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クリシェラル王国物語  作者: 絶華 望(たちばな のぞむ)
9/10

論功行賞

読み方

発言者 「」普通の会話

発言者 ()心の声、システムメッセージ

発言者 <>呪文

『』キーワード


 オールエンド帝国の皇城の玉座の間で、勇者アランは皇帝バネロの前で跪いていた。玉座の間には、皇帝と勇者以外に大臣や貴族たち、そして皇女アイネも居た。


アラン 「魔王セト、魔女イリアを討って参りました」

バネロ 「ご苦労であった。それで、六魔公はどうなった?」

アラン 「不死公レーナと守護公ロイドは捕縛しました。ですが、他の4公には逃げられました」

バネロ 「そうか、逃げたか……」

バネロ (反乱の芽は残ってしまったか、厄介な)

バネロ 「して、不死公と守護公は何故捕縛しておるのだ?早急に処刑しない理由でもあるのか?」

アラン 「はい、不死公も守護公も殺す事が出来ませんでした。ですので、別々の場所に監禁しております」

バネロ 「なるほど、では、聖女や賢者たちがここに居ない理由は?」

アラン 「六魔公の残党を追撃しております」

バネロ 「そうか、魔王を倒したとはいえ、六魔公のうちいずれかが新たな魔王となっては厄介だ。引き続き追撃を頼んだぞ」

アラン 「はい、私も報告が終わり次第、残党狩りに戻ります」

バネロ 「そう急いで戻ることもあるまい。魔王は討ったのだ。まずは、そなたに褒美をとらそう。何か欲しいものはあるか?」

アラン 「何もいりません。私にとっては民が救われたことが褒美です」

バネロ 「無欲だな。だが、余はケチだと思われたくない。魔王が支配していた領地をやろう」

バネロ (残党が残っている土地だ。いつ反乱が起こってもおかしくない。いったんは勇者に統治を押し付けて、残党狩りが終わってから美味しいところを頂くとしよう)

アラン 「ありがたいお話ですが、私は戦う事しか能がありません。ですので、私に領主は務まりません。どうか、他の者にお任せください」

バネロ 「なに、遠慮する必要は無い。補佐をつけよう」

アラン 「いえ、飾りだけの領主であれば必要ないと思います。どうか、他の者にお任せください」

バネロ 「そうか、そこまで言うのであれば仕方ない。領地がいらぬのであれば、私の娘をやろう」

バネロ (勇者に首輪をつけておかないとな……。あれだけの力を持った者が反乱でも起こしたら止めようがない。反乱を起こさなくても他の貴族の娘との結婚は阻止しなければな……。大きな力というものは、それだけで厄介だ)

アラン 「大変、ありがたいお話ではありますが、一つ条件があります」

バネロ 「なんだ?」

アラン 「傲慢と思うかもしれませんが、私は心から愛した人を妻に迎えたいと考えております。ですので、姫の人となりをちゃんと知り、その上で私が心から愛せると思った時に、私の方から申し出てもよろしいでしょうか?」

バネロ 「そなたは真面目なのだな、良かろう。結婚は強制せぬ。代わりに姫と定期的に会ってくれ」

アラン 「私のワガママを聞いてくださり、ありがとうございます」

バネロ 「よい。親バカと思うかもしれんが、我が娘は美しい。そなたはきっと気に入るはずだ」


 バネロは本当に嬉しそうに笑った。


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