第10話
投稿が遅くなりました(>_<)
これにて完結です!
皆様、こんにちは。
お元気ですか?
私はこの通り、風邪もひかずにピンピンしております。
…………。
ごめんなさい、現実逃避していました…………。
その後のこと、ですよね?
奏から、その……こ、告白されて。
勢い余って、私も胸中を暴露したら、何故か両想いになってしまった……。
という、あの後ですね……。
いや、私も突然のことでびっくりするわ焦っちゃうわで、兎に角冷静じゃなかったから、ちょっと待って欲しいって言ったんですよ。
落ち着いて考える時間が欲しいって、そう言ったんですけど。
「僕をもうこれ以上待たせないで」
って。
一刀両断でしたよ。
聞く耳持ってくれてませんでしたよ。
私もだけど、あの子も落ち着くべきだったんじゃないのかな……。
それで、奏にじっと見つめられて、ほっぺにその……き、き、キスされたところで、私のキャパがオーバーしまして。
意識がブラックアウトしました……。
だ、だって、ただでさえそんな経験無いのに!
弟とは言え、絶世のイケメンに迫られたら、そうなりませんか!?
……──ご、ごめんなさい……。
少々取り乱しました……。
えーと……。
そうそう。
すっかり忘れてしまってましたが──すみません──先輩達はと言いますと。
アスタロトさん達と正式に会談を始めて、色々取り決めをしたそうです。
1つ目。
これまでの勇者派遣は、人間側の完全なる条約不履行で、それについては全面的に謝罪するとのこと。
魔物側に出た被害を賠償したいって話も出たそうだけど、大した被害も無いし、何100年も昔のこと言われても人間側は困っちゃうでしょってわけで。
賠償の代わりに、前勇者の魔王城滞在を認めることが交換条件になったんだって。
…………。
……──って、それ私じゃん!!
逃げられないじゃん!!
う、うわーん……!
──こほん。
し、失礼しました……。
えーと、次ですね。
2つ目。
今回みたいに、人間側が条約のことを忘れてしまわないよう、対策を取ること。
その為に先輩が提案したのは、相互の文化交流でした。
種族が違うんだから、価値観や文化が違うのも当たり前。
だからその違いをお互いが知るべく、留学であったり、交易であったり、色んな形で交流してはどうか、って。
例えば、人間側が魔物に対して抱いてる恐怖感。
これは、大概が誤解なんだって。
魔物は人を襲ったり、ましてや食べたりなんか絶対しない。
余程攻撃されない限り、魔物側から仕掛けることは無いって。
こういう差異を埋める為に、やっぱりお互いが歩み寄る必要がある。
ただ姿形が人間と全然違う魔物も居て、それは生まれ持ったものだから仕方ない、どうしても人間の前に現れることになれば、魔法で変身するってことで落ち着いたみたい。
両者の道のりは、きっとまだまだ長いだろうけど……。
頑張って欲しいな。
そうしたら、私達みたいに、ある日突然召喚されることも無いもんね。
それと。
先輩が言ってた、聖剣のこと。
これはね──……。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「──沈静の力?」
手にしていたカップからお茶を飲みながら、私は頭上にハテナマークを飛ばした。
ローテーブルを挟んで向かいに座ってるのは、六条先輩。
相変わらず、穏やか~な微笑を浮かべてる。
「うん、そう。聖剣にはね、浄化とか、沈静化する力があるんだって。悪意ある者を斬れる、唯一の武器なんだってさ」
「へぇー……。あ、この焼き菓子おいしっ! 先輩、これ何処のお店で買われたんですか?」
「あぁ、それ? 僕が焼いたんだよ」
「せ、先輩がッ……!?」
此処は私の部屋で、今は和やかなティータイム。
レースのカーテン越しに入る柔らかな陽の光の中で、ハーブティーなんかを頂いてる。リラックス効果があるらしいこのお茶は、リズリスさんが淹れてくれた。
お茶菓子はまさかの先輩作だったけど、有難く頂戴しよっと。
「──それで? だからって、何で姉さんが親善大使なんかにならなきゃいけないの?」
おっと。
和やかではなかったです。
私の隣に陣取っているのは、魔王様兼奏くんです。
私との間はぴったり隙間無し。
当たり前のように私の肩に腕を回しながら、不機嫌そうに問い掛けている。
あはは、オーラが怖いなー。
「まぁまぁ、落ち着いてよ、奏くん」
先輩、全然気にしてない。
ま、マイペースですね……。
「響に親善大使になって欲しいのは、さっき言ったように、聖剣の沈静の力を貸して欲しいからなんだ。その力で、人間と魔物間の交流を円滑に深められたらと考えてる」
「姉さんを攫ったのも、その為だったって言うの?」
「本当は、聖剣だけを喚びたかったんだけど……」
ちらりと私を見る先輩。
そうですよね、まさか聖剣が私と同化してるなんて、予想もしませんよね……。
うん、私もです。
リディアちゃんによると、何でも聖剣は持ち主を選ぶそうなんだけど、選んだ主を守る為に、そういう形を取るんだって。
だから抜き身の剣を持たなくても、常に聖剣の加護を受けて、瘴気とか悪いものから守ってくれるんだそうな。
「……ほんっと、忌々しいよね」
「えっ? 奏、何か言った?」
「ううん、何にも?」
何だかイイ笑顔で返されたけど、何だったんだろ……?
