彩を還す者たちと黄の来訪者(2)
翌日、薄曇りの空の下。
彩葉たちは街外れの東区、人が寄り付かなくなった広大な工場跡地に足を踏み入れていた。
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かつては数百人が働いていたという大工場。
今は鉄骨がむき出しで、錆びたコンベアや歪んだ機械の残骸が、風に軋んでうめくような音を立てている。
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烈が入口の錆びた鉄扉を蹴飛ばす。
「おおおっしゃー! 来たでえ!
ここにブランクの残りかすがおるんやろ!」
湊が額を押さえる。
「声を抑えろ。敵に先に気付かれる。」
夜凪がいつの間にか背後から現れ、ぶらりとコンベアの影を覗き込む。
「ここ……匂うな。」
彩葉が足元の床に落ちた粉を指でなぞる。
指先には、わずかに残った色素の粉が付着していた。
「……ここでも色、削られてる。」
湊が低く呟く。
「やはりここが中継拠点……無彩パークの残骸を集めて、さらに色を抽出してる。」
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烈が両手を組んで笑う。
「ええわ、根こそぎ潰したる。」
夜凪が、冷えた目で烈を一瞥する。
「無駄に騒ぐな。
音に寄ってくるのは、ブランクだけじゃない。」
湊が息を呑む。
「……どういう意味だ。」
夜凪が指先で天井を指した。
鉄骨の上――
歪んだ梁の影に、無数の光点が瞬いていた。
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「……監視ドローンじゃない……」
彩葉の声がかすかに震える。
梁の上にいたのは、色素を抜かれた、目だけが光る人型の影――
ブランクの造った 無彩の傀儡 たちだった。
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烈が舌を鳴らし、拳を鳴らす。
「うおおおおおっ! 上等や!まとめてブチ抜いたる!!」
湊が彩葉の背に手を当てる。
「彩葉、準備を。あいつらは“色”が戻せるかもしれない。」
彩葉は深く頷き、パレットを強く握った。
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「……行くよ。みんなで――還す。」
無彩の工場跡が、再び色の戦場になる。




