六魔公1
読み方
発言者 「」普通の会話
発言者 ()心の声、システムメッセージ
発言者 <>呪文
『』キーワード
暴虐公ルドラは、竜人の姿から竜の姿に変身し、裏門を爆砕するために魔法を使うことにした。
ルドラ (エクスプロージョン)
爆音と共に裏門は砕け散り、裏門の近くに居た帝国兵を巻き込んだ。ルドラは、そのまま翼を広げて飛び立ち、裏門を包囲していた帝国兵に向けて炎のブレスをまき散らしながら前進していった。
ミリア 「ルドラ、すごいね~。お母様」
イリア 「そうね。とても綺麗な炎ね。それじゃあ、私たちも行きますよ」
ミリア 「はい、お母様」
ミリアはイリアに抱っこされ馬車に乗り込んだ。御者はマリーだった。ロイドは10cmの大きさになり馬車に乗った。アゲハもヒラヒラと飛んで馬車に乗った。レーナは普通の軍馬に乗っていた。
イリア 「破壊公ラスト、殲滅公リーゼ。サンズ川までの先導をお願いします」
ラスト 「畏まりました」
リーゼ 「畏まりました」
ラストとリーゼは猫と犬の姿で、破壊された城門から飛び出し、周囲に敵が残っていないか確認して、先行して裏門から1km離れた場所にあるサンズ川に向かって駆け出した。
魔王城内を手分けして六魔公を探していた賢者フレア、聖女セイラ、暗殺者、戦士ガイラ、剣聖ソルドに魔王城を包囲していた伝令の魔術師から魔術で救援要請が入った。
魔術師 「こちら、裏門包囲部隊!現在、攻撃を受けています。赤の暴虐竜が城門を破壊し、暴れまわっています。救援を!」
フレイ (なるほど、戦力を温存して再起を計るか……。なら、追うしかないな)
フレイ <エグゼ、ウインド、マウス、スフィア、ゼロ、インフォメーション、アライ>
フレイ 「六魔公は裏門から脱出するつもりだ。セイラ、暗殺者、ガイラ、ソルド、裏門から出て、奴らを追撃する」
裏門から飛び立った破壊公ルドラは、縦横無尽に暴れまわっていた。帝国軍の兵士は弓や魔術で応戦しているが、ルドラは無傷のままだった。しかし、帝国軍の竜人部隊1万が空を飛び、ルドラに殺到した。
竜人たちは真銀製の槍を持ってルドラに接近し、ルドラより高い位置から槍を投げた。槍は重力を味方につけてルドラの強固な鱗を貫通し、ルドラは鮮血にまみれた。ルドラは炎をまき散らし、爆発の魔法で攻撃するが、人間と違って強固な鱗に守られた竜人は簡単に倒せず苦戦していた。
ルドラ (クソッ!うっとうしい奴らだ。だが、イリア様の判断は正しかった。二人を乗せて戦える状況ではない。お二人が、戦場を離脱するまで、こいつらを引き付ける)
ルドラは、血まみれになりながらも戦い続けた。
ラストとリーゼは競い合うように魔法で帝国兵を倒しながら前進していた。
ラスト (サンダーストーム)
ラストの魔法で帝国兵に複数の雷撃が雨の様に降り注いだ。
リーゼ (ライフスティール)
リーゼの魔法で帝国兵に漆黒の闇が襲い掛かり、生命力を奪っていく。
ラスト (リーゼには負けない)
リーゼ (ラストには負けない)
二人は競い合いながら、魔法を使い続け500mの距離を疾走し、帝国兵の命を奪っていった。そんな二人の前に立ちはだかる者が居た。ラストの前には賢者フレイが、リーゼの前には剣聖ソルドが立ちふさがった。
フレイはラストに魔法を使った。
フレイ (デス・スラッシュ)
死神が現れ、ラストを大鎌で切り裂こうとした。
