第3話 双子の街 フレイ&フレイヤ
ここはトール砦、この国の国王であるゼウス王が現在の根城としている城、そんな城で今、、、
『このクソ親父が、これで何回めだ!!』
『ひぃぃ! ホントにごめんなさい』
王様が息子に怒られている。
「あの、ミネルヴァさん、どういうことですか?」
『ん? 何がだ』
「先輩の発言だと、王様が何回も浮気してるように聞こえるんですけど」
『あぁ、それはな、、、』
ミネルヴァさんは少しためらった後、口を開いた。
『実は我が王には、その、、、浮気癖があってな』
「う、浮気癖?」
『あぁ、それで以前も問題になったことがある、というより、今までの問題はほとんどそれだ』
「は、はぁ、、、それより止めないとですよ」
僕は先輩と王様の間に割って入ることにした。
「あの〜、先輩」
『ん? なんだ』
『お説教はそろそろ終わりにして、本題の方に移りましょう』
『う〜ん、まぁそれもそうだな、親父、しっかりと反省しろよ』
『わかっておるわ、はっはっはぁ』
(あっ、これ絶対また怒られるやつだ)
僕はそう思いながら、王様に、今回の件のグランドブレイン"RuinHazard"について聞いた。
『"RuinHazard"か、、、すまない、私も詳しくは知らないのだ』
『そうか、ふむ、ならばどうするか、、、』
先輩は唸り長な思考を凝らしている、そこで僕はある提案をすることにした。
「あの、まずは王妃であるヘラ王女と仲直りするというのはどうでしょう」
『え”っ!?』
『確かにそうだな、俺もそれに賛成だ』
『ちょ、ちょっと待ってくれ』
王様が制止をかける。
『本当にやるのか? それを』
『どのみちこのままでもダメだろ、それに親父が知らなくても、ヘラ王女なら"RuinHazard"について知ってるかもしれん』
『はぁ、仕方ないなぁ』
王様は王様らしからぬ溜息を吐いた後、続けた。
『あいつは元の城を離れて、今はフレイヤの街にいる、ヘラクレス、そして客人よ、すまないが代わりに行ってきてくれないか、わしが謝りたがってるとな』
『わかったよ、その代わりちゃんと謝ってくれよな』
『わ、わかっとるわい』
こうして僕たちは、トール砦を離れ、フレイヤという街を目指すことになった。
「先輩、一つ質問いいですか?」
トール砦を離れて数分、僕は先輩に語りかけた。
『どうした?』
「先輩は、ヘラ王女のこと、崩した呼び方をしないんですね」
『何?』
「ほら、ゼウス王を親父って呼ぶから、ヘラ王女はおふくろ、とか呼ぶのかと」
『そりゃぁ、あれだ、確かに自分の親だったらおふくろと呼ぶだろうぜ』
「じゃあどうしてヘラ王女はそのままなんですか?」
『簡単な話だ、俺は、ゼウス王とヘラ王女の間に生まれた子じゃねぇからだ』
「!? そうだったんですか」
『ミネルヴァから聞いたろ、親父はよく浮気するって、俺はその浮気相手との子なんだ』
知らなかった、まさかただの浮気だと思ったら、子供まで作ってしまうなんて、でも確かにそれなら、ヘラ王女が激昂するのもわかる気がする。
『質問はそんなとこか?』
「あっ、はい」
『そうか、じゃあ、あんまりこういう話ばかりじゃなんだし、これから行く街についてでも話すか』
「はい! ありがとうございます」
『まず、これから行くのは、フレイっつう街だ』
「あれ? 先輩、ヘラ王女がいるのはフレイヤって街じゃないんですか」
『あぁ、そうなんだが、ミネルヴァが言うには、今回のヘラ王女はいつにも増してお怒りみたいでな、フレイヤの街の北側に防衛戦を引いているらしいんだ、そこで、俺たちはまずフレイヤの北側にあるフレイって街に向かうって話になった』
「なるほど、そういうことですか」
その後も先輩はミネルヴァさんから聞いた、フレイの街のついての情報を教えてくれた。
『おっ、見えてきたな』
「あっ、あれがですか?」
『あぁ、双子の街と名高いフレイとフレイヤ、そのフレイの方だ』
僕たちは少し長い旅路の末、双子の街のフレイにたどり着いた。