表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

第3話

やっと織音と奏が会います。

嫌がらせを受けていたことを知って、魔王様はどうするのでしょうか?





さかさか。

手際良く箒を動かしながら、砂を片付ける。

ちり取りに集めたそれを袋に落として、お終い。

因みにちり取りを持ってくれていたのは、アスタロトさんです。

イケメンさんにちり取り……。

何かごめんなさい。


支え持っていた袋を、そっと括った。折角集めた砂だもん、零したら掃除したのが無駄になっちゃう。

綺麗になった廊下を見て、よし、と満足。

途端、深ーい溜め息が聞こえてきた。


「…………織音様。このことは、報告させて頂きますよ」


「えっ」


びっくりして体ごと振り返る。

ちょ、待っ……こんなことで!?


「いやいや、待ってくださいよ。毒を盛られたわけでもないんですし」


「時間の問題だと思いますよ」


「いやだってホラ、私はこの通りピンピンしてますし」


「今は、ですよ」


わあー。

イケメンさんのジト目、絵になるわぁ~。

なぁんて思って、いたら。




「……──何の話?」




…………地を這う声って、こういうのを言うんデスカネ…………。


対峙?していたアスタロトさんが、一礼している。

彼がこういう態度を取る相手っていうのは。

えぇと。

つまり。

即ち。


「…………──奏……」


ぎぎぎ。

って音がしそうなぐらいの動きで、恐る恐る振り向く。

其処にいらっしゃったのはやっぱりと言おうか、魔王様でございました。


わ、わぁー。

ご機嫌、悪そー!

こっちに来てからの姿って、まだあんまり見慣れないけど、びしばし伝わってくるよー。

痛い痛い!

鋭い眼差しがイケメンさんだけど、ざくざく刺さって痛い痛い!


「…………──姉さん?」


「ひゃいっ!?」


あっ。

変な声出た!

でも奏くんはスルーしてくれたみたい!


「……それ、何をしてるの?」


「えっ、と……これは、その……、そ、掃除カナ?」


「何故姉さんが?」


おふぅ。

痛いトコ突いてくるね~!

大事にしたくないので、此処は秘儀!笑って誤魔化す!


「…………──アス」


「はっ」


あっ!

奏、アスタロトさんに振ったー!

私じゃ埒があかないと思ったんだね!?

折角の笑顔が水の泡じゃん!


「織音様のお部屋の前に、砂がばら撒かれていました。嫌がらせかと思われます」


ちょ、しかも即行バラしてるー!


「…………お前は何をしていた?」


「はっ、申し訳ございません。私の監督不行き届きです」


「えっ、ちょっと待って……!」


頭を下げるアスタロトさんにビックリする。

だってアスタロトさん、別に悪くないよね? て言うか、関係無いよね?


急に割って入った私に、奏が視線を戻した。

ちょ……何か目が凄く冷たいんですけど?


「ちょっと待って、奏。アスタロトさんが悪いわけじゃ──」


「何で姉さんが庇うの」


えっ。

ぶった切られちゃった。


て言うか……。

奏、何かピリピリしてる……?


「かな──」


「何で姉さんがアスを庇うの? もしかして好きなの?」


「はっ!? な、何言って──」




「……──そんなの、許さないよ?」




瞬間。

ぞわりと、背筋を何かが走り抜けた。

ピリピリしてた空気が……まるで、凍り付いたみたい。


(な、なん……奏、一体何を言って……?)


意味が分からなかった。

だって、私はただ、アスタロトさんは悪くないって言いたかっただけなのに──……。




「──マオーサマ、ストップストップ」




場違いな程、明るい声がした。

あぁ、こういう楽しそうな声、よく教室で聞いてたなぁ……。これぞ女子高生!みたいな、キャピキャピした感じ。


奏の後ろから、すいっと現れたその人は、凄く可愛らしい人だった。

あ、あの髪型、素敵……!


ごくごく自然に奏の隣に立って、するっと奏と腕を組む。

あまりにも自然な動きだったから、思わず見とれちゃって、その後でビックリした。


「んもー、何やってんの? 今はそれどころじゃないデショっ?」


「……サキュア……」


言われて初めて気が付いたみたいに、奏がその子を見下ろす。

ぷりぷり怒って見せてる彼女と、じっと見つめ合う奏。

凄いなぁ、美男美女は絵になるなぁ──。


……──ずき。


(……──あれ?)


急に、胸の奥が痛くなった。


え……?

何で……?

何、これ……?

こんなの、初めてだ……。

何で、こんなふうに痛むんだろう……?


(こんなこと……今までに無かった、のに……?)


初めての感覚に、私はただひたすらに、どうして?と戸惑った。

一体これは何──?






織音の心境に変化が?

次話はもう少し進展させたいと思います。

お読み頂き、ありがとうございました(^^)

誤字、脱字等ありましたら、ご指摘よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