3.
パジャマから部屋着に着替えると、ベッドの上に寝転んだ。
ラインを開いても、拓海にあてたラインは既読になっていなかった。
スマホをベッドの上に置いた。
今日は特に何もすることなかった。
夏休みの宿題は、今日は手がつきそうにもない。
何度も読んだマンガを手に取った。
コン、コン。
「はーい?」
ママが入ってきた。いつの間にか化粧をしていた。
私とママは瓜二つで、丸い顔、丸い目、小さな鼻、小さな唇といった顔立ちだ。
ママはよく丸顔向きのメイクを、雑誌で研究してるようだ。
お姉ちゃんもそんな感じで、二人は身長も高いから、年頃になったお姉ちゃんとは、たまに洋服の交換もしてたようだ。
私は小柄で、子供の頃はともかく、だんだん、お姉ちゃんのお下がりは着れなくなった。
「エース電気へ行くけど、一緒に行く?」
「なんで?」
「パパのスマホケース割れちゃったから、買いに行くの。」
「うーん、私も欲しいなあ」
「いいわよ。」
パパとママは凄く仲が良い。パパもママも、お互いに頭が上がらないところがある。
パパにかこつければ、私も新しいスマホケース、ゲットだあ! とチラリと考えた自分に、ちゃっかりを感じた。
エース電気は大手の家電量販店で、車で10分位のところにある。
私は急いで着替えて、日焼け止めクリームをたっぷり塗り、桜色のリップをつけた。
お姉ちゃんは高校生の時から化粧をしていたけど、私はなんだかまだ少し抵抗がある。
「あら、可愛いリップの色。どこで買ったの?」
「ソミプラ。」
「似合ってるわよ。」
ママは楽しそうだ。パパ繋がりのことなら何でも喜んでする。パパも然り。
私とママは声も高いほうで、電話でママと間違えた時のパパの照れを隠した声、私と気付いて気まずい声、どちらも好きだ。
ママの車に乗り込み、エース電気へ向かった。
偶然、拓海に会えたらいいのになあ、と期待しながら……。




