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10話 ようじょ

 リヴルヒイロに入国した俺たちは住民に熱烈な歓迎を受けたあと、疲れた身体を癒やすべく宿屋で休憩……することなく、なんやかんやあって冒険者ギルドへ向かっていた。


「……」


「ん? なんだししょー?」


「……いや、なんでもない」


 すぐ横を歩いていたレティの姿を横目で見ると、視線に気付いたレティが不思議そうな顔を向けてきた。


 ――貴様には特に、知られたら不都合なのだろう。

 ――いますぐ勇者など、やめさせろ。


 脳裏に、ルーカスの言葉が反芻する。


 俺はがしがしと頭を掻いてから少し悩んだあと、顔は前に向けたまま口を開いた。


「レティ。何か俺に……言いたいことってあるか? まあ、その、あれだ。隠してることとかさ。まあ、言いたくなかったらいいんだが」


 レティはこてんと首をかしげてから、何かをひらめいたように顔を輝かせて。


「それはお願いでもいいのか?」


「まあいいけど。何だ?」


「パーティー入ってほしい!」


「それ以外で」


 それしか無いのかコイツは。


 俺の即答にレティは「むー」と頬を膨らませる。かわいらしい。


「じゃあとくにないぞ! わたしは勇者だからな!」


「……ふーん。ま、それならいいが。何かあったら聞いてやらんこともないから言えよ」


 話を終わらせて、足を進ませる。言いたくないのか何なのかは知らないが、無理に聞こうとは思わない。誰だって秘密にしたいことは一つや二つあるだろう。なら、言いたくなったときにテキトーに聞けばそれでいい。


 まあそれは後回しだ。それよりいまは……。


「なんで居るんですかね……?」


 入国後、離れることなく後ろを歩くラフィネとイヴにそう声をかける。いや、厳密にはレティもなのだが。まあそれは置いておいて。


「え? 妻の私がジレイ様のお側で支えるのは当たり前ではないですか。ふふ、冗談がお上手ですね」


「そう、当たり前。レイが行くところにはわたしも行く。あと妻はわたし」


「ふふ、冗談がお上手ですね? 妻はわたしですよ?」


「ラフィネも冗談が上手い。おもしろい」


「俺を挟んで言い合うのやめてくれない?」


 笑顔が怖いラフィネと無表情のイヴの言い合いを止める。どっちも妻じゃないからこの争い不毛すぎる。ってかイヴは俺の行くところに付いていくって、じゃあありえないけどトイレとか風呂にもついて……きそうだなうん。絶対阻止するぞ。


「でもいいではないですか。依頼を受けるにも人手が多いほうがいいですし」


「うん。その通り。だからわたしたちも行く」


「やっぱり君たち仲いいよね?」


 絶妙なコンビネーションで押し通そうとする二人。ここぞとばかりに連携するな。


 構わず、ギルドに向けて足を進ませる。ラフィネとイヴは許可されたと思ったのか、お互いに嬉しそうにアイコンタクトを取り合っていた。イヴにいたってはグッと親指を立てている。この野郎。


「……まあ、いいか」


 呟いて、自分を納得させる。


 別れようとは思っていた。……が、俺も二人に話さなきゃいけないこ・・・・・・・・・・とができた・・・・・


 タイミングを見て、言えそうなときに切り出すつもりだ。本当はしたくなかったが、あの想いを見せられたら言うしかなくなった。……それが嫌で逃げ続けてたんだけどな。


 頭の中に沸いた妙な感情が嫌で、掻き消すように頭を振る。……よし、まあそれは置いておこう。それより、なぜ俺が宿屋に向かって休憩するわけでもなくギルドへ仕事に赴いているのかの方が問題だ。


 というのも、入国したあと勇者であるレティを含めた俺たちは熱烈な歓迎を受けることになった。それはもうとんでもないくらい歓迎され、「今夜の宿はぜひうちの宿を~」「武器防具をお求めでしたら~」「飲食店なら~」と、様々な店から宣伝され、住民からもパレードのごとくわいのわいのと周りを囲まれた。


 当然のようにすべてが九割引。実質タダ同然。あまりにもチヤホヤされすぎて俺は勇者だった……?と勘違いしてしまうくらいだ。


 まあもちろん、勘違いだったのだが。


 レティたち勇者パーティーの中に紛れ込んでた異分子こと俺を見て、メンバーではないとバレるやいなや手のひら返して俺だけ冷遇。俺は涙目。ひどすぎん?


