表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パレットブレンド  作者: あしゅ太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/33

灰色の塔、灯る赤(3)

――無彩の塔へ向かう街道。


乾いた風が吹く一本道を、彩葉たちは荷物を抱えて歩いていた。


相変わらず烈と湊は――



---


「お前! 足元に石置いたやろ!!」


「置いてない! お前が勝手に蹴ったんだろうが!」


「嘘つけコラァ! この陰険メガネが!!」


「は!? 誰が陰険だ誰が!!」



---


彩葉は呆れ顔で、理斗の隣で水を飲む。


「……ほんと、よく飽きないよね、あの二人……。」


理斗はフフッと笑って、ポケットから怪しげな試験管を取り出した。



---


「元気なのはいいけどさ。

たまには静かに歩きたいんだよ、僕は。」


彩葉は一気に顔色を変える。


「……ちょっと理斗、それ何?」



---


理斗はにやっと笑った。


「新開発の“惚れ薬”。

ほら、パレットの色素を逆流させて、

相性が一番良い相手に親近感が湧くんだ。」


彩葉は盛大に水を吹き出した。


「ちょっと待って!? 何する気なの!?」


「ちょうどいいでしょ。烈と湊、ずっと喧嘩してるし。」


理斗はスッと近づき――

烈の飲みかけの缶コーヒーと湊のペットボトルにポタッと数滴。



---


彩葉が止める暇もなかった。


「ダメだって! 絶対後悔するから!!」



---


しばらくすると――



---


「なぁ湊……お前のメガネ、

近くで見ると……めっちゃ似合っとるやん……。」


「烈……お前こそ……その髪……触っていいか……?」


「ええで……湊……。」



---


ギュッ。


いつの間にか肩を組み、烈の頬に湊の手が伸び――


「ちょ、ちょっと!? 何してんの!? どうしたの!?」


彩葉が駆け寄るより早く、湊の指が烈の頬を撫で、烈が蕩けた顔で湊に寄りかかる。


「おい……湊……好きやわ……。」


「……俺も……烈……好きだ……。」


ちゅっ。



---


彩葉の悲鳴が響く。


「やめてーーー!! ちょっと! 何してんのほんとに!!」



---


彩葉はくるっと理斗を振り返る。


「理斗! あんたでしょ絶対!!」


理斗は無表情で肩をすくめる。


「えー? いいじゃん、平和だし。静かでしょ?」


「静かどころか声が濃厚すぎるの!

早く元に戻して!! 今すぐ!!」



---


烈と湊はお互いの顔を両手で包んでじっと見つめ合っている。


「烈……」


「湊……」


「やめろーーー!!」



---


理斗は仕方なくポケットから青い瓶を取り出す。


「はいはい、これで解除っと……烈、湊、飲んで。」


烈と湊はうっとり顔のまま仲良く瓶を受け取り、ゴクリ。



---


数秒後――


「お前、何してんじゃコラ湊!!」


「は!? なんで俺の手お前の頬にあんだ!!」


「どけ!! 近すぎんねん!!」



---


二人は真っ赤になって飛び退き、即座にいつもの殴り合いが始まった。



---


彩葉は地面にしゃがみ込んで、泣き笑いで理斗を睨む。


「……まだ、こっちの方がマシでしょ…。」


理斗は軽く笑って肩をすくめた。


「でも面白かっただろ?

平和な時間……ほんの一瞬だけ。」



---


彩葉は大きくため息をついて、殴り合う二人を遠目に見ながらぼそっとつぶやいた。


「……無彩の塔より理斗の方が怖いって……。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