第24話「怪し火」④
応接間から退いた私とご主人様は、怪し火がよく出ると言うネラ様のご息女・シャルロット様のお部屋の検分をすることにしました。
「さすが貴族のお屋敷は部屋まで豪勢だな」
召使いに案内されたその部屋は、テーブルには銀の燭台、壁には色とりどりのタペストリー、長持ちには多種多様なドレス、ベッドには羽毛の掛布、そして棚の上には貴族の子らしくチェス盤や本が置かれた、大変豪勢なものでした。所々の黒く焼け焦げた跡を除けばですが。早速焦げ跡を一つ一つ見て回るご主人様。
「石造りの部屋に何の燃えカスもなく、ただ焦げ跡が付いている。それもなかなかの火力のな。ロウソクが倒れたくらいでここまでは焦げないだろう」
次に床を這い、天井まで背伸びし、埃を被った棚の小物一つ一つを持ち上げて見てみるご主人様。あちこち動き回るのでマントが汚れないように持つのも一苦労です。
「召使いの話によると、ボヤ騒ぎがあった時、窓の鎧戸は閉められていたそうだが、そうすると明り取りの天窓も無いこの部屋に、外部から火を投げ込むことは無理だな」
窓から顔を出し、外を眺めるご主人様。視線の先には、兵士が槍や剣を手に巡回している姿が。
「ましてや至る所に警備がいるこの状況では
な……」
「という事はやはり怪物か内部の人間の仕業でしょうか?ご主人様」
外部からが無理なら、警備など関係無くすり抜ける悪霊系の怪物か身内の犯行、そう考えるのが自然です。
「かもな……おやっ」
ベッドの下を覗き込んでいたご主人様から反応が。何か見つけたのでしょうか?
「コーディス、これは怪物でも身内の犯行でも無いかもしれんぞ」
「??」
「とりあえず一旦引き上げるか。ネラ様があそこまで怯えるのも単に火が怖いと言うだけでは無さそうだからな、情報収集と行こう」
何やらしたり顔で話を進めるご主人様。何か分かったのなら教えてくれても良いと思います。
「マントを引っ張るなって。そう膨れるなコーディス、直ぐに分かるさ」
そうは言いますが、一体何が何やら。文句を言っても仕方ないので、ご主人様に付いて廊下を歩いていると……
「おじさんが今日屋敷に来るっていう騎士なの?」
廊下の向こうから、年の程14、5程の女の子がやっと見つけたと言う感じで駆け寄ってきたのです。可愛くも凛とした感じのその子は、ご主人様の下に来るなり、目を輝かしたのでした。




