第67話「ジン」④
テンプル騎士団と聖ヨハネ騎士団と言う聖地の2大騎士修道会を始め、大勢の護衛がいるにも関わらず行われた襲撃。果たして犯人はどこの勢力なのでしょうか。こんな大規模な襲撃をするなんて、やはりサラセン人なのでしょうか……
そんな事を考えつつ、前衛を務める聖ヨハネ騎士団の下へと駆け付けたご主人様と私ですが、もっともそんな考えをしているのは私だけで、ご主人様の頭の中にはシャルロット様の安否の心配しか無いのかもしれませんが。
そして、ようやく襲撃現場へと到着しましたが、燃え盛る馬車、倒れ込む多くの聖ヨハネ騎士団の修道士達、そこで目に入るのはなんとも酷い光景ばかりなのでした。
「くそっ、襲撃があってからまだ時はそんなに経ってないはずだ。なのにこの荒れようは何だ!?」
「ご主人様!轟音と閃光はあちらからのようです!」
通り道の先、少し行ったところから轟音と閃光、怒号に悲鳴が聞こえてきています。まだ戦闘中のようです。
「行くぞ!聖ヨハネ騎士団とは言え、加勢しない訳にはいくまい!」
「はいご主人様!」
そして馬を駆り、その戦闘の現場に到着したところで私達は驚愕しました。襲撃の犯人は、たったの1人だったのです。その者は、布の服にマントと言うおよそ戦場にいるには相応しく無い軽装備でしたが、掌や手に持った剣から自在に繰り出す稲妻により、周りの修道士達を寄せ付けない圧倒的な強さを見せていました。
「あっけない。騎士団と言うから期待してたけど、所詮は神を騙る略奪者の集まり、やっぱり大したこと無いな」
そう言うや、手から放たれる紫の雷は宙を踊り狂い、岩に刺さればそれを砕き、木に刺さればそれを焼き、人に刺されば肉体を焦がし、とてもではありませんが人の為せる業とは思えません。
「みんな一旦退いて!ここは私が引き受ける!」
そう言い、手から火を燻らせながら前へ進みでるシャルロット様。赤地のサーコートとマントに火が映え、まさに炎の騎士という感じです。
「ようやくラスボス……いや、中ボスのお出ましか」
「何訳わかんない事言ってんのよ!あんた自分が何してるのか分かってるの!?」
「と思いきや気が強くて美人の女騎士、さすがファンタジー世界に……」
そう襲撃犯が言い終わるをも待たずして、シャルロット様の手から放たれた大火球が、真っ直ぐ尾を弾いて飛んでいきました。さすがシャルロット様、やる時は容赦ないです。
テンプル騎士団と聖ヨハネ騎士団と並び立つ存在であるドイツ騎士団の設立はもう少し後の時代になります。