ま、いっか。
首を傾げながらも、私は先輩に向き直る。
「──それで、聖剣を宿した私が、両者の橋渡し役を出来ればってことなんですよね?」
「うん、そうなんだ。……元々、聖剣の力を使って、両者の溝を埋めたいと考えてたんだけど……頼めるかい? とは言え、響にばかり負担を掛けるつもりは無いから、何かあれば遠慮無く言ってね?」
「あはは、ありがとうございます」
「──本当に、そうしてね? 僕のことに、責任を感じたりしなくて良いんだよ?」
──う。
先輩の言葉に、ぴしりと固まった。
私の中に渦巻いてた思いを、言い当てられたから。
「……で、でも……」
「僕がこっちの世界に来たのは、響のせいじゃない。責を負うなら、それはこの世界の、僕を喚んだ人達だ。それに、この世界に問答無用で連れて来られたけど、僕は別に誰かを恨んだりしていないよ」
「……先輩……」
──何て。
何て出来た人なんだろう……!
だってこんな状況に陥ったら、もっと怒ったりしても良い筈なのに。
やっぱり先輩は、凄い人なんだ……!
「──姉さん、見過ぎだよ」
「ぅわっ?」
突然視界が暗くなり、びっくりした。
温かさを感じるから、奏の手で目の前を塞がれたんだなって、すぐに分かったけど。
「ちょ……何してんの、奏。見えないじゃないの」
「見なくて良いよ。僕以外の奴なんか、視界に入れなくて良い」
何その無茶なお言葉。
目を塞がれたまま呆れていると、正面からくすくす笑う声が聞こえた。
「本当……仲が良いよね」
「婚約者ですから」
隣から響く憮然とした、でも耳障りの良い声。
こらこら、相手は仮にも先輩だよ?
私は奏の手を引っ剥がしながら、やれやれと小さく息を吐く。
「はぁ……全く……何でこうなっちゃったんだか……」
……そうなんだよね。
あの後で、私は晴れて?彼の婚約者の座に納まったんだ。
いや元から奏が勝手に納めてたんだけど。
でも、前と違うことがある。
私が……正式に、受諾したこと、って言うか……ね……。
その…………。
す、少なからず、私もそういう意味で、奏が好きだって。
それで、り、両想い、って分かって……。
その、嬉しかったよ?
姉弟だって思ってたのも、本当は違ったわけで。
戸惑いもあるけど、やっぱり嬉しかった。
嬉しかったんだけど。
でも。
でもさ!
「──姉さんは、僕のものなんだからね?」
──これだよ!
奏は引き剝がされた手で私の頬を撫でながら、さも当然のように宣った。
何だろ……。
えーと……独占欲?
貴方そんなキャラでしたっけ?
奏はことあるごとに、こうやって告げてくる。
あと矢鱈触ってくる。
スキンシップ、って言うか……。
正直こっちは慣れてないし恥ずかしいから、止めて欲しい。
本人に言おうものなら、
「じゃあ慣れれば良いじゃない」
とか言って、余計に口説き文句言われたり触られたりってなりそうだから、言わないけど。
もうげんなりだよ。
諦めの境地だよ。
(……──ま、結局、何だかんだで、そういうのも嬉しいんだけど)
ふふふ。
くすぐったいような気持ちになって、こっそり笑う。
すると奏がすぐに気付いて、首を傾げた。
「? どうしたの、姉さん」
「え~いやぁ~」
未だに頬を撫でる手の温かさを感じながら、くすくす笑う。
「……──色々あったけどさ」
「うん?」
「何だかんだで、私やっぱり、奏のこと、好きなんだなーって」
「──ッ」
──あれ。
奏の動きが止まった。
て言うか、固まっちゃった。
ど、どうしたの?
何か石像みたいだよ?
「……響って、天然だよね?」
「えぇ?」
向かいの席で優しい笑顔と共に言う先輩に、ぎょっとする。
何それ?
どっちかって言うと、それ先輩のことですよね?
もー。
何言ってるんですか、先輩。
そう言いかけて。
口を開いた私は、突然がっしり肩を掴まれてびっくりした。
えっ、ななな何!?
慌てて振り返ると、其処に居たのは当然、奏。
でも何だか思いの外すんごい真剣な顔してる……?
「──織音」
「ひゃいっ!?」
ちょ、うわ!
へ、変な声出たぁあー!
急に名前で呼ぶから!
あわあわ動転する私をよそに、彼は気にしていませんと言いたげな涼しい顔。
な、何か腹立つなぁ!
文句の1つでも言ってやろうと、意気込んだ。
のと、同時に。
「──結婚しよう」
…………。
…………。
……。
……──はいぃ!?
な、ななな何言ってんの!?
「ちょ、な、かな、ちょ、待っ……!」
「大丈夫だよ。絶対に幸せにするし、僕が何にかえても守るから」
「いやだからってそれはハードル高くない!?」
奏の言葉で、私は目が回りそうだった。
何を言い出すのかと思えば……!
「わー、おめでとう」
ぱちぱちぱち。
軽やかな拍手が耳に届いて、あ。と思い出す。
先輩だ。
──はっ!
ってことは、さっきの……き、聞かれてた……!?
ちょ、せ、先輩が居る前で……!
「うん。お似合いの2人だと思うよ」
「ありがとうございます」
ちゃきちゃき返答する奏。
にこりともしてないけど。
だから何で先輩にはそんな辛口なの?
「織音」
端整な顔立ちで。
低く響く、色っぽい声で。
赤い瞳には、私だけが映っていて。
奏が、艶やかに微笑む。
「──幸せに、なろうね」
こうして光の勇者は、闇の巫女──もとい魔王様に、がっちり捕まってしまいましたとさ。
「待って、ホント待って! 私だけ置いてけぼりなんですけどーーー!?」
何だか駆け足で纏めてしまったような……。
あぁ、文才が欲しい……!
拙作をお読みくださり、ありがとうございました!