 宿屋はもちろん、飲食店も武具屋も俺だけ定価。おまけに逃げ回って仕事してなかったせいで財布を見れば金がほぼゼロ。レティたちは最高級宿屋に宿泊できるのにも関わらず、俺は馬小屋にすら泊まれない。現実ってつらくない?


 クソガキに泥団子を顔にシュートされたときはさすがにキレそうになったが、さすがは俺。そんなことではキレず、負けじと泥団子をぶつけてやった。オラァ! 大人舐めんじゃねえぞ!!


 まあつまり、俺だけ泊まれなかったのでこうして金を補給するべくギルドに足を運んでいるというわけだ。さすがに野宿はね。ベッドで寝たいもんね。


 ……ってか、ラフィネも勇者パーティーじゃないはずなんだが。なんで俺だけ冷遇されてんだよ。「勇者パーティーではないですが美しいのでOK!」じゃねえよ何でだよ。俺だってイケメンだろ割引してくれってほんとに。


 リヴルヒイロの商業施設は勇者パーティーに利用して貰えたら国から補助金が出るとは言え、変わりようがあまりにもひどい。もう二度とこんな国来たくない。


 金が皆無の俺にラフィネたちがお金なら代わりに~と言ってくれたが断った。自分の金は自分で稼ぐし、こういうことで借りを作ったらあとで怖い。


 あー、でもシャルには何だかんだ甘えちゃうんだよな……妹のように思っているからだろうか? むしろシャルは要らないって言うと泣きそうになるから断れないのもある。お金返そうとしてるのに拒否されるし。いや絶対返すけどさ。


 あと、入国してからアルディに言われたのだが……魔導図書館はまだ開館していないらしい。数日後に入れるようになるんだとか。そんな大事なことはもっと早く言えよ。


 おまけに、申請する際に俺とレティとラフィネとイヴで申請したらしく、全員で仲良く揃って行かないと入ることすら不可能だとか。このクソ猫はいつか地中深くに埋める。


 用事を済ませに行くとか言ってどっかに行ったし……終わったら俺の所に来るとほざいたがそのまま来ないでほしい。


「えーっと……確か、ギルドはこっちだった気がするんだが」


 そのまま歩くこと数分。昔、来たときの記憶を頼りに探すも一向に見つからない。むしろ都市部から離れて閑散とした場所までやってきてしまった。


 ……あれ、もしかして迷った? いやいやまさか俺が迷子だなんて。まさかそんなね。


「レイ、迷子?」


「何を言っているんですか! ジレイ様が迷子になんてなるわけありません!」


「そうだ! ししょーは迷子になんてならないぞ!」


「……あ、ああ。俺が迷子だなんてなうん。ナルワケナイヨー」


 ラフィネとレティのフォローアップ。迷子って絶対いえなくなったんだけど。


 《探知魔法》を使って探しておけばよかった。なんで俺は曖昧な記憶で行けると思ってしまったんだ……!


 そのまま立ち止まって考え込んでいると。


「うおっ!? なんだよレティ、別にどうしようとか思ってないからマジで――?」


 ドン! と俺の腰にしがみつくような衝撃がして、レティがふざけているのかと思い目を向ける。……が、そこにいたのはレティじゃなかった。


 一言でいうなら幼女。まだ三~五才くらいの幼女だ。


 もちろん面識なんてない。俺に幼女の知り合いはいな……いことも無いか。でもその唯一の知り合いであるルナじゃない。


 つまり、見知らぬ幼女が俺の腰にしがみついていたというわけで。……うん、なるほど幼女ね。まあこの辺はよく幼女と遭遇するスポットだからこういうこともある――ってあってたまるか。


「いえい!」


「遺影?」


 こちらに指をさし、元気よく俺を亡き者にする幼女。辛辣すぎるってぇ~?


