬車の中にいた人と話ている。
どうやら彼が依頼主らしい。そう考えていると、カリブが戻ってくる。
「依頼主の了承を得た。私達は依頼主と馬車を優先的に守るから君個人を守れない、何かあれば馬車の中に隠れていろ。それなら一緒に守ってやる」
「ありがとうございます。町までよろしくお願いします」
そう言って頭を下げるアキラ。
そしてカリブと一緒に馬車に行く。
依頼主の男に挨拶をして、カリブの仲間達にも挨拶をして馬車に乗り込んだ。
≪馬車の中≫
馬車の中には木箱がたくさん置いてあり、カリブ達は木箱に腰掛けている。アキラも木箱に座る。
するとエイルが話掛けてきた。
「よう。エイルってんだ。よろしくな。旅人なんだってな。どこの国からきたんだ?見慣れない服だが?」
他の人達も興味があるのかこちらを見ている。
「日本からです。ジャパンって言った方が通じますか?」
「ニホン?ジャパン?聞いた事ないな。聞いた事有るか?」
エイルはカリブとコリーに聞く。ちなみにハンは馬の手綱を引く依頼主の隣で周りの警戒をしていて馬車の外にいる。
「いや。私は聞いた事がない。未開の地にあるのか?」
「知らない」
まさか日本を知らないとは思わなかった。そしてまたわからない単語が出てきた。
「未開の地かはわかりませんが、周りを海に囲まれた島国です。ちなみにここは何と言う名前の国ですか?」
「国の名前も知らないで旅してたのか。ここは『テオドール』って国だ。そして今から向かうのは『リスタール』と言う3番目に大きな町だ。本当知らないのか?」
「知らないです。(テオドールとリスタール。本当何処だよ。そんな国習った事ないぞ)あとギルドって何ですか?」
その発言に皆ビックリしたようだ。
「おいおいギルドも知らないとか本当お前何処からきたんだよ」
「まさかギルドを知らないとは…記憶喪失か?」
「有り得ない」
上からエイル、カリブ、コリーの順だ。
どうやら『ギルド』とはとても有名なものらしい。
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