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嘘つきJOKER  作者: 零時
第一章 ルインハザード編
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第4話 双子の街 フレイ&フレイヤ 其の二

ここは双子の街フレイ、その昔、二人の兄妹が喧嘩した際に南北に分かれ、それぞれの都市を作ったと言う、ここはその兄妹の兄のほうが作ったとされている都市だ、、、どうでもいいけど、この国、喧嘩が絡む話多すぎじゃない?


『さてと、それではこれから会議を始めよう』


ここはフレイの真ん中にある、都市会館と呼ばれる建物、そこの会議室で僕たちはこれからのことを話し合っている。


『議題は、フレイヤへの侵入と、ヘラ王女への謁見について、だな』


その場にいるのは僕、そして先輩、ミネルヴァさんに、フレイ都市長のセレスさん、それからヘラ王女の突然の進行で街を追い出された、フレイヤの都市長のヴィーナスさんの五人だった。


『まず、フレイヤの北側に敷かれてるっつう防衛線だが、規模はどのくらいなんだ?』


先輩とミネルヴァさんが先導して話を進める。


『う~ん、それが、そこまで大きくはないのよね、せいぜい千から千五百ってところ?』


先輩の質問に答えたのは、フレイ都市長のセレスさんだった。


『は? それなのにどうして負けるんだよ』


『敵の将軍がなかなか厄介なのです』


次に答えたのは、フレイヤ都市長のヴィーナスさん。


「敵将ですか?」


『ええ、現在、フレイヤ北側の防衛線を率いているのは、"アレス"というお方です』


『げっ、あいつかよ』


どうやら先輩はそのアレスという人を知っているらしかった、それもマイナスのイメージが強いみたいだ。


「それで、そのアレスという人の何が問題なんですか?」


『アレスの恐ろしいところ、それは彼の能力です、私たちには"ブレイン"という特殊な力があるのはご存知ですね?』


僕ははいと首を縦に振った。


『アレスの能力の"Ares"が今回の防衛線の戦果をあまりよくないことにしてるんだよね~』


「アレスの能力の"Ares"?」


『俺たち力の国の住人は自分の名前がこのまま能力名に現れるらしいんだ、んでもって"Ares"の能力は"戦況を徐々に優勢へと導く能力"だ』


「戦況を徐々に優勢に?」


『こっちが数千の軍を送り付けても、輸送されてきた食料が当たったり、輸送部隊が自然災害で撤退とかでそもそもの補給路がガタガタになったり、そんなこんなでうまくいってないってこと』


「なるほど」


状況はあまりよくはないようだった、アレスさんという人を何とかしない限り、僕たちに勝機はないように見えた。


『まぁ、このことは明日また考えよう、今日はこの街に来たばっかで疲れてるだろうし』


先輩は僕のことを気遣ってくれたのか、休むように促してくれた、僕はその言葉に甘え、与えられた部屋で休むことにした。






「はぁ」


僕は自室で深いため息をつく。


「戦況が有利に傾く能力なんて、どうやって戦えばいいんだよ~」


僕は"Ares"の能力について考えていた。


「それに、問題はそれだけじゃないんだよな~」


後に聞いた話だと、アレスさんは武術にも優れているらしく、倒すのもそう容易ではない、つまり能力者であるアレスさんを倒せば解決、という解決策もそう簡単ではないということだ。


「はぁ」


僕は再びため息をついた、そんなときだった。


『ねぇ』


「えっ!?」


突然声をかけられ驚く、寝そべっていたベッドから体を起こすと、そこにはあの白い少女がいた。


「君は、えっと、、、」


『ふふ、シロ、だよ』


「ああ、そうだった、シロ」


『何か悩んでるみたいだね、私でよければ相談に乗るよ?』


「うん、実はね、、、」


僕はシロにこれまでのことを話した。


『へぇ、なかなか頑張ってるんだね、えらいえらい』


「そ、そんなことないよ」


シロに褒められるとなんだかむず痒い感じがした。


『でも、そういうことなら、私にいいアイデアがあるよ』


「ほんと!?」


シロはうんと頷いて話を続けた。


『つまりは、敵を倒す必要なんてないんだよ』


しかし、出てきた答えはずいぶんと意外なものだった。


「、、、つまりどういうこと?」


『簡単に言うと、敵を諦めさせればいいんだよ、こいつらには勝てないって』


「えっと、それができたら苦労はしないんだけどな~」


僕は苦笑いをしながら答える。


『できるよ』


「え?」


『だって、君にはその力があるでしょ?』


「えっと、何を言っているのか、、、!?」


シロはいきなり僕の手を握ってきた、僕は突然の出来事に驚いて、しばらく声が出せないでいた。


『もっと自分に自信をもって、その力は"いつか世界の真理を暴き出す"って言ったよね』


「、、、!?」


今度は僕の顔にまで接近し、耳元でそうやってささやいた、僕はだんだん体が芯から熱くなっていくのをはっきりと感じた、ほどなくして、シロは手を放した。



『ふふ、ごめんね驚いちゃったよね、えぇと、つまりはね』


僕は徐々に落ち着きを取り戻しながら、シロの話を聞く。


『"敵の能力は真実にのみ効果がある"ってこと』


「真実にのみ効果がある?」


真実にのみ効果がある、とはどういうことだろう?


『まだ、ピンと来ない? じゃあ特別にもう一つだけヒントだよ、真実にのみ効果があるってことは"逆に嘘だったら"どうなるでしょう?』


「逆に嘘だったら? それって、、、!!」


『ふふ、気づいたみたいだね』


確かにそうだ、僕の能力なら、アレスさんを倒せる、いや降参させられるかもしれない。


『さてと、じゃあ私はそろそろいくね』


そういって、シロは部屋の扉を開けて、出て行ってしまった、僕は気になることがあって彼女を追いかけたが、扉を開けて、あたりを見渡した時には、彼女の姿はどこにも見えなかった。


、、、翌日、僕は先輩に策が思いついたことを伝えた。


『なに!? そいつぁ、本当か』


「はい、自信はあります」


そう、自信を持つこと、そうシロに勇気づけてもらった以上は、頑張らないと。


『作戦があるのは了承しました、しかし本当に大丈夫なのでしょうか?』


「突然どこから来たのかもわからない者がこんなことを言うのもおこがましいとは思うのですが、どうか信じていただきたい」


『ですが、、、』


『まぁ、いいんじゃね~、信じてやれば』


『セレス、あなたまたそうやって』


『じゃあ、ヴィーナスはなんかいい方法思いついたの?』


『そ、それは、、、』


『はい、じゃあ決まり、頼りにしてるよ、JOKER君?』


「!! はい、ありがとうございます」


『最後の確認だが、本当に大丈夫なんだな?』


「はい、大丈夫です、僕の能力なら」


そういって僕は作戦内容を話し、無事それが受け入れられた、作戦決行は明日、僕にとっての初めての戦いが始まろうとしていた。

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