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ひとりぼっちのもぐら  作者: 明礬
1/1

大雨の日に

「ちいさないきもの どうわシリーズ」第2作目です。


もぐらってかわいいですけど、どんな生活をしてるか知らないですよね。


ぜひ、これを見て土の中に思いを馳せてみてください。

ある山のなかの 小川のそばの土の中。


そんな所に住んでいる 小さな生き物のお話です。


--------------------------------------------------------

僕はもぐら。

土の中でずっと暮らしているんだ。

ずっと一人でね。

寂しくないのかって?

全然!

だって他のもぐらと出会ったって喧嘩をするだけだからね・・。

一人のほうが気楽だよ!


--------------------------------------------------------


当然産まれたときにはお母さんや兄弟もいました。

しかしもぐらの宿命とでも言いますか、

産まれて2週間ほどで独り立ちすることになるのです。

身長は5cmぐらい。

それでも、穴をしっかり掘り、ミミズを捕まえて食べていました。


それからはずっと一人で暮らしています。

もう身体もずいぶん大きくなりました。


そんなもぐらがある日、穴の中の水飲み場で自分と同じ匂いを感じました。

誰かがいるのかな?


--------------------------------------------------------


誰かいるのかい?


--------------------------------------------------------

警戒しながら尋ねます。

反応はありません。

なんか親近感を感じるような匂いです。

もぐらは目が見えないので鼻が発達しています。

自分と同じような匂いに、警戒しながらも興味が高まっていきました。

そこで話しかけてみることにしました。


--------------------------------------------------------


君はいつからここに?

(君が来た時と同じぐらいだよ)

(君の名前は?)

僕の名前?

わからないな・・・・。

誰からも呼ばれることはないし、呼ばれたこともないし。

必要ないかなって思ってるよ。

なんか呼びたかったら好きに呼んでいいからね。

(それじゃ簡単にモグって呼ぶけどいいかい?)

いいよいいよ!

じゃあ今日から僕はモグってことにしよう。


君とはこれからもいろんなことを話したいな。

喧嘩にもならないし。

(僕もそう思っていたんだ。)

君の名前は?

(僕も名前はないんだよ。つけてくれないかい?)

ラグでどうかな?

(いい名前だね。ありがとう!)

よろしくねラグ!

(よろしく!モグ!)

--------------------------------------------------------


モグにできた初めての友達。

それから何度となくモグとラグはお話をしました。

でも、不思議なことにいつも話をするのは水飲み場だけ。

他のところには絶対にラグは現われないのです。

モグはそのことを不思議に思いながらも聞くことはありませんでした。


--------------------------------------------------------


ん?このにおいは・・・・!

穴にミミズが来たみたい!食べに行かなきゃ!


いたいた!やっぱり川の近くでしめってるからミミズがたくさんいていいな~!

ラグもだからここに住んでいるのかな。


もぐらの穴の中にミミズが落ちてくることがあります。

それを食料にしているのです。


ラグと他愛もない話をしながら暮らす平和な時間。

好きな食べ物のこと、巣の作り方、快適なベッドは土だけじゃなく葉っぱも混ぜよう!など。

色々な話をしました。


しかし・・・・ある事件が起こります・・・!


お?この音と振動は雨だなぁ。

雨がなければ土が固くて掘れなくなっちゃうし、

ミミズもいなくなっちゃうから雨が降ってよかった~!


お?また穴の中にミミズが来たみたい!やったね!!

いただきま~す!


雨だとやっぱり獲物が多いな~!

よかったよかった!


・・しかし、雨がずっと止むことがありません。


まだ雨が降り続いているんだなぁ…。

今までこんなことなかったなぁ…。


・・ぽたぽた巣の中にまで雨漏りのように水が落ち始めました。


え!?巣の中にまで雨が!どうしよう・・・。

まぁ、きっともうすぐやむよね・・・・。


寝床の近くにも水たまりができました。

何度も何度もその水たまりに入ったり出たりしながら巣の様子を確認しに行っていると、

今まで水飲み場にしか現れなかったラグがいました。


(モグ!危ないかもしれないね・・・・!)

え!?どういうこと?

(雨が・・・・。この巣が壊れてしまうかも・・・。)

そうだね。。。これからラグはどうするの?

(うーんわからない・・・・。でも、きっとまた会えるよ。)

そうだね・・・。僕たちはいつも一緒だから・・・!これからも・・・・!!

(そう!離れることはない。いつでも一緒だよ。)


・・雨音はやむどころかどんどん激しくなっていきます。


巣の中にも結構水が溜まってきちゃった・・・・。

いよいよ引っ越しをしなきゃいけないかなぁ・・。

でも、もう少し待ってみよう・・・。

(モグ。そろそろだね・・・。)

ラグはどうやら水があるところにいるようで、

水たまりが増えたせいか色々なところからモグに話しかけるようになりました。


・・雨漏りもどんどん激しくなっていきます。

その時!!穴の天井が崩れました!!

どしゃっ・・・・・!!!


うわあ~~~!!!危ない~~!!!!


モグの身体は埋まりました。


ぷはぁ~~~!!!

もうここの家は無理だ~!!

引っ越し引っ越し!!!

急げ急げ~~~~!!!!!

ラグまた必ずどこかで会おうね・・・・・!!!

(さようなら・・・モグ!!)


埋まってもそこはもぐらです。

掘って脱出し新しいすみかを探しに旅に出ました。


えっほえっほえっほえっほえっほえっほ!!!

