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パレットブレンド  作者: あしゅ太郎


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15/33

色還しのパステルコア(3)

――隔壁が開くと同時に、白い防護服の兵士たちの奥で、異形の影がぬるりと立ち上がった。



---


「……あれが、ここの番犬か……。」


湊が額に汗をにじませる。


巨大な人型の“色核の番人”。

全身は無彩の灰色だが、体内のどこかで、

赤と青、緑と黄――複数の色が脈動している。



---


「色を……吸ってる……?」


烈が低く唸る。


理斗は小型スキャナーを手に睨んだ。


「こいつ……周囲の色素と記憶を自動で取り込んで

自分の装甲を再生してる!

適当に殴っても埒があかん……!」



---


番人の片腕が粘土のように伸び、烈の足元を叩き潰す。


「おっと……!」


烈が飛び退く。


「弱点を突くしかない!」


湊が叫ぶ。


「内部に色が混ざってる!

どの色がどこにあるか……理斗ッ!」


理斗はすかさず分析結果を叫んだ。


「頭部に青、胸に赤、左腕に緑……

要するに、部位ごとに弱点を突ける!」



---


彩葉が筆を構えた。


「……行こう。」


烈が大きく筆を振り、赤い炎の軌跡を作る。


「まずは胸やな!」


湊が烈の横で筆を振り抜き、緑の刃が赤の核をめがけて飛ぶ。


「烈! 君の赤を抑える!」


夜凪が背後から番人の足元に影を落とし、素早くナイフを投げつけて足を封じた。


「今だ。」



---


ドゴォ――ン!!


烈の赤が焼き、湊の緑が穿つ。


胸の装甲が爆ぜ、番人が苦悶のような声を上げた。


だが――


再び、全身が灰色の膜に覆われて、色が装甲を補填しようと渦を巻き始める。



---


理斗が前に出る。


「彩葉!! お前のパステルで――“還せ”!!」


彩葉は頷き、空中でパレットを開く。


滲むパステルカラーが、赤にも青にも緑にも、柔らかく溶けていく。


筆先が、光の筋を描いて番人に突き刺さる。



---


――バシュッ。


まるで霧が晴れるように、番人の体内の色が、空中に解き放たれた。


赤い光が、青い光が、緑の光が、灰色の装甲を置き去りにして、空に還っていく。



---


烈と湊と夜凪が息を飲んだ。


彩葉のパステルが、混ざった色を“元の形”に戻している――。



---


番人の体が、ガラガラと砕けて崩れる。


理斗が目を見張りながら、小声でつぶやいた。


「……やっぱり……彩葉……君は――

“初期化の核”なんだな……。」


湊が振り返る。


「……何だって?」


理斗は言葉を飲み込み、笑ってごまかす。


「いや……後でちゃんと説明する……。

今はとにかく、残りの核を……」



---


彩葉は筆を握りしめたまま、崩れた番人の残骸を見下ろす。


「……私が、何を“初期化”してるの……?」



---


夜凪がひとり、番人の残骸に残ったデータチップを拾い上げた。


「……ブランクは全部知ってる。……お前が“何者か”も。」



---


施設の最奥、再び隔壁がゆっくりと開いていく。


色の核の光が、一行を次の真実へと招いていた――。

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