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農家の娘、異世界で国家改革始めます ―糸で国を変えた少女―  作者: ふくまる
第1章

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第二十話 春風とサプライズ誕生日会

「第二圃場も蚕棚も、今のところ順調だな」

グレン兄ちゃんが記録帳をめくりながら言った。


「うん!このまま行けば秋市場までは大丈夫!」

私も胸を張った。


「パスカさんが用意してくれた非休眠卵も順調に育ってるし、そろそろこの子達の繭棚の準備に入ってもいいかもしれない」


「そうだな。明日あたり準備を始めるか」


「うん!」



朝の作業を終えた後、兄姉組と下の子組はそれぞれの担当場所に散っていった。


私はミナ姉ちゃんとメイナ姉ちゃんを引っ張って、こそこそと小屋の裏へ。


「今日は夕方から、サプライズ誕生日会だね!」

私が言うと、ミナ姉ちゃんがうなずく。


「いいなあ〜私も参加したかった」


「うう、ごめんねメイナ姉ちゃん。

本当は、支援隊のみんなにも参加してもらいたかったんだけど…」


「冗談だよ。気にしないで!支援隊みんなの分までご馳走用意してたら畑の野菜が無くなっちゃう!

それよりもミナ、プレゼントの準備はできたの?」


「うん……バッチリ!」

ミナ姉ちゃんの耳が真っ赤になった。


(かわいいなあ……)


メイナ姉ちゃんと私がニヤニヤ見ていると、ミナ姉ちゃんがぷいっと顔を背けた。


「こ、これはお世話になった感謝の気持ちだって言ってるでしょ!」


「はいはい。そういうことにしとこうね」

メイナ姉ちゃんが軽くミナ姉ちゃんの頭を撫でる。


「もう!子供扱いしないで!」


「「ふふっ」」

(今日もいい日になりそうだ)

 


 

夕方。

台所からいい匂いが漂ってきた。


「よっ、と。アヤメさん、次は何を手伝えば?」


「セラさん、もう十分よ。ありがとう」


そこには、グレン母のセラさんが台所で母さんと並んでいた。


「最近、ガイルさんにもグレンにも本当にお世話になってるから……。」


「お世話になってるのはうちも一緒!お互い様よ」

セラさんが優しく笑う。


「リィナもミナも、グレンには助けられてばかりなんだから。

最近ではセイランまでガイルさんに甘えっぱなしで…本当にいつもごめんなさいね」


「何言ってるの。ウチの方こそいつも遅くまでお邪魔しちゃって、おまけに今日は誕生日会まで。

ありがとうね」


「そんな、一緒にお祝いさせてもらえて、うちの子達も喜んでいるもの。こちらこそありがとう」

 

私は台所のドアの隙間から、こっそり二人の様子をのぞいた。

(セラさん、穏やかでしっかりした人だなあ。グレン兄ちゃんにそっくり)

 

「さて、そろそろ準備できたぞ」

父さんが腕を組んで声をかけた。


裏庭に簡単なテーブルと椅子を並べ、桑の枝と春の花で飾り付け。

たくさんの料理も運び込まれ、所狭しと並んだ。


「よし!あとは主役を連れてくるだけだな!リィナ、呼んで来てくれ」


「はーい!」

 



 

「グレン兄ちゃん!ちょっと来て!」

作業中のグレン兄ちゃんに声をかける。


「ん?どうした?」

「いいから、こっちこっち!」

 

裏庭に入った瞬間。


「誕生日おめでとう!!」

みんなの声が一斉に響いた。


「なっ……!」

グレン兄ちゃんは目を丸くした。


「え?何?え?」


「今日、誕生日だろ」

タク兄がにやりと笑う。


「10歳の誕生日なんて、一度しかないんだぞ」


「お祝いしなきゃ!」

ミナ姉ちゃんも声を上げた。

(耳まで赤いけど)

 

「セラさんがご馳走も用意してくれたのよ」

母さんがテーブルの料理を指さした。


「こんなに……」

グレン兄ちゃんは目を潤ませて言葉を失った。

 



 

食事が進んだ頃、

ミナ姉ちゃんがそっとグレン兄ちゃんに話しかけた。


「グレン兄ちゃん、これ……」

そう言うと、小さな布袋を差し出した。


「こ、これ、プレゼント。読み書き教えてくれたお礼と、誕生日祝い!」


「お、おお……」

グレン兄ちゃんが慎重に布袋を受け取る。


「桑の花の香り……。いい匂い。ミナが作ってくれたのか?」


「べ、べつに!たいしたものじゃ……」

ミナ姉ちゃんは顔を真っ赤にして俯いた。


(あ〜〜〜ミナ姉ちゃん、かわいい!がんばった!最高!)

私は親指を立てて無言のガッツポーズ。

 

「大事にする」

グレン兄ちゃんが袋を胸に当てて微笑んだ。


「秋の市場まで、これをお守りにして頑張るよ」

「ありがとう。ミナ」


真っ赤になって俯く二人。


「ミ〜ナ〜大好きなタクミお兄ちゃんも、夏には10歳の誕生日なんだけどなあ」


「知らない」

ミナ姉ちゃんが真っ赤になって駆け去っていく。


「タク兄には私が作ってあげるよ!」

「え!リィナが?お前縫い物なんてできたっけ?」

「ううん。でも何とかなるよ!」

「本当か〜?まあ、楽しみに待ってるよ」

ポンと頭にタク兄の手が置かれる。


(信じてないな〜。よ〜し、絶対すごいの作ってやるんだから!!!)


「「ハハハハ」」


みんなの笑い声がこだました。

ステキな夜だった。


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