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24話 消えた生徒達

「はぁ? 居ないって……どうせどっかで遊んでんだろ」


「昨日から学生寮に帰ってねえんだ! トーナメント最終戦の、ジレイの試合を応援に行ってから……!」


 呆れた顔でそう返すが、アルディは落ち着きなく、なおも声を荒げて叫ぶ。


「いや、というか……護衛は付けてなかったのか? あいつら有名な子息と令嬢なんだから付けてたんだろ?」


「付けてたさ! でもその護衛も行方不明で帰って来ねえんだよ! ……確かに問題のある生徒たちだが、門限を一度も破ったことがねえのに帰って来ないなんてあり得ねぇ……何か、事件に巻き込まれたとしか――」


「……事件、か」


 頭に過ったのは、昼休憩の時に耳に入ってきた、『子供を狙って、心臓が抜き取られている』という事件。


 嫌な予感を感じる。いや、でもまさかそんなこと――


「オレの《探知魔法》じゃ精度が悪いのか見つけられねえ。……昨日から教員も総動員してるが、一向に見つかる気配もねえ。……だから頼む! もうお前しか頼れる奴が居ないんだ!」


「嫌だ、と言いたいところだが――分かった」


「ジレイ……!」


「その代わり……魔道具三つな。高いやつだぞ」


 言うと、「恩にきる……!」と大仰に感謝するアルディ。


 このまま無視してもいいが……少しモヤモヤして気持ち悪い。魔道具も貰えるらしいから俺に損はないし。


「でも……どうやって、探すの。いくらあなたでも《探知魔法》の最上級――《千里眼》は使えない……でしょ?」


「? いや別に――」


 あれ? 前にラフィネの《千里眼》を見て覚えて使ってたんだけど……そういえば、こっそり使ってたんだっけ。だから知らないのか。


「――普通に使えるぞ。《千里眼》」


 生徒たちの魔力の特徴を再現し、《千里眼》を行使する。イヴは「……やっぱりあなたって、変」と少しだけ呆れたような表情を浮かべた。


 これですぐに見つけて解決……にはならなかった。


「――おかしいな。まったく見つからん」


 《千里眼》を使って生徒たちの魔力波長に似た魔力を探してみても、該当する物は見つからない。


 となると……どこか魔力の濃度が高い空間――ラススヴェート大陸のような所にいるか、俺の魔力量を上回るほど高度な《妨害魔法》や《偽装魔法》を使っているかしか考えられない。


 魔力には自信があるし、勝っていると思うから……魔力の濃度が高い空間にいるとしか考えられない。


「……無いな」


 しかし、マギコスマイア全域を《魔力探知》で探知して探してみても、そんな空間は見つからない。


 アルディは「そんな……」と絶望したような表情を浮かべ、イヴもいつもより顔を強張らせる。


「…………仕方ないか。もう二度とやりたくなかったが……"あれ"を使う。アルディ、お前に用意して貰いたいものがある」


「何だ、何でも言ってくれ! 《古代遺物(アーティファクト)》でもなんでも、絶対に用意する!」


 身を乗り出し、叫ぶアルディ。いや、《古代遺物》とかそんな貴重なものはいらない。むしろ俺にくれ。


「おそらく、《千里眼》でも見つからない空間――《異界》にいる可能性が高い。《魔力探知》でも空間が探せなかったから、たぶん間違いない。つまり……街の中か周辺のどこかに、《異界》に繋がる歪みがあるはずだ」


「《異界》!? そんな大掛かりなもの、一体誰が……! それで、オレは何を用意すればいいんだ!?」


「ああ、それはだな――」


 やろうと思えば、《魔力探知》を使って探し出すことも可能だ。

 だがしかし、この広いマギコスマイア国内のどこかにある、僅かな歪みを見つけるのはそれじゃ時間がかかりすぎる。


 そんなことをするより……大量の視界で、目視で歪みを見つけたほうが圧倒的に早いだろう。


 つまり、必要な物は。


「マギコスマイアに生息している――――"ネズミ"だ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] テンポご良くて読みやすいです。好みが分かれるところですが、主人公が俗物っぽいところも面白い! [気になる点] 主人公がヒロイン(?)達から逃げまくっているので、誰かと結ばれるところが想像出…
[一言] 続きが気になりすぎます!!
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