マスクマン
初投稿です。よろしくお願いします。
「マスクマン。そう呼ばれる男がいる。彼は、悪事が働いてるところに颯爽と登場して問題を解決する、正義の味方である!」
今、小さな国、サテラ王国では、マスクマンについての特集を放送している。その視聴率は50%。
国の半分の人が見ている放送なのだが、いかんせん盛り上がりが欠けていた。
マスクマン。アナウンスでもあった通り正義の味方なのだが、素性は不明ということはもちろん、全てが謎に包まれた男である。だが、今回放送中の特集で、何度も口にする誘い文句として、「マスクマン遂に…!」という告知があり、また、この番組は危険な事を行い特定人物を追い詰めることを度々していたから、正体がわかる!という期待感を持った多くの人々が放送を見ていた。しかし、目新しい情報はなく、盛り上がっていないのは、ガッカリしている証拠であろう。
皆が番組を変えようとしていた時であった。
突然、カメラが反転した。かすかに聞こえるうめき声。きゃっ、という悲鳴。わずかに映り込んだ黒い服を着た4人組。
反転したカメラの中で、彼らはアナウンサーを拘束しどこかに連れて行った。
この放送を見ていた住民は驚き慌てて、
そして、
マスクマン!!助けて!!!
と声を上げて呼ぶ。
その時であった。
「ハッハッハッハッハッハッ」
サテラ王国中に響き渡る高らかな笑い声。
皆が恐怖を抱く中、まるでその感情を吹き飛ばすかのような声。
この声の正体は…
「「「「マスクマン!」」」」
誰かが言った。いや、誰もが言ったその名を聞き彼は、満足そうに宣言する。
「助けに来たぞ!!!」
王国で一番高い時計台から、野太い声で約束する姿は正しく英雄。
その格好に人々は憧れを抱き、そして、希望を持つ。
マスクマンは脚をバネのように使い、空に舞い、事件のあった場所に屋根を伝い向かう。
しかしその時、キャーーと、事件のあった場所とは正反対の場所で悲鳴が上がる。マスクマンの選択はどっちにするのかと見上げると、なんと、彼はその声を無視したのだ。
住民は驚き、落胆する。彼も人間だから同時に助けるということは出来ないと頭では分かるのだが、せめて、どっちを助けるか悩むそぶりでも見せてもらいたかったものだと皆は思った。だったら、自分達が助けに行こうではないか!とならないのが世の道理である。
その時、「ハーーハッハッハッハッハッハッ」
マスクマンがいた時計台から高らかに笑う声が聞こえて来た。
「助けに来たぞ!!」
と、またも野太い大きな声で約束させる。
皆は目を細め、その正体を突き止める。そして、誰かがポツリと言った。
「マスク、マン?」
彼は満足そうにうなずき、
「私"も"マスクマンだ!!」と、楽しそうに言い放ち、悲鳴が聞こえて来た現場に向かって行った。
人々は困惑した。だが、頭の中で彼もマスクマン、ということを噛みしめるうちに、正義の味方だと認識することができた。そこからは歓喜の嵐である。「これで安心だ!!」、「がんばれマスクマン!」などと言った応援の声。マスクマン達は"いつも通り"に事件を解決していった。
この事件は、番組のヤラセだったらしく、街を走り回って疲労したマスクマンを捕まえようと過激な内容を計画してたらしい。当然、そんな企画は住民の生活を脅かし、また、マスクマンを陥れる様な内容であるから犯罪として扱われ、関わった人物は当然逮捕だ。度々やらかしてた番組だったが今回は許されなかったらしい。
これで平和は守られたのであった。
しかし、マスクマンの秘密は謎が深まるばかりで住民は少々落胆した。人は知りたがりなのだ。
今日も平和な1日を過ごすサテラ王国。しかし、人々の日常を脅かす存在はいるもので
「オイ、金を出せ!!」
銀行で起こっている強盗事件。しかも、人質を取る作戦ときた。警備隊も手をこまねく状況のなか、時計台から高らかな声の二重奏が聞こえてきた。
「ハー「ハッハッハッハッハッハッ」」
人々の顔がパッと明るくなると同時に、彼らがやってくる。
「「「マスクマン!!!」」」
満足そうにうなずき、宣言する。
「「私"たち"が、助けに来たぞ!!」」
ご覧いただきありがとうございます。楽しんでいただけたでしょうか。是非、感想の方をよろしくお願いします。
また、別で出すあとがきの方で補足をしたいと思います。目を通してもらえると幸いです。