「いえいー!」


「イエイ?」


「あのえー? さっきぱぱといたあえー? いえいがいええ、そえでえ、いたったおー」


「うん、うんうん……なんて?」


 なんて?


「だああえ? いえいおいっおにいえー」


 幼女は急の出来事に理解が追いついていない俺の服の裾を小さな手で掴み、ぐいぐいとどこかに連れて行こうとする。えっちょ……誘拐! 幼女に誘拐されるゥー!


 ぐいぐいと引っ張られていると。


「ヒナ! パパと離れちゃダメだって言っただろ! 戻るぞ………って、あれ?」


 そんな声が後ろから聞こえて振り返る。


「……ジレイ?」


 そこには、前に一緒に依頼を受けた冒険者であり、ゴリラみたいな顔が特徴の大男――ウェッドが、目を丸くして立っていた。





 ウェッドの先導でギルドに到着した俺たちは、備え付けられている酒場の五人席テーブルに腰を落ち着けて話をしていた。


「久しぶりだなおい! お前ってやつは礼も受け取らずに居なくなっちまいやがって……そうだ、礼と言ってはちいせえが、ここのお代は俺に任せてくれよ"兄弟"!」


「あおえー? ぱぱあえ、いえいおこおあいいちいっえうんだおー?」


「あー……取りあえず、これなんとかしてくれるか?」


 俺は、勝手に肩に登ってきて頭にしがみつき、ぶちぶちと頭の毛を楽しげに抜いてキャッキャしている幼女を指さし、そう言った。


 ウェッドは「おお、悪い悪い」と幼女を下ろそうとするも、「やー!」と拒否されて「そうかー嫌かあー」と退散する。諦めんなよ。


「ウェッド、もう一度聞きたいんだが」


「おう? なんだ?」


「本当に誘拐とかじゃないんだよな?」


「ちげえっつの! 見ろよ、このまんまるな目とかそっくりだろうが!」


「うーん……?」


 話を聞くに、この幼女はウェッドの娘らしいのだが……どうみても、似ても似つかない。


 この可愛らしい顔立ちをしている幼女が、目の前のゴリラから生まれたとは思えなかった。美人の嫁さんがいるとは前に聞いたことがあるが、それでも信じられない。ウェッドの要素1%くらいしかないだろこれ。


 まあ取りあえず帰りに騎士団に報告するとして。


「……これ、なんとかしてくれ」


 俺の頭、というか顔をべしべしと叩いたり目隠ししてきたりする幼女をどけてくれとお願いした。痛くないんだけどさっきから邪魔すぎるって。


 てかこの幼女、最初から俺のこと知ってる感じだったんだけど何で?『いえい』って俺の事だったらしいし。俺はそんなファンキーな名前じゃないけど?


