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転生したので神になろうと思います  作者: シトロン石見
幼少期編
18/33

王都③


「ふう。なかなか知らない人に囲まれるって疲れるね。」


俺はパーティーが始まってからずっと貴族に囲まれていた。普段、他人と会ってないから余計に疲れた。


「そう?そのうち慣れるんじゃない?」

「アテネはコミュ力が高いからな。俺、コミュ障だから。会話するだけで疲れるんだよ。」


コミュ力高い陽キャってうらやましいな。前世の俺も引きこもりの陰キャだったから。


「ヘレネにも会いに行かないとな。」


ヘレネと会うのは魔人戦以来だ。俺の婚約者らしいし、お互いのことを知らないと。


「なら私も行く。ヘレネが抜け駆けしないように見張らないと。」


抜け駆けって…。さすがにそんなこと、おきないって。



「ヘレネ。」

「セルス~。会いたかったよ~。」

「そんなにか?まだ2週間ぐらいしかたってないんじゃないか?」

「好きな人と会えないってつらいことなんだよ。私はセルス君の婚約者なんだからね。」


ヘレネが泣きそうな顔をして言ってくる。堕とされそう。美女のうるんだ瞳って反則だと思うんだよね。男ならだれでも抗えないって。


「私は毎日一緒にいましたけどね。」


アテネが煽るようなことを言ってくる。


「なんですって!ずるい!私も一緒にいたい!」


俺ってそんなに魅力、あるかな?そこらへんにもいそうな顔とか性格だと思うんだけど。強さは自信があるんだけど。


「いずれは一緒に住んでもらうからね。その時は全力でセルス君を堕として見せるからね。」

「う、うん。」


訳が分からないまま、ヘレネに宣戦布告された。まあ、美女が堕としてくれるならそれ以上の幸せはないんだが。


「ヘレネがそうするなら私は今からセルスのこと、堕としにいくから。」


えっ?つい、俺はアテネのことを2度見してしまった。まだ、これでも堕としに行ってないの?いまでも結構、ドキッとさせられている気がするんだが。俺、どうなっちゃうのかな?1か月後の俺が心配だ。



「パリン!」


俺たちが談笑していると突然、何かが割れる音が響いた。


「何事だ!?」


「俺たちはカルソン帝国の復活を望む者。貴様らの身柄は我らの使命を果たすため、拘束させてもらった。」


カルソン帝国って、この国が300年ぐらい前に攻め込んで滅ぼした国じゃなかったっけ。その国を復活させるためにこのパーティーを襲ったのか。俺はアテネとヘレネを守りながら、襲撃者の鑑定と、位置の特定を行う。一番強そうなものでも岩竜と同じくらいの強さだ。敵っぽい人はこの王城内に500人。王城外にえーと…。えっ?俺は思わずもう一度「神聴」のスキルを使う。もう一度確認してみても結果は同じだった。


「これ…、ヤバいな。」


俺の耳に届いた数だけで10000を優に超える。彼らの声を聴く限りではまだ、集まってくるようだ。さらに最悪なことに、敵の総大将は俺の父。いや、元父というべき人だった。


俺はまず、たまたま近くにいた国王陛下に相談した。国王陛下は俺の説明を聞いていくうちに次第に険しい顔をして、俺に声をかけてきた。


「セルス殿。いくらお主が強かろうとこの数ではとても敵うまい。どうか、ヘレネを連れて逃げてくれないだろうか。今、ここで狙われるのは私かヘレネだろう。お主の強さなら2人ぐらい逃がすことも容易であろう。どうか、私の娘を助けてはもらえないだろうか。」


国王は俺に頭を下げて懇願してきた。


「確かに、彼女らの逃がすのは容易です。ですが、国王陛下はどうなさるのですか?」

「どうするもなにも、勝てないのならば彼らの指示に従うのみではないか。」

「で、ですが…。」

「いいから早くいけ!国王の命令だ。」」


国王の目を見て、俺は感じた。彼が言っていることはすべて本気だ。本気で、自分が犠牲になってでも娘を救おうとしている。俺はその決意を見て国王の指示に従わねば、と思ってしまった。俺にもっと力があれば誰も犠牲にせずに救えたかもしれない。俺にもっと正義感があれば国王陛下の考えを正そうとしたかもしれない。だが、俺には力も正義感もない。俺は無力だ。だが、国王陛下が命を懸けて決めたことぐらいは全うしたい。逃げ、なのかもしれない。しかし、俺はそうするべきだと思った。俺はアテネとヘレネとともに逃げる前にお義母さんに会いに行った。ここまで育ててくれたお礼がしたかったからだ。


「お義母さん。私はアテネとヘレネを連れて逃げます。今まで、本当にありがとうございました。」

「どうしたのよ、急に。」


お義母さんが泣きそうな顔をしている。心が痛むがそんなことはいってられない。


「俺はこれから遠くに逃げます。お義母さんもお元気で。」

「待って。それはあなたが決めたことなの?」

「ええ。私が最終的な判断を下しました。」

「そう。ならいいわ。また会いましょう。そうだ!これを持ってリベタス連合学院に行くといいわ。そこの学院長にこれを渡しなさい。これは私が彼女からもらったものよ。きっといい扱いをしてくれるわ。じゃあ、またいつか。」


俺はお義母さんから腕輪をもらった。最後の最後までお世話になりっぱなしだ。俺は心の中でお義母さんにお礼を言い、アテネとヘレネを抱きかかえ王城を脱出した。

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