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怪物と十字軍と心臓の無い騎士  作者: カラサワ
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第22話「怪し火」②

 その日も朝6時の聖務日課に、目の下にクマ、ボサボサな髪、手入れされていない無精髭、そしてシワだらけなマントという出で立ちで参加したご主人様。ピエール様の注意も適当に聞き流し部屋に戻ろうとした矢先、最近西方から戻られた総長に部屋まで来るように言付けられてしまいました。


「大丈夫かレード?ギルバートの事は残念だったが、お前もそろそろ立ち直らないといかんぞ」


「そうですか……」


 これまた上の空な返事のご主人様を見て、ため息をつく総長。総長はご主人様の不老は知っていますが、不死と悪霊化については知らないので、今のご主人様の状況を単なる気の病と思われるのも致し方無いのかもしれません。


「さて、今日呼んだのは他でも無い。お前に特例として単独任務を与えようと思ってな」


「単独任務……ですか?」


「うむ、本来テンプル騎士団は二人一組で行動するのが原則だが、今回は特例としてお前一人でこの任務に当たってもらいたい。内容は、この地に家族で巡礼に来ている貴族ネラ・アンジュー様の屋敷に起こるという、怪し火の調査だ」


「怪し火の調査ですか……巡礼者の保護を掲げるテンプル騎士団の聖務からいささか外れる気もしますが」


 怪し火と聞き、露骨に嫌そうな顔をするご主人様。


「そう言うなレードよ。ネラ様はテンプル騎士団に多大な寄進をしており、去年の教皇との会議でも大きなご支援をしてくれたお方だ。私としてもなんとかお力になりたいのだよ」


「はぁ……」


「詳しくは当地に赴き、フィリップ様に直接お話を聞いてくれ。お前には多くの者が注目しているからな。期待しているぞレード」


 総長の部屋から下がった後も、明らかに不機嫌そうな顔をしているご主人様。


「火……か、全く」


 どうやらご主人様は火と聞くと、戦火を撒き散らすあの赤い騎士を思い出してしまい乗り気にはならないようです。


「いけませんよご主人様、そのようなお顔は。ネラ・アンジュー様と言えばフランスでも有数の貴族、未だに火を恐れている場合ではありません」


「バカタレ、誰が火を恐れているだ。俺はこんなつまらない任務を押し付けられる事がな……」


「はいはい、早速アンジュー様のお屋敷に向かう準備に取り掛かるとしましょう」


 走って部屋に向かう私の後ろで、全く!と嘆くご主人様。それを怪訝そうな顔で見る通りすがりの従士達。ご主人様も少しは元気になればよろしいのですが。

 テンプル騎士団の印章は一匹の馬に2人の騎士が乗っている物ですが、これは騎士団の清貧さと常に2人一組で街道の巡回警備に当たっていた事を象徴しています。

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