 そのことについて聞いてみると。


「うーん……たぶんあれだな。俺がヒナを寝かしつける前にジレイの事を言ってたからだ。おままごとの夫役に"いえい"って付けてたし」


 じゃあお前のせいじゃねえか。


 原因が目の前のゴリラだと分かった俺が幼女を掴んで下ろそうとするも、がっちりと髪の毛を捕まれていて下ろせない。無理矢理したら俺の毛根が死ぬ。


 すると、その様子を見たラフィネが意気揚々と胸をはって出てきて。


「では、私にお任せください! 私と向こうであそ「やっ!」」


 顔にめり込む幼女の拳。幼女はぷいっとラフィネから顔を背け、俺にひしっとしがみついた。


 ラフィネはにっこりと笑顔になり、ギルドの隅の方に移動してめちゃくちゃ落ち込みはじめ……あー、えーっとそのうん。


「まったく。ラフィネじゃだめ。わた「やぁー!」」


 伸ばした手を秒速で叩かれるイヴ。黙って隅に移動。膝を抱える。やべえ犠牲者増えた。


「うん! やっぱりししょーはすごいな!」


 そしてなぜか俺を褒め始めるレティ。ニコニコと屈託のない笑顔を浮かべていた。


「……で、ウェッドは何でこんなところにいるんだ? 前にユニウェルシアに住んでるって言ってなかったか?」


 取りあえず、俺は放置することにした。考えることをやめたとも言う。


「おう、それなんだけどな。あの依頼以降、すこし考えが変わってよ……できる限り、家族と一緒に居れるようにしたんだ。今日は休日だったんだが、まさか兄弟に会えるとはなぁ……」


「ふーん。あと兄弟って言うのやめろ」


「いいじゃねえかよぅ! 俺とお前の仲だろ。ならここで盃でも交わしとこうぜ! おーい、冷えたエールと……あれ、そういやジレイって酒のめるのか?」


「飲めないことはないけど飲まない。ってか昼間から酒飲もうとするな」


 んだよーと不満そうにするウェッド。子連れで酒のむなよ。


「ま、それは冗談だ。さすがに昼間から酒のまねえって。話戻すけどよ……あれ以降、家族との時間をもっと大切にしようって思ってな。いつ死ぬか分かんねえ冒険者なんてやってるってもんだ。少しでも一緒に居たいって思ったんだよ」


「そうか。まあどうでもいいけど」


「ひでぇな!? じゃあ聞くなって!」


 何が楽しいのかウェッドは大口を開けて笑い、俺の背中をバシバシと叩く。痛い痛い。


 辟易していると回復したイヴがやってきて。


「……レイって、よく子供に好かれる。魔導学園の生徒たちもレイのこと慕ってた」


「……そういえば、言われてみればそうだな」


 考えて見れば、昔から子供によくあーだこーだ言われることが多い。好かれてるかどうかは分からんが、付きまとわれることが多いのは事実だ。いや、俺は子供好きじゃないから迷惑なんだが。


「確かにそうですね……以前、竜馬にも懐かれていましたし、きっとジレイ様の綺麗なお心が分かっているのでしょう」


 うんうんと頷くラフィネたち。だとしたら節穴にもほどがあると思うんですけど。


「あれ、思えばジレイ様、小さな子供や動物にはお優しいような……つまり、私が子供になればジレイ様に求愛を貰える……?」


「なるほど、それは名案」


「しないからな?」


 この人たち何言ってんのマジで。


「ジレイ、お前……」


「おいやめろ、スミに置けねえなぁ~みたいな顔で見るな。そんなんじゃないから」


「ええ、そうなんです。いま思えばあの日の夜からでしょうか。ジレイ様と私は二人きりで蜜月の夜を過ごして……」


「ちょっと今は黙ってて貰える?」


 それ事実が大幅に脚色されてるって。夜に一緒に居たのは本当だけどその言い方だと何かあったと思われるから。ほんとにやめて。ほらイヴが「……その話、続き聞かせて」とか無表情だけど据わった目で言っちゃってるから。


 そのまま少しわちゃわちゃと話したあと、暖かい目で見守っていたウェッドが口を開き、幼女にこう言った。


「ヒナ、ちょっと俺はジレイと話があるからあっちで遊んでてくれるか?」


「や!」


「お菓子かって上げるって言ってもか?」


「わあった! ねーた、あおんえあげう!」


「え? ……はい! 遊びましょう!」


 そう言って俺から降りた幼女は、さっきまで嫌がっていたラフィネたちを連れてギルドのおもちゃスペースにいど……え、ここそんなんあんの?


 優しい顔で幼女たちを見送ったウェッドがこちらを向いて。


「んでよ、前から言いたいことがあったんだ」


 真剣な顔になって、そう切り出してきた。俺もその雰囲気に当てられて、椅子にもたれていた身体を少し起こして話を聞く姿勢になる。


 一体、何を言われるのかと身構えていると……


「ありがとよ」


「……はぁ?」


 なぜか、突然感謝された。え、なんで?