ラスト (ライト・プロテクション)
光の膜がラストを覆い死神の攻撃からラストを守った。攻撃が失敗すると死神は消滅した。
ラスト (こいつはヤバイ!逃げなきゃ)
ラスト <エグゼ、ライト、ボディ、スフィア、ゼロ、テレポーテーション、ライン・ワンキロメートル>
フレイ 「逃がしませんよ」
フレイ <エグゼ、ライト、ボディ、スフィア、ゼロ、テレポーテーション、ライン・ワンキロメートル>
ラストが魔術で1km離れた上空に逃げたが、フレイは同じ魔術を使って追いかけた。
ラスト (クソッ!魔術も使えるのか、嫌な鬼ごっこだな~。でも、こいつを引き付けないとイリア様たちが危険になる。命がけになるけど、あいつが諦めない程度に戦いつつ逃げるしかないか……。いや、まてよ、その前に帝国兵を人質にして戦おう)
ラストは、ワザと帝国兵の陣に降り立ち、兵士たちの頭の上を渡り歩いてフレイを挑発していた。
ラスト 「攻撃出来るならやってみな」
フレイ 「なるほど、人質ですか。僕好みの作戦ですね~」
フレイは嬉しそうに笑った。
フレイ (さて、攻撃する方法はありますが、まずは落下を止めないと僕が死んじゃいますね~。フローティング)
フレイは、風の精霊魔法を使って空中で止まった。
フレイ <エグゼ、ファイア、ライトハンド、スフィア、ゼロ、トラッキング、インフィニティー・ムーブメント>
フレイの放った火の球は帝国兵を避けてラストだけを追尾した。
ラスト (うげっ、無限追尾の魔術も使えるのか。ライト・プロテクション。くそ~、打つ手なしか……。やっぱ逃げよう)
フレイ (逃げますか、なら、こちらもそれ相応の対応をしますかね~)
剣聖ソルドは、無言で妖刀『魔斬りの黒』を抜き放ち、リーゼに斬りかかる。リーゼはソルドの攻撃を避けて、魔法で反撃を行う。
リーゼ (デス・スラッシュ)
死神が具現化し、ソルドに斬りかかるが、ソルドは死神の攻撃をかいくぐり死神を一刀のもとに切り伏せた。すると、死神が消えた。
リーゼ (馬鹿な!魔法で作られた死神だぞ!それを消滅させるなんて……。あの刀、魔法を打ち消す効果があるのか。なら、ヤバいな……。魔法も魔術も効かない剣士に対して、この姿では分が悪い)
リーゼ <エグゼ、ダークネス、ボディ、ヒューマン、ゼロ、トランスフォーム>
魔術が発動し、リーゼは全身漆黒の毛に覆われた人間の姿に変形した。ただし、頭部には人間の耳が無く、代わりに犬の耳が付いていた。
ソルドは、リーゼが変形しても驚くこともなく剣を振るった。リーゼは、その剣を手足で捌いた。
ソルド 「ほう、拳法か……。しかも、その毛、刃物に耐性があるようだな……」
リーゼ 「目が見えないのに良く分かるな……」
ソルド 「鼻と耳が良いのでね。目が見えなくても色々と分かる。さて、そろそろ死んでもらおうか」
リーゼ 「この私を殺すだと?殲滅公と知って言っているのか?」
ソルド 「はて?殲滅公は勇者が倒したはず」
リーゼ 「それは、私の兄だ。今は私が殲滅公だ!」
リーゼは怒りに燃えてソルドの懐に飛び込み右手で正拳突きを放った。ソルドはそれを避けて袈裟斬りを放った。リーゼは左手で袈裟斬りを受け流した。
ソルド 「それなりに強いという訳か……」
リーゼ 「それなりかどうか、その体に私の強さを叩きこんでやる!」
リーゼは怒りの表情をソルドに向けた。ソルドはリーゼの怒りを無視して涼やかに剣を構えた。