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介護士は異世界で老神の介護をします  作者: るーろーはん
1/1

お客様は神様です。

俺は山下隆(やましたたかし)今年で24になる。

名前の通り、どこにでもいる元ニートの介護士だ。


いや介護士だった。


ある日俺は勤めている特養でいつも通り夜勤をこなしていた。

なんてことない日常だ。そう思った。


が、そろそろ夜勤も上がりだと言う朝五時、一人の利用者が居室のベッドで冷たくなっていた。


俺は巡視を怠り、その利用者の変化に気付かなかったのだ。

すぐさま俺は同じく夜勤に入っている相方に知らせ、今更ながら汗だくになり心臓マッサージを施し、相方は救急車を呼びそして上司に連絡をしていた。


救急車は五分程で到着したが、当然ながら搬送はされなかった。


隊員の話によれば既に心肺停止してから数時間が経っていたとの見立てだ。 


その後明け方から早朝に切り替わり、施設には警察が数名来た。


上司が同席し、俺は事の経緯を尋問された。

当然ながら、話の中で俺は仕事の怠慢を指摘され、警察と上司双方から激しく叱責された。


俺は最後まで上手く謝ることも出来ず、ただ口ごもり俯いていた。


すぐに沙汰が下ることはなかったが、それが逆に辛かった。

同僚たちの

『あいつついにやらかしたか』

の目が痛かった。

元々職場にも馴染んじゃいなかったから。


数日後俺は上司に個室に呼び出され、解雇を言い渡された。

どうやら亡くなった利用者の家族は事をかなり重く捉え、訴えを起こすだなんだと騒ぎ立てているらしい。


根暗で人見知りな性格が災いし、人と上手く付き合えず高校卒業後は四年間引きこもりのニート生活だった。

『この仕事なら』と自らを奮い立たせて飛び込んだのが介護だった。


が、元々根暗で人見知りなだけでなく不真面目な上に不注意な所もあったのが全ての元凶だ。


俺には両親はいない。


俺がニート時代脛を(かじ)り倒していたのは事もあろうに、年老いた爺ちゃん婆ちゃんだった。


もうこんな自分にほとほと嫌気がさす。


とある日の日付も変わる頃、俺はG県の自殺の名所、とある吊り橋の上で一人呆然としていた。



『爺ちゃん、婆ちゃん、ごめん。』

生まれ変わったらもっとまともになるから・・・


俺は吊り橋から飛び降りた。




そして、目が覚めた。

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