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009「訳あり妻の居候 魔法使いのレシピ」

「……継母ははは魔法具を使わないので僕とは調理方法が若干異なるのですよ。沢山の子供を育て上げた熟練された巧みな技でぱぱっと……。


 どうしたら継母ははのように美味しい料理が作れるのか未だに僕には理解不能なんですけどね。書斎には勉強しても学べなかったいくつもの料理本が置いてあります。そこに継母ははのレシピも。……興味があるようでしたら、お貸ししますけども、読みますか?」




 ランゼリゼはコクコクと頷いた。




 シャルルはお腹がいっぱいになったのか、ソファーの上で丸くなって眠ってしまった。




 レオンは書斎から何冊か本を持ってきてくれた。




「沢山あるので読み終わったら言ってください。気に入ったものがありましたら、自室に持ち帰って頂いて結構です」




 ランゼリゼは「居候」に伴い、個別の部屋を一つ貸りた。




「そして、その……いつまでも部屋着のままではアレですから、これから一緒に買い物に行きませんか? 夕食の食材も買いたいですし……」






「わかりました」




 車椅子を引いて、膝に気に入った本を二冊置いて部屋へと戻る。薄いネグリジェのままでは外出もままならないので黒いローブを渡される。




 ランゼリゼの部屋は長い長い廊下の奥の方の部屋だった。あまり広くはないけれど、一人で過ごすには十分な大きさの部屋に、シャワーとトイレが付いている。


 ふかふかのベッドに長い木のテーブルが一つ。以前、この部屋は屋敷に支える誰かの部屋だったのか、洋裁の為の道具が揃っていた。古いがまだ使えるミシンに手縫い用の針、綺麗な色の刺繍糸、ハサミには宝石が付いていなかったことからランゼリゼにも使いこなせそうだった。




 車椅子をベッドの側に置いて、ベッドに座りながら着替える。痛みがあるときとないときがあるので完全に不自由ではない。お屋敷はほぼ段差がないし、シャワー室も椅子を置いて入ることが出来る。




 ランゼリゼは黒いローブを上からすっぽりと被った。膝下まですっぽりと隠れるが、鏡で見た自分は「魔女」で、思わず笑ってしまった。

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