「前に助けて貰って、ちゃんとお礼いって無かっただろ? だから、また会ったら言おうと思ってたんだ。助けて貰ったのに礼もねえなんて不義理したくねえからな」


「……そんなの、しなくていいけどな」


 頭を下げるウェッドからなんとなく気まずくなって顔を逸らす。


 別に、俺は助けるつもりがあったわけじゃない。ただたまたまそこにウェッドが居ただけで、それは偶然だ。感謝されることなんかない。


「俺、あんときマジで俺はここで死ぬんだと思ってたんだ。『ユニウェルシアには俺の家族がいるから逃げるわけにはいかねえ』とか、かっこつけてたけどよ。……本当は逃げてえくらい怖かった。逃げようって言ったあのB級の坊主と何も変わんねえ」


「……そんなことないだろ。あのときのお前は……勇敢だったと思うぞ」


「へへ、ありがとよ。でも、本当はあの依頼が終わったら冒険者は引退しようって思ってたんだぜ?」


「は? じゃあ、なんでまだやってんだよ」


 それに、そんな素振り全然無かったけど。


「まあ聞けって、続きがあんだよ。あの化け物が出たあと《攻》の勇者様ですら身動きすらできなくて、もう無理だってとき――ジレイは、立ったよな」


「……ああ」


「んで、んでだ。ジレイは、ありえねえほど強かった。あの化け物を手のひらの上で遊ぶみてえに翻弄してよ。最終的には……キズ一つなく、勝っちまった」


 ウェッドは興奮したように身振り手振りで大げさに表現し、話し続ける。


「俺はそれを見て思ったんだ。『ああ、かっけえなぁ』って。英雄みてーなジレイがかっけえくて、俺もなりてえなって思ったんだよ」


 ウェッドは「まあ、もちろんなれるわけねえんだけどさ」と笑った。


「俺も歳だ。もう冒険者なんて根無し草の仕事やってられる年齢じゃねえ。……でも、あのジレイを見て、年甲斐もなく熱い想いが蘇っちまった。まだ冒険者を始めたばっかのときの、『まだ見たことのない世界を旅してみたい』って夢がよ。いい歳して何やってんだって話だけどな?」


「……やりたい事に年齢は関係ないだろ」


「おうおう! んだよ良いこというなぁ! やっぱりジレイはかっけえな!」


 ウェッドはガハハと笑いながら、暑苦しく肩を組んでくる。


 その顔は本当に楽しそうに顔に笑みを浮かべていて、俺に対して何の疑いもない様子で、注文した冷えたエールをジョッキで豪快に飲み干していた。酒飲んでんじゃねえか!と思ったがノンアルコールのやつだった。


「…………俺は、お前が考えてるような人間じゃないけどな」


「おう? いま何か言ったか?」


 俺は「いや、何も」と答えながら立ち上がり、本来の目的である依頼を受けるべく依頼掲示板へと向かう。


 ……本当、なんで俺の周りはこう勘違いするやつらばかりなのか。俺はそんないい奴じゃないっていってるだろ。


「あとジレイ! 噂なんだけどよ、近いうちにこの街に勇者様たちが集まるらしいぞ」


「へえ? ああ、道理で……」


 確かに、【才】の勇者であるルーカスがいたのもそれが理由かもしれない。なんでこんな所にいるんだとは思ってたんだよな。


「なんか人を探してるとかなんとか聞いたが……詳しくは分からん。俺はちげえけど、ジレイも勇者パーティーに雇って貰いたいなら――って、ジレイはもう入ってるか」


「入ってたら泥団子ぶつけられることも無かったな」


 他の勇者か。そういや前に【硬】の勇者ロードに聞いたときに他の勇者がうんぬんとか言ってたような……?


 まあ、勇者なんてD級の俺には関係ないはずだ。そういうのはレティだけで間に合ってるし。うん、関係ない。ないったらない。


 …………ないよな?

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