俺の妹と幼馴染が厳しすぎる①
GM:じゃあ、キャラ作成から始めるか。彩香も作れー。二人だから前衛と後衛を相談してバランス良くな。
彩香:おおー、そう言う要素が入るんだね。二人になると。
やよい:彩香ちゃんが経験者だから色々教えてね。
彩香:おっけ。
GM:あと、キャラの性格もコンビを意識して相性良さそうに考えろよ。
彩香:どゆこと?
GM:二人とも怠け者だと永久に仕事しないから話が進まないだろ?あと、エルフとドワーフにして超仲悪い設定とかいうプレイもプロの人がやったりしてるけど、初心者がやるもんじゃない。あれは演技の中でうまいこと折り合いつけてなんだかんだ言って一緒に旅する方へ話を持ち込める自信があるからなんだ。今それやると収集つかない。
彩香:なるほど。つまり二人で上手い事やれそうなキャラ同士にしろと。
GM:Exactly
彩香:だからなんで時々アメリカ人なのさおにい
やよい:ぷっ‥‥あははははっ(爆笑)ご、ごめ、ツボった。止まらないっ‥。きょ、兄妹の掛け合いナイスって。
死ぬほど笑って机に突っ伏すやよい。キャラ作成一時中断。
GM:すげえ笑い方だな。思春期の女子は箸が転んでも面白いというアレか?
彩香:おにい、おっさんくさい。
やよい:や、やめて‥追い討ちかけないでっ。さらに面白い掛け合いしないでっ‥。(しばらくして落ち着き)ていうか彩香ちゃんとタケってこんな関係だっけ?彩香ちゃんこんな毒吐く子じゃなかったじゃん?「おにいー!だーいすき!とぉー!」ってジャンピング抱きつき!とかしてたような?
彩香:そ、そんなの、してないっ!(真っ赤)
やよい:してたよぉー!タケと私がファミコンしてたらタケのあぐらの上にどーんって座ったり、後ろから首にしがみついたりしてたじゃん。出かける時なんか「置いてかないでー!」ってわんわん泣いて‥。
彩香:それ以上言うなやゴルァ!
GM:こらこらキレるな。相手お姉ちゃん。いやさすがに彩香もデカくなって重たいからやめさせた。飛びつかれると普通に痛いんだよ。もう体重50キロぐらいあるんだしさ。
彩香:ねぇよ!?(めっちゃ激怒)人生で一度も50キロ超えた事ねえよ!?てか身長156センチの女子の体重50キロ以上に見積もるの宣戦布告だぞクソ兄貴っ!!!(GMに取っ組みかかる)
GM:なんだてめえやんのか!?俺の華麗なるスピニングトゥホールド決めてやるぜ!(大人げなく受けて立っている)
やよい:‥‥今のはタケが悪いよ。
まあそんなこんなで一悶着あったものの(汗)、その後キャラ作成が始まった。今回はルール通りの初期作成ルールで作らせる。その結果バランス取れず死んでも知らん。そういう姿勢で真剣にやらないと結局TRPGは面白くないのだ。
彩香:やよいちゃん、いきなり魔法系はルール覚えてないとしんどいから、ファイターにしなよ。
やよい:そうなの?別にいいよ。
彩香:回復できないと辛いからプリーストも必要だけど、私がソーサラーやると経験値足りないからプリーストも取って。
やよい:うん。
彩香:ソーサラーだとシーフ兼任できるから‥‥。
おおおー。妹が心強い。いつの間にか大きくなっちゃって(ほろり)。クレイジーな言動だけじゃなかったのな。さすが俺からリプレイをあるだけ借りた女だ。
その後キャラの性格や生い立ち、二人の出会いなどをきゃっきゃうふふと相談しだしたので、俺は暇なので朝風呂にでも入ることにした。疎外感なんて、感じてないんだからねっ!
GM:ふいー、気持ちよかったあー!
彩香:おにい、おっさんくさい。
やよい:できてるよー!
GM:ちょっと待って。カンカンに冷えた麦茶が飲みたい。(ゴクゴク)プハー!コレコレ!
彩香:おにい、おっさんくさい。
GM:うるせ。じゃあキャラ紹介。やよいから。
やよい:(ニヤリ)
彩香:(ニヤリ)
GM:‥‥どした?顔見合わせてニヤニヤして。
彩香:いや‥‥何でもない(頰がヒクヒクしている)
やよい:じゃ、じゃあ、行くよ。(声が震えている)さ、最後まで笑わずに話せるか不安‥‥。
彩香:ぷっ!(膨らんだ頰が臨界点を超えた)
やよい:え、えっと、名前はね、ま、『マツダ・タケオ』。
GM:待てえええええええ!(←この人の本名)
やよい:ファイター1とプリースト1とスカウト1レベルで、十八歳。せ、性格は、スケベで巨乳好き。そんなサイズじゃ歩くのもしんどいだろってバストを、い、いつも想像っ、ぷっ!も、もうダメっ!
彩香:あっはははははははははははははははは!ざまぁ!
やよい:(声にならない笑いに震えながら体をくの字に折っている)
GM:絶対に却下だ!
彩香:えー!だってTRPGのキャラを作成するのは『自由』なはずじゃん!