どこ行けばいいかわかんないけどとにかく掘れ~!!!

えっほえっほえっほえっほえっほえっほえっほえっほ!!!


少しパニック状態になっているのかもしれません。

とにかく適当にあてもなく掘っていきます。


おりゃおりゃおりゃおりゃ~~~!

ふんふんふんふんふんふんふん!!!!

あれ・・・・?柔らかい・・・?


急に土が柔らかくなったようです。

モグにとっては初めての経験です。


掘りやすくていいな~~!!

えいえいえいえいえいえいえい!!!


さらに掘り進めていると急に土がなくなりました。

そしてかわりに水が!!!

どおおぉぉおおどおぉおおどおぉぉぉおおおぉお!!!

どうやら水脈にあたってしまったみたいです。


うわわああぁぁぁあぁぁぁっぁぁあああぁぁあああっぁぁぁあ!!!!!!


流されるモグ。

もぐらは水の中で息をすることはできません。


うううぅううぅうぅぅううぅうぅぅぅうぅううぅう!!!苦しい・・・・。

ラグ・・・・。もうダメかもしれない・・・・。

(大丈夫!!落ち着いて!!!!)

ラグの声が聞こえたような気がしました。

(ほら・・・流れが弱まってきたよ!!)

流れてくる水が穴の中を満たし、これ以上は流れてこなくなりました。


うう!!!息ができない‥‥空気は・・・・・・・・!!!!!

(落ち着いて。きっと君ならできる!!)

もう水は流れてはこないもののモグの身体は全身が水につかっていました。


(泳ぐんだ!!!)

ラグの叫びが聞こえたような気がしました。


そうだ!!いつも穴を掘っているこの手!!

きっと水をかけるはず!!!


手を動かすと身体も動きました。

もぐらの手は意外にも泳ぐことができるのです。


うううう・・・うぅぅう・・・苦しい・・・

でも、とにかく上に泳げば・・・・・。。。。。

(もうすぐだよ・・・・!!!!)


上に泳いで天井の土にあたりました。

そして、足と片手で浮きながら、もう片方の手で土を掘ります。

土が水にぱらぱらと落ちてきます。


ぷはぁ・・・・!!!はぁはぁはぁ・・・・・。。。。


何とか顔を出すことができて空気を吸うことができました。

そして、さらに上に掘り進めてから横に堀りやっと休むことができました。


(良かった・・・)

危なかったなぁ…。

死ぬかと思った・・・・・・。。

こんなこと初めてだよ・・・・・。

でも、泳ぐことができるんだなぁ。

よかった・・・。

ラグありがとう!!!

あれ?でも、ラグはどこに・・・?

姿は見えません。。

ラグはきっと泳げるんだろう・・・。

きっと・・・きっと無事なはず!!!

ラグのアドバイスがなかったら死んでいたかも。。。

本当にありがとう。



それにしてもおなかすいたなぁ・・・

ぐぅう~


モグのおなかが鳴りました。

もぐらは結構大食いです。

すぐにおなかがすいてしまい、半日何も食べないと死んでしまうこともあります。

しかも、泳いだりして体力も減っています。

えさを探しに行かなければいけません。


うーん。。どこに行けばいいかな・・・。


考えているうちに水が下から上がってきています。

まだピンチは終わっていなかったのです!

ゆっくり考えている暇はありません。


やばいなぁ!!とにかく、上に逃げるしかない・・・!!


モグは上に上にどんどん掘っていきました。

下からは水がやってきます。

追いかけてくるみたいです。


なんだよ!!!水来るなよ~~~!!!

もう!!!

とにかく上へ行くしかない!!!!


どんどん上に行くモグ。

雨が地面にあたる音もどんどん近くなっています。


下から水が来るので、それでも上にどんどん行くしかありません。


どんどん雨が近くに聞こえる・・・!!

でも行くしかない!!!


そしてついに!!

モグは地面から顔を出しました。

上からも水が流れてきます。

結構な勢いでモグを流していきます。


うわあぁっぁああぁっぁっぁっぁぁっぁっぁぁ!!!

また流される~~~!!!!

ぶはぁ・・・ぶふぉ・・・・・。。


ラグのアドバイスを思い出しました。

まずは、落ち着いて体の力を抜こう。。。

体力もあまり残っていないモグはそのまま水の流れに身を任せることにしました。

流れが止まってから動こうと思ったのです。


永遠にも思えるほど流されていたように感じたモグ。

実際には少しの時間しか流されなかったようです。

何とか・・・・大丈夫だったみたい・・・・。

またラグに助けられたようなものだなぁ。。

本当にありがとう。。


池のようなところに流れ着き流れはなくなりました。

モグはさっき泳いだことを思い出し、何とか岸にたどり着きました。


はぁはぁはぁ・・・・・。

疲れたよ・・・。

もうだめかもしれない・・・。

おなかがすいた・・・・。

・・・・あれ!?


近くにミミズのにおいがします!

ミミズも大雨をさけて地面の上に出てきていたようです。


よかった~!!

これは嬉しい!!


ぱくぱくぱく・・・。

おいしい!疲れてたからホントにおいしい・・・!

生きててよかった!!

ほんとうに・・・よか・・・った・・・・。

ふわぁ・・・・・。。。。

ラグも無事だといいけど・・・・。


そこで今までの疲れが出たのかばったりと倒れこむように眠ってしまいました。


つづく

意外と長くなったのでつづく・・としてしまいました!

3話分ぐらいで完結かもなぁ・・。

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