欠片が告げる真実(2)
砕けた壁の破片が足元に転がる中で、夜凪はまだ赤い顔を少し隠しながら、彩葉に支えられていた。
---
烈が呆れたように肩を揺らす。
「ええもん見れたわ……黒猫も、可愛げあるんやな。」
夜凪は烈を睨みつけた。
「……次、喋ったら口を塞ぐ。」
烈がにやにや笑いながら、夜凪を見て肩を揺らした。
「せやけど黒猫……彩葉にくっつくんも、ほどほどにしとけよ?
オレらの前で、あんま距離近すぎんのはナシや。」
湊も腕を組んで、夜凪を冷たい目で睨む。
「……同感だ。お前、最近調子に乗ってる。
無駄に接近するな。いいな?」
夜凪はわずかに眉をひそめて、顔を赤くしたまま睨み返した。
「……誰が好きでくっつくか。こっちだって不本意だ。」
烈が肩を揺らして笑う。
「せやったら安心やな? ちゃんと距離守れや、黒猫!」
湊も小さく息を吐き、彩葉のほうに視線を向けた。
「彩葉に迷惑だけはかけるな。……分かったな。」
夜凪は小さく舌打ちし、ナイフをくるりと指で回した。
「……黙れ犬ども。」
---
理斗は楽しそうに頬杖をついている。
「はは、まったく君たち……。でも遊んでる暇はないよ。」
---
彩葉が夜凪をそっと立たせ、自分も体勢を整える。
「理斗、奥の情報は?」
理斗がタブレットを指で弾いた。
「螺旋階段の先、中央の主動力炉がある部屋に“試験体廃棄室”って区画が繋がってるみたいだ。」
---
彩葉の眉がわずかに揺れる。
「……廃棄室……?」
湊が鋭く理斗を見た。
「彩葉の“パステル”の秘密も、そこに?」
理斗は肩をすくめた。
「多分、何かの痕跡は残ってるはず。
君が特別になった理由もね。」
---
烈が小さく拳を握る。
「じゃあもう止まられへんやん。
全部ぶっ壊して進むだけや。」
夜凪も乱れた前髪を直し、小さく息を吐いて目を細めた。
「……行こう。また捕まるのはごめんだ。」
---
彩葉は筆を握り直し、小さく微笑んだ。
「大丈夫。もう何があっても、私が守るから。」
---
灰色の階段に、仲間たちの足音が重なった。
闇の奥へ、試験体の謎へ、色を取り戻す旅は、さらに深く――。
---
塔の奥から、低い唸り声のような無彩兵たちの気配が、螺旋の壁を這って届いてくる。
---
「来るぞ――!」
湊が青の筆を構える。
烈の赤いオーラが灯り、夜凪は再び闇に紛れ、理斗は一歩後ろで冷たい光の瞳を光らせた。
---
奪われた色を塗り直すために。
一行は塔の奥へ、さらなる戦いの渦に飛び込んでいく――。