GM:アホ!そんな日本人みたいな名前がファンタジーであるか!
彩香:たまたまどっかの部族でこういう風な名付けなだけ。偶然の一致だもん。
GM:いや、でも特定の人の名前はダメだろ。しかも誤解だ!不名誉だ!エロマンガってそういう風に描きがちなだけで、読者が全員巨乳好きなわけじゃねえんだよおお(魂の叫び)!
やよい:ふうん?それならこの『タケオ』はタケとは違う人じゃない?やっぱ偶然の一致よ。こっちのタケオは巨乳がないと窒息死するぐらい巨乳好きっ、ぷっ!(またツボっている)
ああ言えばこう言いやがって、こいつら。
彩香:(じたばたしながら超爆笑している)
やよい:と、とにかく!このキャラじゃないと私やんない!
GM:ぐうう‥。認めるしかないようだな‥自分の若さゆえの過ちというものを‥‥(泣)。
彩香:じゃあ次私!名前は『マツダ・アヤカ』。
GM:お前本人じゃねえかあああっ!
彩香:やよいちゃんのタケオの妹で、十六歳。超美少女で超人気者で、超しっかりもの。兄のスケベで巨乳好きに困ってます。その辺は全部現実と同じ。ほら、一緒に旅する必然性とかちゃんとしてるでしょ?
GM:う、うむ。まあな。
彩香:ソーサラー1でシーフ1。以上。
くそ、席を外してる間に悪ノリしやがったなこいつら。
というわけで、なし崩し的にこのキャラを認めさせられ、セッション(TRPGで1ゲームの単位)が始まった。
*****
GM:よし、じゃあ旅立ちから始めよう。君ら兄弟はアルスゴーというこの国の王都で生まれ育った。
タケオ:うーん、むにゃむにゃ。
GM:何?いきなり?
タケオ:寝ているとかわいい妹が起こしにくる黄金パターンがやりたくて。
GM:じゃあ、それで。
タケオ:うーん、むにゃむにゃ。おっぱいがいっぱい‥。
GM:その寝言やめてよっ?!
アヤカ:じゃあそこで私がズダダダッと走ってきて部屋の扉をバーンと開けて、ピョーンとジャンプしておにいの上に馬乗りになる。
GM:『おにい』という単語も避けて欲しいなあ‥。普段の呼び方されるとマスターしてて気が散るから。
アヤカ:おにい!(←全くの無視)起きて!朝だよ!バチーン!ビターン!
GM:バチーンビターン?
アヤカ:ビンタ。割と全力で!
GM:起こし始めて一分も経ってないよ?!初手本気ビンタなの?!お兄さんに敬意とかないの?!
アヤカ:ねえよ、そんなの。世界中の妹に。
タケオ:うーん、何だよ。眠いなあ‥。
アヤカ:美少女な妹が馬乗りで起こす。ロマンじゃん!喜べタケオ!
タケオ:あー?何言ってんだよお前。俺にとって女の定義はHカップ超えてからだ。顔洗って出直せ。
GM:タケオ、クズすぎねえっ?!
やよいの中の俺、こんななのか‥?
GM:ま、まあいいや。とりあえず、二人はちょっと裕福な家に生まれ、国立学校に通っていた。だから色々冒険者技能が身についているんだ。
アヤカ:あたし、ソーサラー、シーフだけど、学校で泥棒教えてるの?
GM:その辺のゲームに必要な技能をなぜ持つのかって事まで本来考えてキャラメイクするべきだけど、プレイヤー二人だとどうしても兼任せざるを得んし、それの整合性なんて取れるわけないから気にせんでいい。ソーサラーとシーフの技能が獲得できる人生を十六年で送ってきた女子って想像できんだろ?そういうとこにこだわって遊ぶ時と、あえてこだわらずに遊ぶ時両方あっていいと思う。んで今回はこだわらない時。
タケオ:確かにタケオも戦士で神官で密偵ってよく分からないもんね。てか巨乳以外信仰するわけないし。
GM:うん、そうね(反応するのやめたぜ)。まあとりあえずその学校でとても優秀だったため、とある郊外の村を荒らすモンスターの駆除を頼まれたわけだ。
タケオ:そんなめんどくせえことしねえよ、へっ!
アヤカ:だめだよおにい。それじゃダメ人間だよ。働かないと。
タケオ:おっぱいさえあれば何でもいいんだよっ!
アヤカ:(マスターを見ながら)ねえ、おにい。
GM:だから紛らわしいんだって。やよいのキャラと俺両方おにいと呼ぶな。
アヤカ:うまいこと拾ってよ。
GM:はあ?
アヤカ:やよいちゃんのキャラをやる気出させるような巨乳ちゃん出すとかして、依頼を受ける動機を作ってよ。ゲームマスターでしょ?
GM:どんな羞恥プレイだよっ!何で自分の名前のキャラに向かって巨乳出して誘惑すんだよっ!しかも中身幼馴染の女子とかっ!罰ゲームだろーがっ!!!!!
*****
大変残念なことに、この話は後半へ続く。早く終わりたいけど。
ーーーちなみに次回はお色気大作戦から始まります。俺、頑張りますから‥‥。