第1話…森の中で
連続投稿です。
よろしくお願いします。
大木の前に一人の青年が立っていた。
(どうするかな。ここが何処だかわからないし、何故か『テレポート』が使えない…まぁ他のは使えたから無くなったわけじゃないけど……とりあえず先ずは水の確保かな)
アキラの今の格好はスニーカーにジーパン、長袖のTシャツそしてバイクのヘルメット(半ヘル)だ。
かばんは右肩から斜めに下げている。中身は筆記用具とメモ帳、飴玉、家の鍵、携帯電話(圏外)、財布だ。
まだ春だった為、かなりラフな格好になっている。
アキラは大木を背に歩き出す。
大木があるのは森の中だ。振り返れば木々の隙間から先程ね大木が見える。それ程大きな木だったらしい。
歩く事2時間。やっと川を見つけた。
「よし。見つけた。きっと下流には人がいるはずだ。とりあえず道路に出れば何とかなるだろう」
日もくれて来てあまり森の中を歩き回るのも危険と判断し川の近くで野宿する事にした。
水は川の水を飲み、ご飯は持っていた飴玉を二つ食べた。
「よし。枝はこんなもんかな。久しぶりだな、上手く出来るかな『パイロキネシス(発火能力)』」
ボッという音と共に積まれていた枯れ枝に赤い火が着いた。
「うん。出来た」
無事成功した事に安心して、アキラはうーーんと背を伸ばす。
突然知らない所に飛び、気を張っていたのか気を緩めた今、無性に眠たくなり横になる。
「ふぁぁぁ〜、少し眠るか」
アキラは眠り始める。
それを見ているモノ達がいる事にも気がつかずに……
4匹の猿に似た生き物は寝ているアキラに木の上や草陰から一斉に襲い掛かる。
アキラは首筋を噛み付かれ、血が吹き出す。
目を覚ますアキラだがもう遅かった。残りの3匹も腕や足、横腹に噛み付き、食いちぎる。
抗う術も無く、アキラはそのまま猿達によって殺された。
バッ!!!!
アキラは飛び起きた。
「はあ…はあ…はあ……。今のは『プレコグニション(予知)』。なら…このままなら……殺される!」
そして起き上がり荒い息を整え、夢で飛び出してきた草陰と木の上に目を向ける。
すると夢で見た猿もどきが飛び出してきた。
「ウキーーーーー」
先ずは木の上からの一匹に向かって右手をかざす。
「『サイコキネシス(念力)』!」
『サイコキネシス(念力)』により物理的エネルギーを発生させ、猿もどきを吹き飛ばした。
「ウキャ!」
ドゴン!!バキバキ……
猿もどきは飛び出した木の幹にぶつかり、動かなくなる。どうやらぶつかって骨が折れて死んだらしい。
残りの三匹も遅れて飛び出してくる。同じように木に向かって吹き飛ばす。
三匹も動かなくなり、アキラは安堵する。
「なんなんだよ…。それより今の猿は何だ。あんなの見た事ないぞ。まさか新種かな?」
つぶやきながら猿もどきの一匹に近づき全体を観察する。
猿もどきは顔は猿だが、牙が口から飛び出しており、手は長く指は4本しかない。
「はて?……本当に何だこの猿は?本当ここ何処だよ。」
ため息を一つ吐き、荷物を持つと川沿いを歩きその場を離れた。
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