灰色の塔、灯る赤(4)
無彩の塔――
その入口に立つ門番型の無彩兵は、赤黒く燃えるような仮面をつけていた。
身体の各部から、赤い光のラインが脈打つように走っている。
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「……こいつは赤属性系か。」
湊が眼鏡を押し上げながら呟く。
彩葉はすぐに頷いた。
「湊、あなたの青で行ける。弱点は青だから!」
烈は腕を組んで不満げに鼻を鳴らす。
「青かぁ……俺の出番ナシかいな。」
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すぐ隣で理斗は座り込んだまま、タブレットを素早く操作している。
「はいはい、戦闘は任せるよ。
僕はこの塔の内部データを抜くのに集中する。」
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門番が低く唸るような音を立て、腕の装甲を変形させて鋭い刃を展開した。
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湊はゆっくり筆を構え、鮮やかな青いオーラをまとった。
「行くぞ……。」
烈が後ろで声をかける。
「ええとこ見せたれや、メガネ!」
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門番が刃を振り下ろした瞬間、湊は地面を滑るようにかわす。
青の筆先が一閃、門番の右肩に青い光を刻む。
しかし門番はひるまず、反撃の腕を突き出して湊の腹を狙った。
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「くっ――!」
湊は体勢を崩し、反撃が遅れる。
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「湊!」
彩葉が助けに飛び込もうとした、その時。
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ガキィン――!
金属を砕く音が響き、門番の腕が弾かれた。
そこに立っていたのは黒い影。
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「……相変わらず、詰めが甘いな。」
夜凪だった。
湊がわずかに目を細める。
「……助かった。」
夜凪はナイフをくるりと回し、門番の足を一撃で裂く。
門番の動きが鈍ったその隙を、湊がすかさず捉えた。
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「終わりだ。」
湊の青の筆が深く門番の胸を貫き、青の光が赤い核を塗り潰していく。
門番の赤い光が波打ち、ゆっくりと色を失って崩れ落ちた。
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烈が後ろで小さく口笛を吹く。
「おーおー、やるやんメガネ。
黒猫もええタイミングやったな。」
夜凪は烈を無視して彩葉の隣に立つ。
「お前がいるなら手は貸す。」
彩葉は小さく笑って頷いた。
「……ありがとう。助かったよ、夜凪くん。」
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理斗がタブレットを操作したまま顔を上げた。
「ほら、立ち話してる暇ないよ。
塔の奥に、まだ動いてる無彩兵がいる。
ログ解析したけど、ブランクの中枢に繋がる道もあるみたいだ。」
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彩葉は息を整え、パレットを握り直した。
「……行こう。ここで止まってる時間はないから。」
湊が青の筆をくるりと回し、夜凪と烈もそれぞれ構えを取る。
灰色の塔の奥――
闇の中に、彼らは足を踏み入れた。




