第一話 見知らぬ街で
4月16日改稿 改稿後は縦書きビューワー推奨ですが、横書きで見たところで問題は無いはず。スマホは相変わらず見づらいかもしれません。
ブックマークしてくださった皆様にはもれなく本作品に登場するご希望の神様からの祝福があることになっております。
その日、オフィス街にある雑居ビルの前に、俺(リクルートスーツ着用)は立っていたのです。
それはなぜかと言えば、月並みな求職活動によるところでございます。
思い起こせば先月のこと、20人近くもの社員がいる中で俺だけ年中無休(もちろん1月1日から12月31日まで)という素晴らしくブラックな職場から(合計8通の退職願いを提出して)めでたく解放されることとあいなりました。
そこに至るまでのあれやこれやも是非ここでご紹介したいと思うのですが、大河小説を挟み込むのもアレなので、涙を飲んで割愛する次第でございます。
この国のシステム上の結果と致しまして、失業保険を頂くための合法的なアリバイ作りと致しまして『お仕事探し』っぽいことをしているわけなのでございますよ。
ちなみに、今回面接のお約束を頂戴している会社は、ハロワの紹介によるところでは、派遣業務っぽいことを行っているみたいですね。何処へ派遣するのか、派遣先での業務は何なのか、などといった具体的なことは一切何も知らないです。そもそも勤務条件、給料がどれくらい貰えて、休みがどの程度貰えるのか、交通費は幾らまで出るのか、そういったことにつきましては、まったく知らない。興味ないし。
どうでもよかったのでありまする。
あくまでもアリバイ作りなのでございます。……というような経緯がありましての、久しぶりのスーツに袖を通しての外出でございました。
とまぁこういうことだったはずなんだが、俺は今、モーレツに困っている。
訪問すべきオフィスの入居したビルはちゃんと見つけましたが……
そのビルの入り口が一向に見つからないのであります。
ビルの周りをね、そりゃぁもう、ぐるぐるグルグルぐるぐるグルグル……回りました。
もうね、この辺の詳細な地図が書けちゃいますよ。
あきらめて、帰るか? いや待て、社会人としてそれは拙い。約束は守らねばならぬ。
そもそも入社する気もないのに面接を受けに来ている時点で、社会人としてはかなり色々と拙いような気もしないでもないわけなんですが、まぁそれはそれ。後ろめたいような気分もあるので、より一層約束を守らないといけない、といったような心持ちなのでしょうか。
なんということもなく、ふと見上げてみると、各階の窓が見えていますた。
(あれ? なんか変じゃね?)
違和感がありました。ぼーっと眺めているとその違和感の原因に思い至りました。
ビルの窓はこれすべて書き割りでございました。
頭の禿げたおじさんが若い女の子にセクハラっぽいことをしてたりします。
カツラっぽいお帽子を被ったおじさんと若い兄ちゃんが殴り合いのけんかをしています。
その隣でお局様と新人OLのメンチの斬り合いが勃発しています。
ポツンと置かれた机の上、中央にひまわりの一輪挿しが……
別の階では、お胸がバインバインな秘書っぽいお姉さんがお着替えをしているようでございます。
どこかの姉妹的な2人組の妹さんな感じでしょうか。一見するとお若く見えますが、結構いってたりします?
怖い顔のお兄さんの前で土下座をしているほぼ裸のおじさんがいます。ランニングシャツっていうんですか、それとブリーフだけは身に付けていらっしゃいます。化粧の濃いかんじのお姉さんが怖い顔のお兄さんの横でニヤニヤしています。
☆☆☆
「お前か、俺の女に手ぇ出しやがったのは?」
「いや、あぁ……」
「おい、慰謝料払えや。」
「う~あ~そのな、あの時は酔っておってだな……つまりはよく覚えてなくて、」
「おいおっさん、酔っぱらいは人の女に手出してええとでも云うんか?」
☆☆☆
(こんなセリフが聞こえてきそうです。)
他にもいろいろと、窓っぽく描かれています。
すごく立体的でございました。
本当にわけがわからない。
ポルナレフ状態というヤツでございまする。
頭の中で、いっつオートマティックに響き始めますん。
(つぅつぅつ〇しぇリー〇ーしぇーりー、つぅつぅつ〇しぇりー〇ーしぇーりー)
ここは、わかる人だけわかれば良いのです。
時計を確認してみたところ、約束の時間まで、まだ少しだけあるようですた。
誰かに聞けばなんとかなる。相談しよう、そうしよう。
おぅっと、誰もいませんよ。
なんかこう気持ち悪いですね。オフィス街で歩いてる人が誰も居ないっていうのは。
ふむ、前方から猫がやって来ました。
たぶん、アレは猫です。
二足歩行をしていますが、ジブ〇的なヤツではなく、どちらかと言えば獄卒的な感じです。
『あんた、何か困り事かい?』
小説下部に表示される≪小説家になろう 勝手にランキング≫のリンクを踏んでいただけると、結果的に読者が増えることとなり、作者が喜びます。どうかよろしくご協力くださいませ。