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第十二話 糸取り初挑戦!うまくいくのか!?

朝。

「じゃーん!」

ミナ姉ちゃんとメイナが、昨日取り出した繭の山を前に胸を張っていた。

「見て、きれいな形のを選んだよ!」

「ほら、この丸いのと、大きめのこれ!」

二人は自慢げに、白くふくらんだ繭を指差した。


「いい感じ!」

私は笑って頷いた。


「まずは五つ、試してみよう」


繭は十五個ほどあったが、初めての挑戦。

失敗するかもしれないから、慎重に進めることにした。


「それで、どうやって糸を取るの?」

ミナ姉ちゃんが首をかしげた。


「煮るの」

「えっ、煮るの!?」

「うん。繭の糸を柔らかくして、ほどけやすくするんだ」

私の頭の中には前世の知識があった。

(でも、この世界で本当にできるかはわからない)


道具の準備。

裏庭に、古い大鍋を運んだ。

井戸から水を汲み、鍋に張る。


「棒とかいる?」

タク兄が聞く。

「うん。長めの木の棒が欲しい。糸を引き出すのに使うから」

兄姉格のライルが、物置からちょうどいい棒を見つけてきてくれた。


母さんも手伝ってくれた。

「鍋を火にかけるよ」

「火加減はどうするの?」

「グツグツ沸かすと繭が壊れるから、弱火でゆっくり」

父さんが火の番をしてくれることになった。

(こうして家族が協力してくれるの、すごく嬉しい)


いざ、糸取り開始!

鍋の湯がほどよく温まり、最初の繭を入れる。

じわじわと繭の表面が柔らかくなる。


「どうやって糸を見つけるの?」

「繭の先っぽに、糸の端があるはず……」

指先で繭をそっとなぞる。


「これかな?」

タク兄が糸らしきものを見つけた。


「じゃあ、引っ張ってみて」

タク兄がそっと糸を引いた――。


ぷつん。

「切れた……!」

「うわっ!」

みんなから残念そうな声が上がった。


「次、私がやってみる!」

ミナ姉ちゃんが手を挙げた。


二つ目の繭を鍋に入れ、慎重に糸を探す。

「これ……かな?」

そっと引っ張る。


ぷつん。

また切れた。


「難しいね……」

「うん。でも、まだ三つあるよ!」

メイナが励ましてくれた。


「そうだね、あきらめない!」

私は頷いた。


三つ目の繭。

「今度は、ちょっと棒を使ってみよう」

ライルが提案した。


鍋の中の繭を棒でそっと回しながら、糸を探る。

「これかも!」

ミナ姉ちゃんが細い糸を指さした。


「ゆっくり……ゆっくりね」

私は指示を出す。


ライルがそっと糸を引く。

するすると、糸がほどけていった。


「やった!」

「出た!」


最初の成功。


糸は細く、キラキラと朝日の中で光っていた。


「これが……絹糸……?」

ミナ姉ちゃんが感動してつぶやいた。


「でも、一本だけじゃ布は作れないよね?」

タク兄が冷静に言った。


「もちろん。たくさんの繭から糸を引いて、それを撚って糸にするんだよ」

私は頷いた。


(よし!ここからが本当のスタートだ!)



「支援隊のみんな!明日から繭の糸取り係を始めよう!」

「もう葉っぱはいらないの?」

私は頷いた。


「うん。蚕はもう繭を作ってるから、ごはんを食べないんだよ。

今は体の中で、成虫になる準備をしてるの。

だから、これからは糸を取る仕事が一番大事!」


「おおー!」

「これで葉っぱ係卒業だな!」

「次は糸取り名人だ!」


よし!また1歩前進。

ちょっとずつだけど、ちゃんと進んでる。

いける。いけるよ私!



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