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パレットブレンド  作者: あしゅ太郎


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32/33

エピローグ 上

戦いが終わり、世界は静かに色を取り戻した。


無彩の塔が崩壊してから数日後――

塔の残骸の片付けを手伝ったり、解放された人々の色彩のケアをしたり。

彩葉と仲間たちは相変わらず一緒に行動していた。



---


だが。


「……また烈と理斗……」


湊は街外れの小さなカフェの窓際で、向かいのテーブルで賑やかにおしゃべりする二人を睨んだ。


烈は相変わらず大声で笑い、理斗は平然とタブレットで彩葉のことを話題にしている。


(……どうやってふたりきりになるんだ……)


湊は手元のカップをカタカタと鳴らす。



---


そんな湊の背後で、ふいにコートの裾が揺れた。


「……あ?」


気配を感じて振り向くと、黒いフードをかぶった夜凪が彩葉の隣に、いつの間にか立っていた。



---


「……夜凪?」


烈も理斗も一瞬、声を止めた。


彩葉がぽかんと見上げると、夜凪は低く囁くように言った。


「なあ、彩葉。前から言おうと思ってた。」


ふっと、夜凪が彩葉の耳元に顔を寄せる。


「――お前の能力、ずっと狙ってたんだよな。」



---


「っ……!」


湊の中で何かがプツンと切れた。


「やめろ。」


湊が立ち上がる音に、烈と理斗が目を丸くした。


夜凪は薄い笑みを浮かべたまま彩葉の髪に触れそうに手を伸ばす。


湊の声が低く、けれどはっきりと響いた。


「彩葉は……俺の、大事な人だから。」



---


カフェの空気が固まった。


夜凪の手が止まる。


「……あ?」


珍しく、夜凪の目が丸くなる。


烈が口を開けてフリーズし、理斗が楽しそうにニヤついた。


彩葉だけが、わずかに赤くなった頬で、ぽかんと湊を見つめる。



---


「な……何言って……」


湊の耳まで赤い。

つい言ってしまった。取り繕えない。


「……そ、そいつに近づくな。彩葉は……俺のだから……!」


夜凪がふっと笑って手を引いた。


「……そうか。そりゃ悪かったな。」


まるで用は済んだと言わんばかりにひらりと窓際に座り直す。



---


烈が堪えきれずに肩を揺らして笑い始めた。


「湊……言うたな……言うたで今……!」


理斗がカップを持ちながら悪戯っぽく言う。


「おめでとう、告白だな。」


「ちがっ……いや……違わないけど……」


湊は顔を真っ赤にして視線を逸らした。



---


彩葉がそっと湊の袖をつまんで、嬉しそうに微笑んだ。


「……ありがとう。湊。」


その一言に、湊はますます俯くしかなかった。


カフェの窓の外、街は今日も、色を取り戻したまま輝いている。

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